諸國里人談卷之三 秋葉神火
○秋葉神火(あきはのしんくわ)
遠江國秋葉山(あきはさん)より、夜(よる)、玉のごとくの火、幾許(いくばく)ともなく空中を飛(とん)て、沖の方へ行く事、折(をり)として、あり。土人、是を「狗賓(てんぐ)の漁(りやう)あり」と云り。將(はたし)て、其二、三日は浦々の漁獵(ぎよりやう)、曽(かつ)て、なし。
[やぶちゃん注:「遠江國秋葉山」現在の静岡県浜松市天竜区春野町領家にある秋葉山(あきはさん)。赤石山脈南端にあり、標高八百六十六メートル。ここ(グーグル・マップ・データ)。詳しくは秋葉山の怪異を語る、私の「耳囊 卷之三 秋葉の魔火の事」、また、『柴田宵曲 妖異博物館 「秋葉山三尺坊」』を参照されたい。
「狗賓」天狗に同じい。]