写真画像夢
ブラック・バックの画面――モノクロームの写真である――
奥の祭壇に肩を出した真っ白なウェデイング・ドレスを着た若い女性が笑顔で立っている――彼女は今しも祭壇から降りようとしている――その彼女の右手を初老の燕尾服を着た彼女の父らしき人物が左手で支えている――
その写真を――私は実に――就寝してから今朝未明に目覚めるまで――ただ八時間余り――凝視し続けていた……
*
こんな静止画像の夢は初めてだった。
その女性には、どこか見覚えがあるのだが、どうして思い出せないでいる。
ただ、私はその画像を夢見ながら、
『その女性は今は離婚している』
と感じていたのであった。
そうして目醒めた時――ひどく哀しい気持ちになったのを確かに覚えている。……
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