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2018/06/17

諸國里人談卷之二 木葉天狗

 

     ○木葉天狗(このはてんぐ)

駿遠(すんゑん)の境(さかひ)、大井川に天狗を見る事、あり。闇なる夜、深更におよんで、潛(ひそか)に封疆塘(どてつゝみ)の陰にしのびてうかゞふに、鳶のごとくなるに、翅(つばさ)の徑り、六尺ばかりある大鳥のやうなるもの、川面(かはづら)にあまた飛來り、上りくだりして、魚をとるのけしきなり。人音(ひとおと)すれば、忽(たちまち)に去れり。是は俗に云〔いふ〕術(じゆつ)なき「木の葉天狗」などいふ類ひならん。

[やぶちゃん注:「封疆塘(どてつゝみ)」三字へのルビ。「疆」は「境」の意で、通常、「封疆」(ほうきやう(ほうきょう))は「国境(くにざかい)」を指す。ここはその意味でも(駿河国と遠江国の国境)一致している。「塘」は「堤」に同じ。

「六尺」一メートル八十二センチ弱。因みに鳶(タカ目タカ科トビ属トビ Milvus migrans)の翼開長は一メートル五十センチから一メートル六十センチ程である。

「術(じゆつ)なき」はかばかしい神通力を持っていないこと。但し、ウィキの「木葉天狗を見ると、『江戸時代の随筆や怪談など各種文献に多く名が見られる天狗の一種。境鳥(さかいどり)とも呼ばれる』として、本書の本条を引いた上で、『人に似た顔と手足を持ち、くちばし、翼、尾羽を備えているとの説もある』。松浦静山の随筆「甲子夜話」巻七十三の六項には、『静山の下僕・源左衛門が』七『歳の頃に天狗にさらわれたとされる天狗界での体験談が述べられており、その中に木の葉天狗の名がある。それによれば、天狗界では木の葉天狗は白狼(はくろう)とも呼ばれており、老いた狼が天狗になったものとされ、山で作った薪を売ったり』、『登山者の荷物を背負ったりして、他の天狗たちが物を買うための資金を稼いでおり、天狗の中でもその地位はかなり低いという』。『また』、『山口県岩国の怪談を収集した書物』「岩邑怪談録」には『木の葉天狗が人間をからかった話がある。宇都宮郡右ェ門という猟師の前に木の葉天狗が小僧に化けて現れ』、『「銃を撃ってみろ」とからかい、郡右ェ門が小僧を木の葉天狗と見抜いて銃を撃つと、木の葉天狗は少しも驚くことなく「弾はここだ」と言って弾を返して姿を消したとある(当時の銃は火薬と弾を別に仕込むので』、『弾を抜いて空砲にする事が出来た)。このことから、地位の低い天狗といっても』、『変化能力などの神通力がある程度は備わっていたと解釈する説がある』。『一方では、河鍋暁斎による錦絵』「東海道名所之内 秋葉山」には、『樹上で寛ぐ木の葉天狗たちの姿が描かれていることから、術を持たない人畜無害な存在とする説もある』とある。]

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