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2018/10/23

和漢三才圖會第四十二 原禽類 𪇆𪄻(さやつきどり) (ヨシゴイ) / 第四十二 原禽類~了

Yosigoi

 

さやつきとり

      【和名佐夜

       豆木止里】

𪇆𪄻

      【今按蘆五

       位鷺乎】

よしごい

 

龢名抄載四聲字苑云𪇆𪄻黃色聲似舂者相杵也

按不言其形狀未知何鳥也蓋獨舂【本綱爲鶡異名字彙爲布殼異名】

 諸説未詳恐此俗云蘆五位鷺矣

蘆五位鷺【一名特牛鳥】 狀似水雞而稍大頭背腹皆柹赤色

 黑斑翅及觜灰黑色脚黃而帶青色在葦葭中其形小

 而聲大者無甚於此者宛然如牛吼故俗稱特牛鳥又

 似舂者下杵出力言愠愠也其飛行速而難捕肉味不

 美故不取之蓋是𪇆𪄻矣識者正之

 

 

 

さやつきどり

      【和名、「佐夜豆木止里」。】

𪇆𪄻

      【今、按ずるに、

       「蘆五位鷺(よし〔ごゐさぎ〕)」

       か。】

よしごい

 

「龢名抄」に「四聲字苑」を載せて云はく、『𪇆𪄻、黃色、聲、舂(うすつ)く者の相-杵(きうた)に似たり』となり。

按ずるに、其の形狀を言はず。未だ何の鳥といふことを知らざるなり。蓋し、「獨舂」【「本綱」は「鶡」の異名と爲し、「字彙」に〔は〕「布殼」の異名と爲す。】は諸説〔ありて〕、未だ詳らかならず。恐らくは、此れ、俗に云ふ「蘆五位(よしごゐ)」といふ鷺(さぎ)か。

蘆五位鷺【一名、「特牛鳥(こてい〔どり〕)」。】 狀〔(かた)〕ち、水雞(くいな)に似て稍〔(やや)〕大きく、頭・背・腹、皆、柹赤色。黑斑〔の〕翅、及び、觜、灰黑色。脚、黃にして青色を帶す。葦〔(あし)〕・葭〔(よし)〕の中に在りて、其の形、小さく、聲、大なることは、此れより甚だしき者、無し。宛然(さながら)、牛の吼(ほ)ゆるがごとし。故に俗に「特牛鳥(こていどり)」と稱す。又、舂(うすつ)く者、杵(きね)を下〔(おろ)すに、力を出だして「愠愠(ウンウン)」と言ふに似たり。其の飛〔び〕行〔くこと〕、速(はや)くして、捕へ難し。肉味、美ならず。故に、之れを取らず。蓋し、是れ、「𪇆𪄻」か。識る者、之れを正せ。

[やぶちゃん注:これが「原禽類」の掉尾である。いろいろな角度から検証してみて、最終的に私は良安の推定見解に賛同し、本種を、私の大好きな、

サギ亜目サギ科サンカノゴイ亜科ヨシゴイ属ヨシゴイ Ixobrychus sinensis

に比定同定するものである。ウィキの「ヨシゴイ」より引く。東アジア・東南アジア及び南洋諸島など、広く分布する。本邦には夏季、繁殖のために『飛来(夏鳥)するが、本州中部以南では越冬例もある』。全長三十一~三十八センチメートル、翼開長五十三センチメートル。『上面は褐色、下面は淡黄色の羽毛で覆われる。小雨覆や中雨覆、大雨覆の色彩は淡褐色、初列雨覆や風切羽の色彩は黒い』。『虹彩は黄色。嘴の色彩はオレンジがかった黄色』。『幼鳥は下面が白い羽毛で覆われ、全身に褐色の縦縞が入る。オスは額から頭頂にかけて青みがかった黒い羽毛で覆われる。また』、『頸部から胸部にかけて』、『不鮮明な淡褐色の縦縞が』一『本入る』。『メスは額から頭頂にかけて赤褐色の羽毛で覆われ、額に暗色の縦縞が入る個体もいる。また頸部から胸部にかけて不鮮明な褐色の縦縞が』五本、入っている。『湿原や湖、池沼、水田などに生息する。ヨシ原に生息することが和名の由来。単独もしくはペアで生活する。薄明薄暮性。開けた場所には現れず、ヨシ原を低空飛行し獲物を探す。危険を感じると上を見上げて頸部を伸ばし、静止したり左右に揺れる。これにより下面の斑紋がヨシの草と見分けづらくなり、擬態すると考えられている』(これは鳥の巧妙な擬態の典型例として知られる。私の幼い頃の鳥類図鑑にも載っていたのを懐かしく思い出す)。『食性は動物食で、魚類、両生類、昆虫、甲殻類などを食べる。水辺や植物の茎の間で獲物を待ち伏せし、通りかかった獲物を頸部を伸ばして捕食する。『繁殖形態は卵生。茎や葉を束ねた皿状の巣に』、本邦では五~八月三~七個の『卵を産む。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は』十七日から二十日。雛は孵化後、約十五日で巣立つ、とある。実は、以上は既に「水禽類 鵁鶄(ごいさぎ)」の項で引用している(そもそも本種も「水禽類」に入れるべき種である。尤もこれは時珍の「本草綱目」の混乱に原因があり、良安はにも拘らず、美事に正しい正解を引き出しているのである)ので、今回は、私の好きな「日本野鳥の会」会員(奈良支部)の今仲嶺雄氏のサイト「馬見丘陵公園の野鳥」の「ヨシゴイ(ペリカン目サギ科)葭五位」から引用させて戴く。まず、属名『Ixobrychus(イクソブリュックス』は『ギリシャ語でヤドリギを食う』の意で、これは『ローマの伝承から』。『sinensis(シネンシス』)はよくある『中国産の』の意。英名は『Yellow(黄色い) Bittern(サンカノゴイ類』『雄牛のように大きなもの』の意とある。本種は『レッドリスト』で『準絶滅危惧種』に、『奈良県レッドリスト』では『絶滅危惧種』に指定されてしまっている。『東アジアから東南アジア・インドにかけてとミクロネシア西部・セーシェル諸島に分布』し、『日本には、夏鳥として全国に渡来し、アシ原、水田、湿地、湖沼、河川などに生息する。北海道では少ない。本州中部以南では越冬するものもいる。アシなどの葉を集めて皿型の巣を造る。草の上を低くすれすれに飛ぶことが多い』。その鳴き声は、特に『繁殖期の夜中に「オーオー」と繰り返し鳴く』のがよく知られる。『名の由来』は『葭原にすむゴイサギの意で、葦ゴイ(ヨシゴイ)』で、『江戸時代前期から「ヨシゴイ」の名で知られている。異名』は『「サヤツキドリ」「ヒメゴイ」「ボンノウサギ」』。『サギ類中最も小さ』く、『成鳥』は『額から後頭が青みのある黒色で、背、肩羽からの上面が茶褐色。喉から体下面は淡黄白色で、淡茶褐色の縦斑が中央にあるが』、『不明瞭。翼上面は淡褐色の大・中・小雨覆と黒褐色の風切や初列雨覆とのコントラストがあり、飛翔時は良く目立つ。嘴は淡黄色で、上嘴は黒っぽい。足は緑黄色。虹彩は黄色』。『』の『成鳥』は『に比し』て『全体的に淡色で、前頭の黒色部はないか、あっても縦斑で、後頭だけが青黒色。喉からの体下面は淡黄白色で、頸から胸にかけての褐色の縦斑が』五『本ある』。『幼鳥』は『』の『成鳥よりも体下面が白く、喉から腹や、頭部からの上面、翼などに褐色縦斑が密にある』とある。

「龢名抄」「和名類聚鈔」のこと。「龢」は「和」の異体字。同書の第十八巻の羽族名第二百三十一に、

   *

𪇆𪄻 「四声字苑」云、『𪇆𪄻【独舂二音「漢語抄」云、『独舂鳥、佐夜豆木土里』。】]鳥、黃色、声、似舂者相杵也。

   *

とある。言っておくが、「𪄻」の(つくり)は「春」ではなく、「舂」であるので要注意!

「四聲字苑」「和名類聚鈔」では「説文」に次いで百四十二も例をここから引く(引用元としては七番目に多い。これは宮澤俊雅氏の論文「倭名類聚抄諸本の出典について」(『北海道大學文學部紀要』一九九七年一月刊・PDF)に拠った)が、未詳の書物であると東洋文庫版書名注にある。

「舂(うすつ)く者の相-杵(きうた)に似たり」「相杵」とは、思うに、柄の両端に対称的に小杵をつけた「麦搗(むぎつ)き杵(きね)」のことではなかろうか。ヨシゴイの鳴き声が、臼(うす)をその麦搗き杵で舂(つ)く際の音に似ている、というのであろう。

「鶡」キジ目キジ科ミミキジ属ミミキジ Crossoptilon mantchuricum。前項「鶡(かつたん)(ミミキジ)」を参照。

「字彙」明の梅膺祚(ばいようそ)によって一六一五年に編纂された漢字字典。本文は十二支を当てた十二巻に分かれ、首巻と巻末を合わせて十四巻に二百十四部首の中に三万三千百七十九字を収める。

「布殼」前項「鶡(かつたん)(ミミキジ)」の「𪇆𪄻〔(さやつどり)〕」の注で示した通り、K'sBookshelf」の「臼部」の「𪄻」(ショウ・シュ)に「𪇆𪄻(しょくしょう)」はカッコウ(郭公)で、カッコウ科カッコウ属の鳥とし、「𪅖」「布穀鳥(ふこくちょう/ふふどり)」は同じ鳥の異名であるとする。則ち、カッコウ目カッコウ科カッコウ属カッコウ Cuculus canorus のことである。

「特牛鳥(こてい〔どり〕)」山口県下関市(旧豊北町)には特牛(こっとい)という地名がある。調べてみたが、「特牛」を「こてい」と読む由来は妖しげなものばかりで、載せる気にならなかったが、非常に面白く読ませるのは、hikoimasuブログ海峡24時」特牛は、なぜコットイと読む?である。それのよれば、「万葉集」や「日本書紀」にこの訓が見られるとある。

「水雞(くいな)」ツル目クイナ科クイナ属クイナ 亜種クイナ Rallus aquaticus indicus水禽類 水雞(クイナ・ヒクイナ)を参照。

「葦〔(あし)〕・葭〔(よし)〕」孰れも同一の単子葉植物綱イネ目イネ科ダンチク(暖竹)亜科ヨシ属ヨシ Phragmites australis を指す。ウィキの「ヨシによれば、『もともとの呼び名は「アシ」であり、日本書紀に著れる『豊葦原(とよあしはら)の国』のように、およそ平安時代までは「アシ」と呼ばれていたようである。更級日記においても』、『関東平野の光景を「武蔵野の名花と聞くムラサキも咲いておらず、アシやオギが馬上の人が隠れるほどに生い茂っている」と書かれている』。八『世紀、日本で律令制が布かれて全国に及び、人名や土地の名前に縁起のよい漢字』二『字を用いる好字が一般化した。「アシ」についても「悪し」を想起させ連想させ』て『縁起が悪いとし、「悪し」の反対の意味の「良し」に変え、葦原が吉原になるなどし、「ヨシ」となった。このような経緯のため』、『「アシ」「ヨシ」の呼び方の違いは地域により変わるのではなく、新旧の違いでしか無い。現在も標準和名としては、ヨシが用いられる。これらの名はよく似た姿のイネ科にも流用され、クサヨシ』(イネ科イチゴツナギ亜科カラスムギ連クサヨシ属クサヨシ Phalaris arundinacea)・『アイアシ』(イネ科アイアシ属アイアシ Phacelurus latifolius)『など和名にも使われている』とある。

「蓋し、是れ、「𪇆𪄻」か。識る者、之れを正せ」東洋文庫訳は『果たしてこれが𪇆𪄻』なる鳥『なのかどうか、識者の御教示を乞う』と、あたかも、何時も私が最後に添えるようなことを良安は言っている。今まで電子化してきた「和漢三才図会」には一度も出なかった気弱な言葉で、私はちょっとびっくりしている。良安先生! ゼッタイ! 合ってます!!!

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