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2018/12/22

和漢三才圖會第四十三 林禽類 山雀(やまがら) (ヤマガラ)

 

Yamagara

 

やまから 山陵鳥

      【正字未詳】

山雀

     【俗云也末加良】

 

按山雀狀似畫眉鳥而頭黃白帶赤色眼頷邊有黑條

 背灰赤色嘴胸翅尾共黑腹淡赤性慧巧能囀常鳴如

 曰豆伊豆伊好食胡桃飽則覆胡桃飢則飜之啄中肉

 作紙撚輪設籠中則能飛潜其輪別安小箱於籠隅爲

 宿處乃至暮自入毎攫物也有鷹鳶之勢其屬小雀四

 十雀火雀皆亦然矣共其肉味不佳故人不敢食又不

 入藥用止畜樊中爲兒女之弄戲耳

                  光俊

  新六山雀の𢌞すくるみのとにかくに持ちあつかふは心なりけり

 

 

やまがら 山陵鳥

      【正字は未だ詳らかならず。】

山雀

     【俗に「也末加良」と云ふ。】

 

按ずるに、山雀、狀、畫眉鳥〔(ほほじろ)〕に似て、頭、黃白、赤色を帶び、眼・頷〔(あご)〕の邊に黑き條〔(すぢ)〕有り。背、灰赤色。嘴・胸・翅・尾、共に黑く、腹、淡赤。性、慧巧〔(けいこう)にして〕能く囀る。常に鳴くは、「豆伊豆伊〔(ついつい)〕」と曰ふがおごとし。好んで胡桃(くるみ)を食ひ、飽〔(くひあ)〕くときは、則ち、胡桃を覆(うつむ)け〔置き、後に〕飢〔うれば〕、則ち、之れを飜〔(ひるが)へして〕中の肉を啄む。紙-撚(こより)〔の〕輪を作りて籠の中に設〔くれば〕、則ち、能く飛んで其の輪を潜(くゞ)る。別に小箱を籠の隅に安〔(あん)〕じて、宿處(ねどころ)と爲(す)れば、乃〔(すなは)〕ち、暮れに至りて自〔(みづか)〕ら入る。毎〔(つね)〕に物を攫(つか)むことや、鷹・鳶の勢(ありさま)有り。其の屬〔の〕小雀(こがら)・四十雀〔(しじふから)〕・火雀〔(ひがら)〕、皆、亦、然り。共に其の肉味、佳からず。故に、人、敢へて〔は〕食はず、又、藥用に〔も〕入れず。止(たゞ)樊〔(かご)〕の中に畜ひ、兒女の弄戲と爲すのみ。

                  光俊

  「新六」

    山雀の𢌞すくるみのとにかくに

       持ちあつかふは心なりけり

[やぶちゃん注:朝鮮半島及び日本(北海道・本州・四国・九州・伊豆大島・佐渡島・五島列島)に分布するスズメ目スズメ亜目シジュウカラ科シジュウカラ属ヤマガラ亜種ヤマガラ Parus varius varius(背中や下面は橙褐色の羽毛で被われ、頭部の明色斑は黄褐色)。本邦には他に限定地固有種亜種として以下の三種がいる。

ナミエヤマガラParus varius varius namiyei(神津島・新島・利島(としま)固有亜種。背中や下面は橙褐色の羽毛で被われ、頭部の明色斑は淡黄色)

オリイヤマガラParus varius varius olivaceus(西表島固有亜種。頭部の明色斑は赤褐色で、背中は灰褐色、下面は赤褐色の羽毛で被われる)

Parus varius varius owstoni オーストンヤマガラ(八丈島・御蔵島・三宅島固有亜種。最大亜種で、下面は赤褐色の羽毛で被われ、頭部の明色斑は細く、色彩は赤褐色。嘴が太い)

他に大東島諸島に固有亜種としてダイトウヤマガラ Parus varius orii Kuroda, 1923 がいたが、大正一一(一九二二)年にに採集されて以来、発見例がなく、絶滅したと考えられている。参照したウィキの「ヤマガラ」によれば、全長十三~十五センチメートル。『頭部は黒い羽毛で被われ、額から頬、後頸部にかけて明色斑が入る。下嘴基部(腮)から胸部にかけて黒い帯模様が入る。尾羽の色彩は黒褐色。初列風切や次列風切の色彩は黒褐色で、羽毛の外縁(羽縁)は青みがかった灰色。雨覆や三列風切の色彩は青みがかった灰色』。『嘴の色彩は黒い。後肢の色彩は青みがかった灰色。卵は白い殻で覆われ、淡褐色や青みがかった灰色の斑点が入る』。『標高』千五百『メートル以下にある常緑広葉樹林や落葉広葉樹林に生息する。和名は山に生息する事に由来するが、山地から平地にかけて生息する。標高』千メートル『以上の場所に生息する個体は、冬季になると』、『標高の低い場所へ移動する。同科他種と混群を形成する事もある』。『食性は雑食で、昆虫、クモ、果実などを食べる。主に樹上で採食し夏季は主に動物質を、冬季は主に果実を食べる。堅い果実は後肢で挟み、嘴でこじ開けて中身を食べる。また』、『樹皮などに果実を蓄える事(貯食)もある』(良安の胡桃の記載は、この貯食行動を正しく押さえた記載となっていることに着目されたい)。『樹洞にコケなどを組み合わせた』『皿状の巣を作り』、三~六『月に』三~八『個の卵を産む。メスが抱卵し、抱卵期間は』十二~十四『日。雛は孵化してから』十八~二十『日で巣立つ』とある。また、『日本では、本種専用の「ヤマガラかご」を使い』、『平安時代には飼育されていた文献が遺されている。学習能力が高いため』、『芸を仕込む事もでき、覚えさせた芸は江戸時代に盛んに披露された。特におみくじを引かせる芸が多く』、一九八〇年頃までは『神社の境内などの日本各地で見られた。そのため』、『年輩者には本種はおみくじを引く小鳥のイメージが強いが、おみくじ芸自体は戦後になってから流行し発展してきたもので、曲芸は時代の変化とともに変遷してきた事が記録から読み取れる。しかし』、『鳥獣保護法制定による捕獲の禁止、自然保護運動の高まり、別の愛玩鳥の流通などにより、これらの芸は次第に姿を消してゆき』、一九九〇年『頃には完全に姿を消した』。『このような芸をさせるために種が特定され』、『飼育されてきた歴史は日本のヤマガラ以外、世界に類例を見ない』とあり、なお、昭和二〇(一九四五)年以降、『消滅するまで代表的だったおみくじ引き以外にも』、「つるべ上げ」・「鐘つき」・「かるたとり」・「那須の与一」・「輪ぬけ」『のような芸があった』とある。私は実際に幼稚園の時、練馬の大泉学園にいたが、そこの妙延寺の祭礼で、カーバイトの火の下で、それらの芸の殆んど見たという記憶があるのである。恐らくは昭和三六(一九六一)年前後の秋のことだった。懐かしい遠い昔の思い出である。You Tube Furuse氏の「ヤマガラの鳴き声。(囀り) "Parus varius"をリンクさせておく。

 

「山雀」何故、「雀」を「から・がら」とと読むのか? 「雀」の音は「シャク・サク」が正規音で「ジャク」が慣用音であって「ガラ」などに近くないから、言わずもがな、和訓である。しかし「から」「がら」でかの小学館「日本国語大辞典」にも出ない。ネットで調べて見ると、「から」は「小鳥」を表わすとか、小鳥は概ね「軽(かる)く翻って飛ぶ」ので「軽(かる)」が転じたという説もあるようだが、どうも腑には落ちない。識者の御教授を乞う。

 

「畫眉鳥〔(ほほじろ)〕」スズメ目スズメ亜目ホオジロ科ホオジロ属ホオジロ亜種ホオジロ Emberiza cioides ciopsis

「慧巧」賢いこと。利発なこと。

「胡桃(くるみ)」本邦に自生するクルミは、ブナ目クルミ科クルミ属マンシュウグルミ変種オニグルミ(鬼胡桃)Juglans mandshurica var. sachalinensis 及び、同じ変種のヒメグルミ(姫胡桃)Juglans mandshurica var. cordiformis である。

「肉」果肉部分。伏せるのは雨水などの湿気を防ぐためであろうから、事実なら、まっこと、知恵が働くことが判る。

「紙-撚(こより)」「紙縒り」。

「小雀(こがら)」スズメ目スズメ亜目シジュウカラ科 Paridae(科ではヤマガラと同属ではある)コガラ属コガラ Poecile montanus

「四十雀〔(しじふから)〕」シジュウカラ科シジュウカラ属シジュウカラ Parus minor(本種は真正に狭義の同属。シジュウカラ属を Periparus ともするが、これはシノニム)。

「火雀〔(ひがら)〕」シジュウカラ科シジュウカラ属ヒガラ Parus ater(同じく真正に狭義の同属)。現行では和名の漢字表記は「日雀」

「光俊」「新六」「山雀の𢌞すくるみのとにかくに持ちあつかふは心なりけり」「新六」は「新撰六帖題和歌集」(「新撰和歌六帖」とも呼ぶ)。六巻。藤原家良(衣笠家良:いえよし。新三十六歌仙の一人)・為家(定家の子)・知家・信実・光俊の五人が、仁治四・寛元元(一二四三)年から翌年頃にかけて詠まれた和歌二千六百三十五首を収めた、類題和歌集。奇矯で特異な歌風を特徴とする(以上は東洋文庫版の書名注を参考にした)。本首は同書の「第六 木」に所収する。日文の「和歌データベース」で校合済み。]

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