栗本丹洲 魚譜 銀ザメ (ギンザメの♀或いはニジギンザメの♀)
[やぶちゃん注:図版は国立国会図書館デジタルコレクションの「魚譜」から。画像は尾部が分断されているため合成した。]
□翻刻1(原典のママ)
銀ザメ
栘氏魚譜
中ヨリ抄出ス
是田村家藏
ノ一ナリ
□翻刻2(今まで通り、読み易く約物を正字化し、推定訓読して整序した)
「銀ザメ」
「栘氏(りつし)魚譜」中より抄出す。是れ、田村家藏の一つなり。
[やぶちゃん注:全体に体色が不審であるが、先の『異魚「ツノジ」の類』と同じ手法で考えると、額部の突起物ないから♀は決まり。また、側線が前半から中央にかけて小刻みに波打っているところからは、
軟骨魚綱全頭亜綱ギンザメ目ギンザメ上科ギンザメ科ギンザメ属ギンザメ Chimaera phantasma
が同定候補となるのだが、尾鰭と区別可能な尻鰭がないという点と、棘の後ろが鋸状になっておらず、円滑であるという点では、
ギンザメ科アカギンザメ属ニジギンザメ Hydrolagus eidolon の♀も挙げておく必要があろうかとも思われる。しかし、乾燥標本(この体色は経年劣化かも知れぬ)にした結果、鰭などが毀損したとも考えられぬでもない。
「栘氏(りつし)魚譜」「栘」と判読するのに少し手間取った。これは「栗」の異体字。則ち、これは栗本丹洲の労作として知られる「栗氏魚譜」のことであると判断した。当初は、他人の魚譜と思い、いろいろ探して見たが、ピンとくるものが見当たらず、或いはと思い、「栗」の異体字を探したところ、この字に辿り着いた。考えて見れば、「抄出」した、というそっけない謂いは自分の著作からだからこそ自然であり、また、もと、自分が書写したものであるからこそ、その対象の原標本或いは原本が「田村家藏の一つなり」と断定出来るのだと腑に落ちた。但し、国立国会図書館デジタルコレクション蔵本の「栗氏魚譜」には相当する図ないようである(同図書館本は五巻分が欠けている)。
「田村家」不詳。]
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