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2017/12/03

ジョナサン・スイフト原作 原民喜譯 「ガリヴァー旅行記」(やぶちゃん自筆原稿復元版) フウイヌム 馬の主人 (その2)

 

[やぶちゃん注:以下では抹消が激しく、原稿のマス自体を無視して書いている箇所が多く、今までの手法では原稿の再現が困難なので、限定的に手法を変え、原稿本来の形(一行の途中で止めてもいるし、一部は罫外に書かれている。〔 〕は今まで通り、書き換えで、罫外への記載部分はここでは《 》を用いることとした)に合わせて再現することとした。]

 

 ところがすると、私を〕、靑毛の馬が

 私がこつそり逃げ出す のを見つけて、さうとすると、

 ところが靑毛の彼等は→馬は〕馬は私が逃げ出しさうに

なのを見つけて、しまひました。はじめの馬

ところが、馬は私をすぐ見つけてしま〔その時、〕はじめの馬が、私の後から、「一寸待て」といふやうに、いななきました。何だ〔何だ〕《か私は呼びとめられたやうな氣がしたのでたり→たので〕、思はず引返しました。そして、馬が何を 命令するの 次の命令を待つやうに

〔彼のそばへのこのこ近づいて行きました。いつたい、これはどうなるのか、私〔実〕はそろそろ心配でしたが、怖くはないやうな〔私は平氣さうな〕顏つきでゐました。》

[やぶちゃん注:ここで改頁。以下、頭が罫記載で、冒頭一一行目一字目のマスの横に書かれてあるのであるが、原稿用紙第一行目が一字下げとなっていることから、現行版に則り、ここは改行と判断した。]

 《二匹の馬は、一匹は靑毛で、もう一匹は栗毛でしたが、彼等は》

 二匹の 馬は私の顏と兩手をしきりに見つめてゐました。そのうちに、靑〔〕毛の〔方の〕馬が前足の蹄で〔、〕私の帽子をグルグルと撫で廻しました。〔それで〕帽子〔が〕すつかり歪んだしまひました〔ので、私は一度〕脱いで、冠り直しました。すると、〔これを見〕てこれが 上■を彼等を→彼等はひどく〕びつくりしたやうでした。

[やぶちゃん注:現行版は以下。

   *

 そのとき、はじめの馬が、私の後から、「ちょっと待て」というようにいなゝきました。なんだか私は呼びとめられたような気がしたので、思わず引き返しました。そして、彼のそばへのこのこ近づいて行きました。一たい、これはどうなるのか、実はそろそろ心配でしたが、私は平気そうな顔つきでいました。

 二匹の馬は、一匹は青毛で、もう一匹は栗毛でしたが、彼等は私の顔と両手をしきりに見ていました。そのうちに、青毛の馬が前足の蹄で、私の帽子をグルグルなでまわしました。帽子がすっかりゆがんだので、私は一度脱いで、かむりなおしました。これを見て、彼等はひどくびっくりしたようでした。

   *

 原稿はここで改行しているが、現行版では以下、改行なしで続いている。

 原稿の錯綜はここで鎮静しているので、以下、元の仕儀に戻す。]

 今度は栗毛の馬が私の上衣に觸つてみました。そして何か不思議そうに驚いてゐます。それから彼は、私の右手を撫で、ひどく感心してゐる樣子でしたが、〔私は〕蹄に挾まはさまれて〔手が〕痛くなつたので、〔私は〕〔思はず〕「痛大きな声をたてました。さうすると、それから、→さうすると、〕彼等はできるだけなるべく注意して〕〔用心しながら〕そつと觸るやうにし〔つ〕てくれるます。〔やう〕になりました。彼等は私の靴と靴下が〔いかにも〕不思議でならないらしく、何度も觸つてみては互にいななき合ひました。そして、〔しきりに〕何か考へ込むやうな顏つきをしてゐました。

 こんな風に利こうな動物を見て

 こんな利こうな馬は魔法使にちがひない、と私は考へました。そこで次のやうに話しかけてみたのです。

 「諸君、〔どうも〕あなたたちは魔法使なのでせう〔のやうにおも〕へるのですが、魔法使なら、どこの國の言葉でも分るのでせう。それで〔だから〕一つ申上げます。実は私はイギリス人ですが、運悪くこの島へ流れついて、困つてゐるところなのです。それで、ど〔こ〕か私を救つてもらへる家か村まで、連れて行つて下さいませんか。お礼にはほんとの馬のやうに私を乘せて行つてほしいのです。そのお礼には、この小刀と〔腕〕環を差上げますよ」

 そんな風に私が喋べつてゐる間〔こんな風に私が喋つてゐる間〕、二匹の馬は默つてじつと聽いてゐましたが、私が私の話がすむと、今度は互になにか相談するやうにいななき合ひました。

 私は馬の声を注意してきいてゐましたが、何度も「ヤーフ」といふ言葉がきこえるのです。二匹ともその「ヤーフ」といふ言葉をしきりに繰返してゐますが、私には何の意味なのかさつぱりわかりませんでした。けれども〔けれども〕彼等の話が終ると、私は大声で、はつきり、

 「ヤーフ」

馬の声眞似をして一■一二〕言つてみまし〔やりまし〕た。

 すると彼等は〔大変〕びつくりし〔驚い〕たやうでした。〔す。〕■、〔それから、〕靑毛が近よつて來て〔ると〕、「ヤーフ」「ヤーフ」と〔教へるやうに〕二度くりかへしました。私もできるだけ〔その馬の声を〕眞似してみました。

 すると今度は栗毛が、別の言葉を教へてくれました。これは、言い方がむつかしくて、〔フウイヌムといふ、むつかしい云ひ方でした。〕とにかく私が馬の言葉が眞似できるのに〔で〕、彼等はとても感心したらしいのでした。〔す。〕

 それから、彼等はまだ何かしばらく相談を〔し〕てゐましたが、〔そ〕れがすむと、また前と同じやうに、蹄を打ち合せて二匹は別れました。

 〔そして〕靑毛の方が私を振かへつて、手眞似で步けと云ひました。私は默つてついて行くより方はないと〔ことにしました。〕私がゆつくり步いて〔くと〕、彼はきまつて、フウン、フウンと叫びます。〔これは〕多分、もつと早く步けと〔ついて來いと〕いふ意味だつたの〔なの〕でせう。

[やぶちゃん注:ここに行空け指示があり、実際に一行空けてある。しかし、現行版では行空けはなく、続いている。]

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