和漢三才圖會第四十三 林禽類 仙遊鳥(せんゆうどり) (センニュウ)
せんゆうとり 正字未詳
仙遊鳥
△按仙遊鳥狀小似眼白鳥形色似雲雀觜黑色其尾能
開合擴則如孔雀尾人畜之弄翫其聲不應形高亮似
鸎喞喞聲性畏寒不易育
*
せんゆうどり 正字は未だ詳らかならず。
仙遊鳥
△按ずるに、仙遊鳥、狀、小さく、眼白鳥〔(めじろ)〕に似る。形・色〔は〕雲雀〔(ひばり)〕に似る。觜、黑色。其の尾、能く開合す。擴(ひろげ)るときは、則ち、孔雀の尾のごとし。人、之れを畜ひて、弄翫す。其の聲、形に應ぜず、高亮なり。鸎の「喞喞(きよつきよつ)」の聲と似〔たり〕。性、寒を畏れ、育て易すからず。
[やぶちゃん注:スズメ目スズメ亜目スズメ小目ウグイス上科センニュウ科
Locustellidae(ヒタキ科ウグイス亜科 Sylviinae ともする)のセンニュウ属Locustella(ロクステラ:ラテン語で「Locusta(バッタ)に似たもの」)の仲間。センニュウは「仙入」と漢字表記するが、語源は不明で、英語では対応する語がなく、スズメ亜目ヨシキリ科ヨシキリ属オオヨシキリ Acrocephalus arundinaceusやスズメ目セッカ科セッカ属 Cisticola・スズメ目ウグイス上科ウグイス科ウグイス属
Horornisなどとともに「warbler」とよばれる。センニュウ属Locustellaの仲間はユーラシアにのみ分布し、七種が知られているほか、一九七二年に樺太(サハリン)で採集された標本によって新種として記載されたが、エゾセンニュウ Locustella fasciolata との異同がはっきりしないものがある。孰れも褐色の地味な姿をしており、全長約十二~十八センチメートルで、藪か草原に棲み、草や低木の枝を伝いながら、昆虫を啄み、南へ渡って越冬する。囀りは、それぞれの種によって特徴があり、姿は似ていても、鳴き声によって識別することは難しくない。日本には、夏鳥として、先に示したエゾセンニュウの他、
シマセンニュウ Locustella ochotensis
マキノセンニュウLocustella lanceolata
が棲息し、稀に、
シベリアセンニュウ Locustella certhiola
も観察されている。ヨーロッパの種群は湿地や川べりの鳥として、人々に親しまれている。巣は、草むらかやぶの地上近くにつくるものが殆んどである(ここは主文を小学館「日本大百科全書」に拠った)。毎度、お世話になるサイト「馬見丘陵公園の野鳥」の「マキノセンニュウ(スズメ目センニュウ科)牧野仙入」によれば、『日本では、主に夏鳥として北海道北部や東部の平地の草原、潅木のある湿地、牧草地などに渡来し、繁殖する。草薮の中を歩き回っていて、人が近づくと足元から飛び立ち、短距離を飛んで草中に入る。本州以南では旅鳥として出現するが』、『記録は少ない』とあり、声は地鳴きが『チュッ、チュッ』、「囀り」は『朝夕や夜間、少し高い草の茎やフキの葉の上で「チリリリリ・・・・・・・・」と方向性のない音質の声で虫のように鳴く』とあり、『江戸時代中期にセンニュウ類として「センニウ」の名が記されていて、「センユウトリ」「センカ」の異名が知られている』とされ、名の『センニュウ』『は「仙遊鳥センユウドリ」から変化したものであろうが、鳥名の由来は不明』とある。You Tube の「野鳥動画図鑑 - Wild Bird Japan」の「マキノセンニュウ(4)さえずり(小刻みに鳴く)」をリンクさせておく。]
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