和漢三才圖會第四十三 林禽類 䳜 (トットウドリ:やぶちゃん命名)
䳜【音徒】
トウ
三才圖會云鳥鼠同穴爾雅云其鳥爲䳜其鼠爲鼵其穴
入地三四尺鼠在内鳥在外字彙云似鵽而小黃黑色與
鼠同穴
*
䳜【音、「徒」。】
トウ
「三才圖會」に云はく、『鳥と鼠と穴を同じくす』〔と〕。「爾雅」に云はく、『其の鳥を「䳜」と爲し、其の鼠、「鼵〔(トツ)〕」と爲す。其の穴、地に入〔ること〕、三、四尺。鼠、内に在り、鳥は外に在り』〔と〕。「字彙」、云はく、『鵽に似て小さく、黃黑色。鼠と穴を同じうす』〔と〕。
[やぶちゃん注:惜しいなあ! 鳥と獣類の稀有の共生例になるのに! トンデモ幻想地誌「山海経」にも出る、幻想上の鳥。「三才図会」は「䳜鳥」で、こちら(図版)とこちら(本文)。孰れも国立国会図書館デジタルコレクションの画像。よっしゃ! 漢名は「鼵䳜鳥」で「トットドリ」と命名しよう!
「三才圖會」明の類書(百科事典)。王圻(おうき)の著。全百六巻。一六〇七年に成立した。「三才」とは天・地・人のことであり、天文・地理・人物・時令・宮室・器用・身体・衣服・人事・儀制・珍宝・文史・鳥獣・草木の十四部門に分けた事物を、豊富に図を取り入れて説明したもの。後に王圻の子の思義が続編を刊行した。寺島尚順良安の本「和漢三才図会」は本書に日本の事柄を腑やして加えた書。
「爾雅」著者不詳。紀元前
二〇〇年頃に成立した、現存する中国最古の類語辞典・語釈辞典。
「字彙」明の梅膺祚(ばいようそ)の撰になる字書。一六一五年刊。三万三千百七十九字の漢字を二百十四の部首に分け、部首の配列及び部首内部の漢字配列は、孰れも筆画の数により、各字の下には古典や古字書を引用して字義を記す。検索し易く、便利な字書として広く用いられた。この字書で一つの完成を見た筆画順漢字配列法は清の「康煕字典」以後、本邦の漢和字典にも受け継がれ、字書史上、大きな意味を持つ字書である(ここは主に小学館の「日本大百科全書」を参考にした)。]
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