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2019/01/13

萩原朔太郞 靑猫(初版・正規表現版) かなしい囚人

 

  かなしい囚人

 

かれらは靑ざめたしやつぽをかぶり

うすぐらい尻尾(しつぽ)の先を曳きずつて步きまはる

そしてみよ そいつの陰鬱なしやべるが泥土(ねばつち)を掘るではないか。

ああ草の根株は掘つくりかへされ

どこもかしこも曇暗な日ざしがかげつてゐる。

なんといふ退屈な人生だらう

ふしぎな葬式のやうに列をつくつて 大きな建物の影へ出這入りする。

この幽靈のやうにさびしい影だ

硝子のぴかぴかするかなしい野外で

どれも靑ざめた紙のしやつぽをかぶり

ぞろぞろと蛇の卵のやうにつながつてくる さびしい囚人の群ではないか。

 

[やぶちゃん注:大正一一(一九二二)年六月号『日本詩人』初出。初出は有意な異同を認めない。「定本靑猫」では「どこもかしこも曇暗な日ざしがかげつてゐる。」を「どこもかしこも曇暗が日ざしがかげつてゐる」とする。聞き慣れぬ「曇暗」は「どんあん」で、どんよりと曇った翳りの謂いであろうから、後者が正当かとは思う。しかし、別にここにまた、筑摩版全集の異常な消毒校訂本文を見出すのである。そこでは、「ふしぎな葬式のやうに列をつくつて 大きな建物の影へ出這入りする。」の最後の句点を除去しているのである。しかも後の再録でも総て句点はないのに、だ! こんなことが許されていいものか?!

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