栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 赤目鯛 キントキ (キンメダイ)
赤目鯛 今え戸俗称キントキ
[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いたが、本図は魚体尾鰭の先が僅かに切れて分断されて載っているため、合成した。この合成処理はかなり上手くいった。翻刻部であるが、「え」は「盈」の崩し字としての「え」と採った。「え戸」で「江戸」の意とした。但し、「今え」の二字は経年劣化によるものとは思われない、明らかに上から薄い和紙を貼って叩いて抹消したようなに見える。しかし、だったら、下の「戸」も一緒に消しそうなものだとも思うが、では「戸俗」という熟語があるかというと、ない。不審である。消さなかったとして、
「赤目鯛〔(アカメダイ)〕」 今、江戸〔にて〕、俗〔に〕「キントキ」〔と〕称〔す〕。
と推定訓読しておく。なお、本来、「鯛」の歴史的仮名遣は「たひ」であるが、既に本「魚譜」で丹洲は「タイ」と表記しているのでそれに従った。さても、これはまず、お馴染みの、
キンメダイ目キンメダイ科キンメダイ属キンメダイ Beryx splendens
と同定してよかろうと思う。但し、「キントキ」は「金時」で金太郎(坂田金時)が赤ら顔であったとされること、或いは、坂田金時の幼少時をモデルとした歌舞伎の山姥(やまんば)物に登場する子役「怪童丸(快童丸)」が赤い衣装を着けたことから、広く「赤い色」を意味する言葉として用いられたことによる。また和名の頭の「キンメ」は「金目」で、深海魚であるキンメダイが、眼球の網膜と脈絡膜の間に集光作用を持つ輝板(きばん:英語:tapetum:タペタム)を持っているために、光を受けると、金色に輝いて見えることに由来する。]
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