和漢三才圖會第四十三 林禽類 孔雀鳩(くじやくばと) (クジャクバト)
くじやくはと
孔雀鳩
△按孔雀鳩形色似斑鳩尾異凡鳩尾皆十二此鳩尾有
二十四雌雄交則共立其尾而如摺扇亦如立孔雀尾
故俗名孔雀鳩近年自中華來畜之樊中生子以爲珍
*
くじやくばと
孔雀鳩
△按ずるに、孔雀鳩、形・色、斑-鳩〔(はと)〕に似て、尾、異なり。凡そ、鳩の尾、皆、十二〔なるに〕、此の鳩は、尾、二十四有り。雌雄交はるときは、則ち、共に其の尾を立てて、摺扇〔(せんす)〕のごとし。亦、孔雀の尾を立つるがごとし。故に、俗に「孔雀鳩」と名づく。近年、中華より來たる。之れを樊〔(かご)の〕中に畜ひ、子を生〔ませ〕、以つて珍と爲す。
[やぶちゃん注:複数回既出のハト目ハト科カワラバト属カワラバト Colombo livia var domesticaの一品種。サイト「珍動物」のこちらによれば、『カワラバトを品種改良して作』り『出された観賞用のハトで』、五『世紀以上前にインドで誕生したと』される。『通常のハトよりも尾羽の枚数が』二倍から三倍『ほど多く、その羽根を広げるとクジャクのような』感じに『なるため「クジャクバト」と名付けられ』たとある。所謂、「ファンテイル」=「fantail」で、幅広の扇(ファン)形をした尾を持つあれだ。「進化論講話 丘淺次郎 藪野直史附注 第三章 人の飼養する動植物の變異(3) 二 鳩の變種」の挿絵を見られれば、「ああ、あれか」と合点されるはずである。実際、白色の個体が多く、しばしば見かけるのであるが、私は何故か生理的に嫌いな鳩である。あの白い広げた尾羽に私は逆に異様な不潔感というか、卑猥な印象を感じてしまうのである。恐らくは、私自身を精神分析すれば、深層に驚くべき理由が何かありそうな気はするのだが。或いは、まさにここに書かれているような交尾シーンを幼少期に動物園かどこかで見てしまったトラウマなのかも知れぬ(しかし、それでは精神分析にはならぬ。何かの代償的な性的体験があってこそフロイト的である)。というわけで、これ以上、注する気にはなれぬ。悪しからず。]
« 和漢三才圖會第四十三 林禽類 目次・斑鳩(はと) (シラコバト・ジュズカケバト) | トップページ | 和漢三才圖會第四十三 林禽類 青䳡(やまばと) (アオバト) »