栗本丹洲自筆巻子本「魚譜」 コダイ (キダイ 初めての「鯛」)
棘鬣【コダイ ザヽメキ】
[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションのこちら(「魚譜」第一軸)の画像の上下左右をトリミングして用いた。実に本巻子本の頭から数えて十八尾目にして、初め全体に「鯛」らしい形をしている魚図である。キャプションに大きく「棘鬣」とあるが、これは音で「キョクリョウ」(現代仮名遣)と読み、背鰭の棘条が鋭く目立つことから、「棘鬣魚」(きょくりょうぎょ)で「鯛」のことを指す(しかし、肝心の背鰭は棘条が刈り込まれてしまったようになっている。或いは魚屋が気を利かしたつもりで、丹洲(或いはこれは別人の魚譜の写本かも知れぬから別な博物学者か絵師)のもとの持って来た際、棘で先生が怪我しちゃいけねえ、ってんで実際に截ち切ってしまったものかも知れない。そんな風にいかにも背鰭が人工的にすっきり切られたような違和感があるのである)。但し、この図の魚、「鯛」らしくはあるが、所謂、正統真正のマダイ(条鰭綱スズキ目タイ科マダイ亜科マダイ属マダイ Pagrus major)などに比べると、どうも、顔つきがずんぐりむっくりしている。楕円形で体高が有意にある(実はマダイはもっとスマートである)点から、私は本図は、
スズキ目スズキ亜目タイ科キダイ属キダイ Dentex hypselosomus
ではないかと思う。にしても、真正のタイ科 Sparidae の種への同定は初めてであることに変わりがないのである。「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」の「キダイ」を見ると、地方名・流通名に「コダイ」があり、また、「ザサメキ」に近似したものに「メッキ」「メッキダイ」を見出せる。]
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