フォト

カテゴリー

The Picture of Dorian Gray

  • Sans Souci
    畢竟惨めなる自身の肖像

Alice's Adventures in Wonderland

  • ふぅむ♡
    僕の三女アリスのアルバム

忘れ得ぬ人々:写真版

  • 縄文の母子像 後影
    ブログ・カテゴリの「忘れ得ぬ人々」の写真版

Exlibris Puer Eternus

  • 僕の愛する「にゃん」
    僕が立ち止まって振り向いた君のArt

SCULPTING IN TIME

  • 熊野波速玉大社牛王符
    写真帖とコレクションから

Pierre Bonnard Histoires Naturelles

  • 樹々の一家   Une famille d'arbres
    Jules Renard “Histoires Naturelles”の Pierre Bonnard に拠る全挿絵 岸田国士訳本文は以下 http://yab.o.oo7.jp/haku.html

僕の視線の中のCaspar David Friedrich

  • 海辺の月の出(部分)
    1996年ドイツにて撮影

シリエトク日記写真版

  • 地の涯の岬
    2010年8月1日~5日の知床旅情(2010年8月8日~16日のブログ「シリエトク日記」他全18篇を参照されたい)

氷國絶佳瀧篇

  • Gullfoss
    2008年8月9日~18日のアイスランド瀧紀行(2008年8月19日~21日のブログ「氷國絶佳」全11篇を参照されたい)

Air de Tasmania

  • タスマニアの幸せなコバヤシチヨジ
    2007年12月23~30日 タスマニアにて (2008年1月1日及び2日のブログ「タスマニア紀行」全8篇を参照されたい)

僕の見た三丁目の夕日

  • blog-2007-7-29
    遠き日の僕の絵日記から

サイト増設コンテンツ及びブログ掲載の特異点テクスト等一覧(2008年1月以降)

無料ブログはココログ

« 原民喜「弟へ」(恣意的正字化版) | トップページ | 芥川龍之介 手帳8 (7) 《8-7》 »

2018/01/13

芥川龍之介 手帳8 (6) 《8-6》

《8-6》

○見舞人醫師をとらへてきく(hypocrisy――家族をつる爲)

○院長病人も知らず荅ふ 責任者の荅は無責任

○偶然爲になりし失策のみ明かす(doctor hypocrisy

[やぶちゃん注:「hypocrisy」偽善・偽善的行為。語源はギリシャ語の「計算ずくの行為・演技」の意から。

「家族をつる爲」意味不詳。

「荅」は「答」に同じい。

「偶然爲になりし」意味不詳。]

 

○ヂフテリア――一二週間 9度(4、5日)。今晩注射すると翌朝なほる

anaphylaxis1000ニ3人)前に同じ馬の血淸をさしてゐる時(esp. や前に血淸をささざるも)起す過敏性 注射後10 or 5分に脈ふへ 呼吸促迫 Zyanose(血色紫になる)夢中になり2 or 3 時間に死す 手當無効 異性蛋白中毒を起す(故に10年以内に注射せしや否やを問ふ)

inflenza ヂフテリアの血淸 antitoxin を起す but 疲れて死す それでも highest authority として何か云はざるを得ざる事あり

[やぶちゃん注:1000」を含め、総てのアラビア数字は皆、縦書の中に横書(縦表記で二ケタ以上は右から左へ表記)してある。以下、特に記さないものはそう理解されたい。これから察するに、ここまでの旧全集版の「手帳」に記されている、横転した半角数字は実は縦書横組みであった可能性が大となったと私は思っている。

「ヂフテリア」
diphtheria」。ジフテリア菌の感染によって起こる主として呼吸器粘膜が冒される感染症。小児に多く、心筋や末梢神経が冒されて重篤に陥ることもあるが、予防接種の普及で減少した。

anaphylaxis」英語。「アナフィラキシー」。人や他の哺乳類に認められる、急性で全身性の比較的重いアレルギー反応の一種。ギリシャ語の「ana」(「反抗して」の意)と「phylaxis」(「防御」の意)」を語源とする。場合によっては、ほんの僅かなアレルゲン(allergen:免疫システムの IgE 抗体(Immunoglobulin E:免疫グロブリンの略。私の母はALSであったが、最初に大量投与を試みたのはこれであった。点滴一本二十万円程であったと記憶する)とは哺乳類にのみ存在する糖タンパク質であり、免疫グロブリンの一種である。が関与する抗原性物質)が生死に関わるアナフィラキシー・ショック(anaphylactic shock)を引き起こすケースがある。アレルゲンの経口摂取や皮膚への接触・特定薬品の注射・薬物や特定物質(蕎麦粉・花粉等)の吸引及び有毒生物(ハチ・クラゲなどの動物や、特定或いは有毒物質を含む植物の棘など)の刺傷(毒液注入)などにより惹き起される。

「馬の血淸」抗血清(ポリクローナル抗体(polyclonal antibody:動物血清から調製した抗体は同じ抗原に対して複数のB細胞が応答するために抗原との反応性が異なる免疫グロブリンの混合物となっていることから「ポリ」と呼ぶ。通常は単一のクローン細胞群が作る一種類の抗体であるモノクローナル抗体(monoclonal antibody)よりも高い反応性を有する)を含む血清。抗血清は多くの疾病患者に対して受動免疫を伝達させるために使用される)の一種。ウィキの「抗血清によれば、「血清療法」とは、馬などの動物に『毒素を無毒化・弱毒化した上で注射し、毒素に対する抗体を作らせ』、『この抗体を含む血清を、病気の治療や予防に用いる方法である。例えば、ニホンマムシやハブの毒素に対する抗体を、馬に作らせる。マムシ等による咬傷の際、この血清を患者に投与して治療する』のがそれである。しかし、馬血清は基本的にヒトにとって異物であることに変わりはないので、投与の際には、先のアナフィラキシー・ショックと遅延型アレルギー反応に対する、十分な注意が必要である、とある。そこには、一九二五年(大正十四年相当。本「手帳8」の記載推定時期は大正一三(一九二四)年から晩年にかけてと推測されている)に、アラスカでジフテリアが猛威を振るった載、犬橇で血清を届けた話は有名、とある。ウィキの「バルト(犬)によれば、『バルト(英語:Balto)は、アメリカの伝説的なイヌぞりチームのリーダー犬』で、一九二五年の『冬、アラスカ北端のノーム市にジフテリアが発生し、血清を市に運ぶ必要があった。しかし』、『低気圧の接近のため風速』四十メートル『の猛吹雪がアメリカからアラスカの陸路を断っていた。救助隊は』二百『頭のイヌぞりチームを作って』十六頭一チームで百キロをリレーする方法で、全行程一千百キロメートルもの距離を『輸送し、市民を伝染の危機から救った。困難を極めたこの行程の、最も困難であり、最も長距離の区間を走りぬいたのは』、『リーダー犬トーゴーのチームであったが、そのチームから血清を受け継ぎ、最後の区間を輸送したチームのリーダー犬がシベリアン・ハスキー(犬種、アラスカン・マラミュートという説もある)のバルトである。その功績を称え、現在ニューヨークのセントラルパークにバルトの銅像がある』とある。

「さしてゐる時」以前に注射している場合。

esp. especially。特別な(ケース)。ここは「特異体質」の意か。

Zyanose」チアノーゼ(ドイツ語)。血液中の酸素が減少して二酸化炭素が増加、皮膚や粘膜が青紫色を帯びる症状。唇・爪・四肢の先などで目立つ。呼吸困難や心臓障害を直接の原因として発症する。]

« 原民喜「弟へ」(恣意的正字化版) | トップページ | 芥川龍之介 手帳8 (7) 《8-7》 »