栗本丹洲自筆「蛸水月烏賊類図巻」 ヒクラゲ
ヒクラゲ
[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館デジタルコレクションのこちらの画像を用いた。掲げた図も同じで、上下左右をトリミングしてある。図中の各所にある黒い曲線は虫食いの穴で絵とは無関係である。本図のキャプションは上記の一行のみ。本図は実物画ではなく、讃岐高松藩第五代藩主で博物学でもあった松平頼恭(よりたか 正徳元(一七一一)年~明和八(一七七一)年)が画家三木文柳に描かせた魚譜「衆鱗図」を、忠実に転写したものである(国立国会図書館の「描かれた動物・植物 江戸時代の博物誌」のこちらに載る本図の解説を参照されたい)。「ヒクラゲ」を現行和名に持つ種は、
刺胞動物門箱虫綱アンドンクラゲ目イルカンジクラゲ科ヒクラゲ属ヒクラゲ Morbakka virulent
であり、形状・色彩、及び、原図が描かれた地域も本種にきわめてよく合致するので、ヒクラゲと同定してよい。ウィキの「ヒクラゲ」によれば、『主に瀬戸内海で秋から冬にかけて見られる立方クラゲ』で、『箱型の傘と、傘の四隅から』一『本ずつ伸びる淡い桃色をした』四『本の触手を持つ。立方クラゲ類の中では大型種であり、成熟すると傘高は大きなもので』十五~二十三センチメートル、触手は最長で一メートル『以上になる』。『立方クラゲ類は、その多くが』、『ポリプ世代から直接クラゲ世代に変態するという特徴を持つが、本種はタコクラゲ』(鉢虫綱根口クラゲ目タコクラゲ亜目タコクラゲ科タコクラゲ属タコクラゲ Mastigias papua)『やサカサクラゲ』(タコクラゲ亜目サカサクラゲ科 Cassiopeidae)『などの鉢クラゲ類』(鉢虫綱 Scyphozoa)『と同様に、ポリプがまずストロビラ』(strobila:刺胞動物門鉢虫綱に属するクラゲの、皿を何枚も重ねたような形態を成す一幼生期の呼称。受精卵から浮遊幼生のプラヌラ(planula:楕円形の体で、体表に生えた繊毛で遊泳する)が生じ,次いでこれが海底におりてイソギンチャクのようなポリプ(polyp)となり、それにさらに縊(くび)れが生じてストロビラとなる。その皿状のそれぞれが遊離して花びらのようなエフィラ(ephyra)と称する稚クラゲとなる)『化し、そこからクラゲ世代へと変態する』。『強い刺胞毒を持ち、刺されると激痛を感じる。その後はヒリヒリとした痛みが数時間から数日間にかけて続き、患部はミミズ腫れのようになる。この症状が火傷に似ていることからヒ(火)クラゲという名がついたとされている』。『刺された人の体質にもよるが、大事に至ることは殆どない』。『刺された場合は速やかに陸に上がり、海水をかけて刺胞を洗い流し』、『様子を見る』とある。]
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