諸國里人談卷之二 蛙石
○蛙石(かはづいし)
攝津國東生(ひがしなり)郡林寺村〔はやしじむら〕の民家の裏にあり。鳥蟲の類ひ、此石のうへにとまれば、石の頂(いたゞき)、二ツに割(われ)て、口をひらくがごとくにして、鳥蟲(とりむし)を墮(おと)し入〔いれ〕て、又、元のごとし。たゞ蛙(かはづ)の物を吞(のむ)に似たり。よつて、此名あるなり。又は「殺生石」ともいひつたへたり。今に有(あり)。
[やぶちゃん注:非常に残念なことに、このトビッキリに日常を侵犯する那須野の殺生石(せっしょうせき)も吃驚りの怪石は、これ、現存しないようである。見たかったなぁ、食べて閉じる、とこ。
「東生(ひがしなり)郡林寺村」現在の天王寺駅の東直近、旧大阪府東成(ひがしなり)郡生野(いくの)村であった大阪府大阪市生野区林寺(はやしじ)附近であろう。ここ(グーグル・マップ・データ)。当時は相模小田原藩の藩領であった。]