甲子夜話卷之五 18 大阪御殿、長押の上に大猷廟の御繪ある事
5-18 大阪御殿、長押の上に大猷廟の御繪ある事
大阪御城中御殿の張付は、金地に秋草の繪なり。長押の上も金張付にて、一處猷廟の御筆にて、鷄を墨畫にかかせ玉ふ有り。御戲筆なるべし。又あき御殿ゆゑ、席は鋪かずあれども、彼御筆の前には一疊を鋪てあり。人其處に到れば、御筆を拜すと云。
■やぶちゃんの呟き
「長押」「なげし」。
「張付」「はりつけ」。ここは布や紙等を張って仕上げた壁面や室内建具その他。
「金張付」「きんはりつけ」。
「猷廟」徳川家光。
「席」東洋文庫には『たたみ』とルビする。
「鋪かず」「しかず」。敷かず。
「鋪て」「しきて」。