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2018/09/03

和漢三才圖會第四十二 原禽類 白鷴(ハツカン) (ハッカン)

 

Hakkan

 

はつかん 白【音寒】閑客

白鷴

ベツヒヱン

[やぶちゃん注:「」は東洋文庫版を一部参考にした(東洋文庫版は「鳥」を付けない)が、原典は二字ではなく、一字にしか見えず、しかも「鳥」の上に「幹」の字のような字(旁(つくり)の(かさ)の下が「未」のように見える字)がくっ付いたものである。]

 

本綱白鷴出江南雉之屬也似山雞而色白有黑文如漣

漪尾長三四尺體備冠距紅頰赤嘴丹爪其性耿介

其卵可以雞伏【肉甘平】又有黑鷴

△按白鷴近年自中華來其羽毛甚美畜于樊中爲珍

 

 

はつかん 白鳥〔(はつかん)〕【音、「寒」。】

     閑客

白鷴【「」も同じ。】

ベツヒヱン

 

「本綱」、白鷴、江南に出づ。雉の屬なり。山雞〔(やまどり)〕に似て、色、白く、黑き文、有り、漣-漪(さゞなみ)のごとし。尾、長さ、三、四尺。體に冠(さか)・距(けづめ)を備へ、紅き頰、赤き嘴、丹〔(あか)〕き爪あり。其の性、耿介〔(こうかい)〕なり。

其の卵、雞〔(にはとり)〕を以つて伏〔(ふさ)〕すべし【肉は甘、平。】。又、黑鷴〔(こくけい)〕、有り。

△按ずるに、白鷴、近年、中華より來たる。其の羽毛、甚だ美なり。樊〔(かご)〕の中に畜〔(か)〕ひて、珍と爲す。

[やぶちゃん注:キジ目キジ科 Lophura 属ハッカン Lophura nycthemera。中国南部(本文の「江南」に一致)及びインドシナ半島・ミャンマーにかけて棲息し、ウィキの「ハッカン」によれば、♂で全長九十~百三十センチメートル、体重九百グラムから一・五キログラム、♀で全長五十~七十センチメートル、体重七百から一キログラムになる。♂は『白と黒の染め分けになった独特の羽毛を持ち(種小名nycthemeraはこの染め分けのコントラストに因む命名で『夜のような黒』と言った意味が込められている)、顔の裸出と脚の赤が目立つ』が、♀『は多くのキジ類と同じく』、『褐色で地味』である。標高二千七百メートル『前後の山地の森や竹薮に暮らして』おり、『地上性』で、『餌は草の実や芽、昆虫など。繁殖期にはオスは金属的な鳴き声を発する』。平凡社の「世界大百科事典」で補足すると(コンマを読点に代えた)、♂は『頭部には黒色の冠羽があり、顔は裸出して赤い。のどから下腹にかけては』、『青みを帯びた光沢ある黒色で、背面は白く、黒く細い横線があり、尾羽は白く、脚は赤い』。『ハッカンは飼鳥として著名で、江戸時代の飼鳥の本には、クジャク、キンケイとともに飼い方が記されている』とある。確かに♂の白黒赤のコントラストが非常に美しいグーグル画像検索「Lophura nycthemeraをリンクさせておく。

「白」「」は既に注した通り、原典では、「鳥」の上に「幹」の字のような字(旁(つくり)の(かさ)の下が「未」のように見える字)がくっ付いたものである。中文サイトを調べると、「」を雉子の別名とする意外に、この単漢字で「ハッカン」を意味するという古辞書もある。いろいろ調べているうちに、国立国会図書館デジタルコレクションの、常陸笠間藩第四代藩主牧野貞幹天明七(一七八七)文政一一一八二八)年)の描いた「鳥類写生図の中に白鷴の雄と雌の絵を見出したので、以下に掲げる(孰れも上下左右をトリミングした)。

 

Hakkanosu

 

Hakkanmesu

 

この雄の図の右上にキャプションがあり、そこには、

 

白鷴【和名 カノコ鳥 或云 シラキジ】

 釈名 白※ 閑客

    一名 越禽【呉名】

    鷴鳥【典籍便覧】

    玄素【紺珠】

 

とあり、「※」の部分に、まさにこの「和漢三才図会」の原典の字が使われているのを確認出来た

「耿介〔(こうかい)〕」前の「鶡雞(かつけい)(ミミキジ)」にも出た。「堅く志や節を守ること」の意。ここでは習性を語っていないのであるが、こちらの個人ページのハッカンの解説によれば、『ハッカン、と聞くと耳慣れない名前だが、要はキジの仲間である。濃い紺色と白のコントラストが美しい、至極見事な姿のキジだ。英語圏では「銀色のキジ」と言う呼び名で親しまれている』(ハッカンの英名は Silver Pheasant で「フェゼント」は雉の意)。『飼い鳥の事を詳しく編纂した昔の図鑑に曰く、「ハッカンは非常に猛々しい鳥で、禽舎内で人に向かってくる事など珍しくなく、発情期には猛り狂って同居するメスを殺してしまう事がある」とある。だがこれは、前世代的な狭い禽舎内で飼われた末の病的な反応らしい。以前、都内某所の子供動物園に出かけた時、卵を抱きかかえ身じろぎもしないメスのハッカンと、それを守るようにケージの目の前に仁王立ちするオスのハッカンを見た。客がメスを見ようと身を乗り出すと、その動きに合わせてオスは客の前に立ちはだかり、大きな尾羽を広げてメスを覆い隠そうとする。明らかに彼は自分の連れ合いを客の視線から守っていた。元来、キジ類のオスは子育てにあまり関与しない、と言われてはいる。しかし、こんな意見もある。「キジ類のオスが豪奢な姿をしているのは、繁殖期に多くのメスを惹きつけるのみならず、メスが子育てする時節、目立つ姿で捕食者の視線を自分に向けて子供とメスを守ろうとする習性があるからだ」』と。『真偽の程は定かではないが、しかし前述のハッカンのエピソードはまさしくその説に当てはまる。動物の行動とは図鑑の説明だけで推し量れるものでない事を、ハッカンは身を以って私に教えてくれたような気がする』(とても素晴らしい解説と観察記録なので、解説部を総て引かせて貰った)とあり、この毅然とした態度はやはり、「堅く志や節を守ること」の方だろうと感じたものである。

「伏〔(ふさ)〕すべし」意味を採り易いように使役で訓じた。「抱卵させるとよい」であるが、何故かは「本草綱目」にも記していない。♀が抱卵をやめることがままあるものか。

「黑鷴」中文の百度百科「黑を見ると、ハッカン属ミヤマハッカン(深山白鷴)Lophura leucomelanos のことであることが判る。ヒマラヤ山脈やタイに分布する。アメリカ合衆国のハワイ州には一九六二年に導入され、帰化していると、ウィキの「ミヤマハッカン」にあった。ハッカンとの違いは、名にし負うており、グーグル画像検索「Lophura leucomelanosを見れば、一目瞭然。

「樊」既出既注。「籠」に同じい。]

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