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2018/03/02

栗本丹洲 魚譜 スギヱ/ヱンカウボウ (リボンカスベ?/ウチワザメ)

 

Sugieienkaubou

 

[やぶちゃん注:図版は国立国会図書館デジタルコレクションの「魚譜」からトリミングした。右端上部にあるのは、前のガンギエイ科 Rajinae 亜科コモンカスベ属モヨウカスベ Okamejei acutispina に候補比定した「タウボコヱ」の頭頂部の先端部分。本二種の図とは関係ないものの、丹洲は明らかに「タウボコヱ」と非常によく似た種として、ここで並べていることは確かである(但し、ご覧の通り、「スギヱ」の尾部の本体側の最初の突起の根元部分で前の絵とは貼り合わせてある(国立国会図書館デジタルコレクションの当該にあるスケールによって、糊しろ部分が本図の料紙の方に三センチメートル分あることも判る)。但し、だからと言って、これがモヨウカスベの近縁種であるということには、当然ならないし、私も全く別個に観察し直してはいる。]

 

□翻刻

スギヱ

 

ヱンカウボウ

 

[やぶちゃん注:右上方の一個体の「スギヱ」なるものは、体盤が細身ではあるが、腹鰭の前葉が有意に長くリボン状に見えると感じたところで、私は、

軟骨魚綱板鰓亜綱ガンギエイ目ガンギエイ科Arhynchobatinae 亜科ソコガンギエイ属リボンカスベ Bathyraja diplotaenia

のように思われてならなくなった。「ぼうずコンニャクの市場魚介図鑑」の「リボンカスベの画像と比較されたい。因みに、私はこれを干したものを甘辛く煮たものが大好物である。同リンク先に書かれている山形県の「からがえ」「からげ」「からかい」と呼ばれるもので、私はそちらにいた古い教え子に何度もこれを送って貰ったものである。懐かしい!

 また、左下方に描かれた一個体の「ヱンカウボウ」(エンコウボウ)なるものは、私は、

軟骨魚上綱板鰓綱トビエイ目Platyrhinoidei 亜目ウチワザメ科ウチワザメ属ウチワザメ科Platyrhinidaeのウチワザメ類の一種、或いはその内の、南日本の浅海域でよく見かけるウチワザメ Platyrhina tangi

ではないかと考えている。私が同定候補として比較した画像は、英文の学術サイト“FishBase”Platyrhina tangi Iwatsuki, Zhang & Nakaya, 2011 Yellow-spotted fanray”にある、画像である。一つの同定理由は、本種の眼の上部から背びれの基部にかけて白く描かれたかなり規則正しい点状紋である。上記リンク先の画像を見ても、また、鈴木雅大氏のサイト「生きもの好きの語る自然誌」のウチワザメ Platyrhina tangiでも、そうしてまた、英名“Yellow-spotted fanray”からでも判る通り、これは本種のかなり特徴的な部位だからである。

・「スギヱ」前例に徴して「スギエイ」のこととなるが、この呼称は現存しない。この尖った魚体からすると、或いは「杉鱏(すぎえい)」ではなかろうかと、ふと思いはした。

・「ヱンカウボウ」私の同定が正しいとすれば、これは「団扇鮫」(但し、サメではなく、あくまでエイである)であるとすれば、この異名は魚体から一目瞭然、「坊」主の丸(「円」)い頭で、しかも、例の特徴的な黄色い点(図では白いが、これは死んで時間が経過して脱色してしまったか、剥離してしまったものではないかと踏んでいる)が頭頂部で「光」っているように見えるという意から、「圓光坊(円光坊)」なのではないか? と思わず、直感したのであった。但し、正しい歴史的仮名遣はこの文字列だと「ヱンクワウバウ」となるのではあるが、丹洲は国学者ではない。他の図譜の解説でも歴史的仮名遣はしばしば誤っている。だから、その違いを取沙汰して私の仮説を退けることは、残念乍ら、出来ないのである。]

 

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