諸國里人談卷之四 無ㇾ澁榧
○無ㇾ澁榧(しぶなしかや)
甲斐國二の宮の社地に大木の榧あり。澁は皮のうらに付〔つき〕て仁(たね)に澁なく、至つて白し。此種を他に栽(うゆ[やぶちゃん注:ママ。])るに生ぜずと也。
[やぶちゃん注:「榧」裸子植物門マツ綱マツ目イチイ(一位/櫟)科カヤ属カヤ
Torreya nucifera。ウィキの「カヤ」によれば、『種子は食用となる。そのままではヤニ臭く』、『アクが強いので』、『数日間』、『アク抜きしたのち』、『煎るか、土に埋め、皮を腐らせてから』、『蒸して食べる。あるいは、灰を入れた湯でゆでるなどしてアク抜き』し、その後、『乾燥させ、殻つきのまま煎るか』、『ローストしたのち』、『殻と薄皮を取り除いて食すか』、『殻を取り除いた実を電子レンジで数分間加熱し、薄皮をこそいで実を食す方法もある。果実から取られる油は食用、灯火用に使われるほか、将棋盤の製作過程で塗り込まれる。将棋盤のメンテナンス用品としても使用される。また、山梨県では郷土の食品として、実を粒のまま飴にねりこみ、板状に固めた「かやあめ」として、縁日などで販売される。また、カヤの種子は榧実(ひじつ)として漢方に用いられるほか、炒ったものを数十粒食べると』、『サナダムシの駆除に有効であるといわれる』とある。
「甲斐國二の宮の社地」現在の山梨県笛吹市御坂町二之宮にある美和神社は史料としては、「日本三代実録」貞観五(八六三)年六月八日の条に初見するが、そこには『同日に美和神社は従五位に叙せられ、一条天皇から二宮の号を与えられたと』あるとする(ウィキの「美和神社」より引用)。]