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2019/01/23

和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 鵟(くそとび) (ノスリ或いはチョウゲンボウ)

 

Kusotobi

 

くそとび  馬糞鷹【俗稱】

      長元坊【同】

【音狂】

      【和名久曾止比】

グハ

 

△按鵟狀似鳶而羽毛疎飛翔不能鷙鳥但攫牛馬枯糞

 或魚物鳥雛食之漢語抄云鵟喜食鼠而大目者是也

 

 

くそとび  馬糞鷹(まぐそだか)【俗稱。】

      長元坊〔(ちやうげんぼう)〕【同。】

【音、「狂」。】

      【和名、「久曾止比」。】

グハ

 

△按ずるに、鵟の狀〔(かたち)〕、鳶に似て、羽毛、疎(あら)く、飛び翔る〔→ては〕鳥を鷙(と)ること、能はず。但〔(ただ)〕、牛馬の枯糞、或いは魚物〔(うをもの)〕・鳥の雛(ひな)を攫(つか)みて、之れを食ふ。「漢語抄」に云はく、『鵟、喜んで鼠を食ひ、而して大目〔(だいもく)〕なり[やぶちゃん注:眼が大きい。]』とは、是れなり。

[やぶちゃん注:種々の点で記載に問題があるものの、直前の「鷸子(つぶり・つぐり)(チョウヒ・ハイイイロチョウヒ)」の注で比較対象として出、現行も「鵟」の漢字を本邦で当てている(中国では「東方鵟」)、タカ目タカ科ノスリ属ノスリ Buteo japonicus に取り敢えず同定する。「糞鳶」という蔑称は恐らくは「鷹狩り」に使えない鷲鷹類であったためかと思われる(但し、後注で出すハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属チョウゲンボウ Falco tinnunculus も含んでいるか、或いはノスリでなく、チョウゲンボウである可能性も充分にあるので注意されたい)ウィキの「ノスリ」によれば、中央シベリア・南シベリア・モンゴル・中国・日本に棲息し、『夏季は亜寒帯や温帯域で繁殖し、冬季は熱帯や温帯への渡りを経て』、『越冬する』。『日本では亜種ノスリ』Buteo japonicus japonicus・『亜種ダイトウノスリ』Buteo japonicus oshiroi(大東諸島固有亜種。但し、絶滅したとされる)・『亜種オガサワラノスリ』Buteo japonicus toyoshimai(小笠原諸島固有亜種)『が生息する。亜種ノスリは、北海道、本州中部以北、四国の山地で繁殖し、繁殖地では留鳥である。この他南西諸島を除く全国に冬鳥として飛来する』。『亜種オガサワラノスリは小笠原諸島に留鳥として周年』、『生息する』。全長五十~六十センチメートルで、翼開長は一メートルから一メートル四十センチメートル。体重は五百~千三百グラム。例によって『オスよりもメスの方が大型になる。背面は褐色、腹面は淡褐色の羽毛に覆われる。喉の羽毛は黒い』。『虹彩は褐色』。『平地から山地の森林に生息する。群れは形成せず、単独もしくはペアで生活する』。『食性は動物食で、昆虫類、節足動物、陸棲の貝類、ミミズ、両生類、爬虫類、鳥類、小型哺乳類等を食べる』。『繁殖期には縄張りを形成する。樹上や断崖の上に木の枝を組み合わせた巣を作り、日本では』五『月に』二~四『個の卵を産む。主にメスが抱卵(雌雄とも抱卵することもある)し、抱卵期間は』三十三~三十五『日。雛は孵化後』五十~五十五『日で飛翔できるようになり、その』四十~五十五『日後に独立する。生後』二~三『年で性成熟する』とある。

 

「くそとび」「糞鳶」であるが、この異名自体が問題で、本邦ではこのノスリの他に、ヨタカ目ヨタカ科ヨーロッパヨタカ亜科ヨタカ属ヨタカ Caprimulgus indicus の別名としても広く昔から使われている。さらに面倒臭いことに「鵟」の漢字は「のすり」以外に「よたか」とも読ませるのである。しかし、記載とは食性が全く異なる(ヨタカは動物食であるが、特に昆虫を好み、彼らは口を大きく開けながら飛翔しつつ、そのまま獲物を捕食する飛翔型を得意とする)ので、これはヨタカではない

「長元坊〔(ちやうげんぼう)〕」この和名(漢字表記も同じ)では、ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属チョウゲンボウ Falco tinnunculus がいる。ノスリとともに鷹狩りに使えない猛禽類として「糞鳶」の名を冠せらていたようであるウィキの「チョウゲンボウ」によれば(下線太字はやぶちゃん)、『語源は不明だが、吉田金彦は、蜻蛉(トンボ)の方言の一つである「ゲンザンボー」が由来ではないかと提唱している』。『チョウゲンボウが滑空している姿は、下から見るとトンボが飛んでいる姿を彷彿とさせることがあると言われ』、『それゆえ、「鳥ゲンザンボー」と呼ばれるようになり、いつしかそれが「チョウゲンボウ」という呼称になったと考えられている』。『ユーラシア大陸とアフリカ大陸に広く分布する。寒冷地で繁殖した個体は、冬季に南方へ渡り越冬する。北米には亜種のアメリカチョウゲンボウ American Kestrel 学名』Falco sparverius が広く分布する。小型である』。『日本では、夏季に本州の北部から中部で繁殖する。北海道や四国、九州でも夏季に観察されたことがあり、繁殖している可能性もある。冬季は繁殖地に残る個体と暖地に移動する個体に分かれる。また、日本全国各地に冬鳥として渡来する』。『ハトくらいの大きさで全長』三十~四十センチメートル、翼開長は六十五~八十センチメートルとなり、体重はで百五十グラム、で百九十グラム『程度である。雌の方が大型である。羽毛は赤褐色で黒斑がある。雄の頭と尾は青灰色。雌は褐色で翼の先が尖っている』。『「キィキィキィキィ」と聞こえる声で鳴く』。『農耕地、原野、川原、干拓地、丘陵地帯、山林など低地、低山帯から高山帯までの広い範囲に生息する。単独かつがいで生活する。立ち枯れ木の洞に巣をつくる』。『齧歯類や小型の鳥類、昆虫、ミミズ、カエルなどを捕食する。素早く羽ばたいて、体を斜めにしながらホバリングを行った後』、『急降下して地上で獲物を捕らえることが多いのが特徴。ハヤブサ類だが、飛翔速度は速くない』。しかし、『その視力は紫外線を識別することが可能で、この能力は主食である齧歯類の尿が反射する紫外線を捕捉し、捕食を容易にさせていると推測されている。ハヤブサと異なり、捕らえた獲物は周囲が安全ならばその場で食べる』。『日本では』四~五『月に断崖の横穴や岩棚、樹洞などに小枝を作って営巣するか直接卵を産む。カラス類の古巣を流用することもある。産卵数は』一『腹』四~六『個である。抱卵日数は』二十七~二十九『日で、主に雌が抱卵する。雛は』二十七~三十二『日で巣立つが、親から独立するにはさらに』一『ヶ月以上かかる』。一『年で成熟する』。『近年、市街地でもよく見かけるようになった。これは、獲物となる小鳥類が豊富なこと、天敵が少ないこと、ビルなどの構築物がねぐらや繁殖場である断崖の代わりになっていることなどが理由とされている』とあり、食性の点でノスリとタメ張りの最大有力候補の一鳥である。特に主摂餌対象として鼠を始めとする齧歯類(哺乳綱真主齧上目グリレス大目 Glires 齧歯(ネズミ)目 Rodentia)となると、実はこっちの方が分(ぶ)がいい。特に「漢語抄」「(東洋文庫版の「書名注」に『『楊氏漢語抄』十巻。楊梅(やまもも)大納言顕直撰。源順の『和名抄』の中に多く引用されている書であるが、いまは佚して伝わらない。漢語を和訳したもの。『桑家(そうか)漢語抄』とは別本』とある)の『鵟、喜んで鼠を食ひ』というのはノスリよりチョウゲンボウである。なお、『大目〔(だいもく)〕なり』で張り合うと、ノスリの方が図体がデカい分、チョウゲンボウは分が悪いかとは思う。]

「羽毛、疎(あら)く」ばさばさしていて、如何にもみすぼらしいのは、圧倒的にノスリであると私は思う。チョウゲンボウは、汚れていなければ、翼の赤褐色に黒斑するそれは私は美しいと言ってもよいと思っている。

「飛び翔る〔ては〕鳥を鷙(と)ること、能はず」「る」の送り仮名では続きが悪い。「飛び翔(かけ)ては、鳥を鷙(と)ること、能(あた)はず」で、飛びながら同時に捕食のために他の小鳥を捕獲することは出来ない、の意。ノスリもチョウゲンボウも地上表面の獲物を狙うが、飛びながらの狩りが出来ないなどとは孰れも書いてない。また、孰れも小鳥が摂餌対象の中に入っている。

「魚物〔(うをもの)〕」広義の水産動物類を指していよう。]

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