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2018/12/26

和漢三才圖會第四十三 林禽類 伊須加鳥(イスカドリ) (イスカ・ヤツガシラ)

 

Iasuka

 

いすかどり 正字未詳

伊須加鳥

      【俗云伊須加止利】

 

△按伊須加鳥狀大如鸜鵒而頭背蒼赤腹臆最赤紫觜

 蒼而齟齬作叉故謂事物齟齬者譬伊須加觜以其觜

 食荏稗等亦妙也脚黑色肉味稍佳

   照るうその胸はこかれて思へともいすかのはしのあはぬ君かな

八首鳥 本朝食鑑云八首鳥狀如鳩而頭有黃羽冠其

 端有黑文鳴時起如揮羽扇眼邊背上紫色觜長短如

 伊須加觜而作叉臆胸黃赤腹白有黑斑翅羽黃白與

 黑色相交尾上下黑中白

 

 

いすかどり 正字は未だ詳らかならず。

伊須加鳥

      【俗に云ふ、「伊須加止利」。】

 

△按ずるに、伊須加鳥は、狀〔(かたち)〕・大いさ、鸜鵒〔(くろつぐみ)〕のごとくにして、頭・背。蒼赤、腹・臆〔(むね)〕、最も赤紫。觜、蒼くして齟齬(くいちが)い[やぶちゃん注:ママ。]叉を作〔(な)〕す。故に、事物〔の〕齟齬(そご)する者を謂ひて、「伊須加の觜(はし)に譬ふ。其の觜を以つて荏〔(えごま)〕・稗〔(ひえ)〕等を食ふも亦、妙なり。脚、黑色。肉の味、稍〔(やや)〕佳(よ)し。

   照るうその胸はこがれて思へどもいすかのはしのあはぬ君かな

八首鳥(やつがしら〔どり〕) 「本朝食鑑」に云はく、『八首鳥、狀、鳩のごとくして、頭、黃〔の〕羽の冠〔(さか)〕有り。其の端、黑き文有り。鳴く時、起き、羽扇を揮(ひら)くがごとし。眼の邊・背の上、紫色。觜、長短〔にして〕伊須加の觜のごとくにして、叉を作す。臆-胸〔むね)〕、黃赤。腹、白く、黑斑有り。翅-羽〔(つばさ)〕、黃白と黑色、相ひ交〔(まぢ)〕る。尾の上下、黑く、中〔は〕白し』〔と〕。

[やぶちゃん注:スズメ目アトリ科イスカ属イスカ Loxia curvirostra。全長十七センチメートル。「イスカの嘴(はし)の食い違い」と言われるように、上嘴と下嘴は先端部が捩じれて食い違い、合わさっていない。翼と尾は黒っぽく、体の他の部分は、雄では赤橙色乃至赤紫色、雌ではオリーブ色。針葉樹の種子を主食とし、食い違った嘴を使って、球果の鱗片を巧みにこじ開け、中の種子を取り出す。新旧大陸の北の中・高緯度地域の針葉樹林帯に広く繁殖分布している。通常は渡りをしないが、針葉樹の種子の不作な年には、豊富な場所へ群れで移動する。日本では、年によって北方から多数渡来し、越冬することがある。繁殖数はきわめて少なく、北海道及び本州の平地から山地の針葉樹林で繁殖の記録がある程度である(以上は「ブリタニカ国際大百科事典」に拠る)。ウィキの「イスカ」によれば、『イスカのくちばしは』孵化後、『間もない』雛『は普通のくちばしをしているが』一~二『週間経つと先が交差してくる。しかし下のくちばしが右に出るか左に出るかは決まっていない』とあり、『西洋では、イエス・キリストが十字架に貼り付けになったときに、その釘を引き抜こうとしたため、このような嘴になったという伝承がある。そのため、キリスト教文化圏ではイスカは義人のイメージを付与される』とある。ウィキのの画像をリンクさせておく。

 

「鸜鵒〔(くろつぐみ)〕」スズメ目ツグミ科ツグミ属クロツグミ Turdus cardis。既に何度も述べたので繰り返さないが、良安は本書で、この「鸜鵒」を複数の種と混同している。ここは大きさから妥当と思われるクロツグミで訓じておく。但し、クロツグミは標準二十二センチメートルで本種よりも大きい。しかし、良安はこの「鸜鵒」を「ひよどり」(スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis)とルビしたりもするものの、ヒヨドリではもっと大きくなってしまう(標準二十七・五センチメートル)。また、良安の引く「本草綱目」等の中国の本草書及び現在の中文名での「鸜鵒」は明らかにこれまた別種のスズメ目ムクドリ科ハッカチョウ(八哥鳥)属ハッカチョウ Acridotheres cristatellus で、これも大き過ぎる(標準二十六・五センチメートル)。彼の混同誤認は「林禽類 鸜鵒(くろつぐみ)(ハッカチョウとクロツグミの混同)」の私の注を見られたい。

「荏〔(えごま)〕」荏胡麻。シソ目シソ科シソ属エゴマ Perilla frutescens。一年草で、お馴染みの青紫蘇(シソ属エゴマ変種シソ Perilla frutescens var. crispa)とは同種の変種。東南アジア原産とされる。地方名に「ジュウネン」があり、食べると十年長生きできるという謂れから。古名・漢名は「荏(え)」。

「稗〔(ひえ)〕」単子葉植物綱イネ目イネ科キビ亜科キビ連ヒエ属ヒエ Echinochloa esculenta

「等を食ふも亦、妙なり」食い違った如何にも使い難そうな嘴で、エゴマやヒエなどの極小さい種子を器用に摂餌するのが「妙なり」と言っているのである。

「照るうその胸はこがれて思へどもいすかのはしのあはぬ君かな」出典未詳であるが、この歌、「林禽類 鸒(うそどり)(鷽・ウソ)で既出既注。そこでは「照るうそ」は「照(て)り鷽(うそ)」でウソ属ウソ亜種ウソPyrrhula pyrrhula griseiventris とするから、私は「君」を女と読む。

「八首鳥(やつがしら〔どり〕)」サイチョウ(犀鳥)目ヤツガシラ(八頭)科ヤツガシラ属ヤツガシラ Upupa epops「林禽類 鶻嘲(あさなきどり)(ヤツガシラ)を参照。

『「本朝食鑑」に云はく……』「禽部之三」の伊須加鳥」の附録に載る。(国立国会図書館デジタルコレクションの当該ページ画像)。しかし、不審である。複数の画像を見る限り、ヤツガシラの嘴は非常に長く細く下に曲がってはいるものの、「觜、長短〔にして〕伊須加の觜のごとくにして、叉を作」してなどいないからである。本邦産にそういう種がいるのだろうか? 識者の御教授を乞う。

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