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2018/10/31

萩原朔太郎詩集「月に吠える」正規表現版 貝

 

   

 

つめたきもの生れ、

その齒はみづにながれ、

その手はみづにながれ、

潮さし行方もしらにながるるものを、

淺瀨をふみてわが呼ばへば、

貝は遠音にこたふ。 

 

[やぶちゃん注:初出は『卓上噴水』大正四(一九一五)年五月発行に掲載。初出形は、は以下。

   *

 

  

つめたきものうまれ

その手は水にながれ

齒はながれ

潮(しほ)さし行方もしらにながるるものを

淺瀨をふみてわがよべば、

貝は遠音(とほね)にこたふ。

 

   *

 なお、筑摩版「萩原朔太郞全集」第一巻の『草稿詩篇「月に吠える」』には、本篇の草稿として『貝(本篇原稿三種三枚)』とし、二篇が載る。以下に示す。表記は総てママである。

   *

 

  

 

つめたきもの生れ

その手は水にながれ

その齒は砂にながれ

しほさし

遠瀨州にかくれ

淺州

 

 

  

 

つめたきもの生れ

その手は水にながれ

砂□□□□

齒は砂にながれ

足はしほさしゆくえをしらにながるゝもの

貝の□□□□いのりを

□□の

あさりはまぐりの貝せをわたりふみてしばしきく

遠音に貝のいのるをきくばかり

 

   *]

 

 

 

Ketai

 

[やぶちゃん注:前掲の「貝」末尾の二行が見開きの八十八ページ(右)、その左に田中恭吉の強烈な(と私は感じる)一枚「懈怠」が配されてある。生誕百二十年記念として和歌山県立近代美術館で催された「田中恭吉展」「出品目録」PDF)よれば、この元画は「シリーズ「心原幽趣I」の「XII 懈怠」で、大正四(一九一五)年二月二十六日の作(インク・彩色、紙)とある。既に挿絵目次で既注であるが、再掲すると、「けたい」或いは「けだい」と読み、原義は仏道修行に励まぬこと、怠り怠けることを指す。]

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