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2019/01/26

和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 鴟鵂(みみづく) (フクロウ科の「みみづく」類)

 Mimiduku

みゝつく  雚【音丸】 恠鴟

      呼鷹   角鴟

      夜食鷹   鉤鵅

      轂轆鷹   老兔

鴟鵂

ツウヒユウ 鵋䳢【俗云美美豆久】

本綱鴟鵂大如鴟鷹黃黑斑色頭目如猫又如老兔有毛

角兩耳【故名雚也雚字象形】晝伏夜出鳴則雌雄相喚其聲如老人

初如呼後若笑所至多不祥夜能拾蚤虱【或云拾人手爪者妄蚤虱之蚤字誤以爲爪甲之蚤矣】鴟鵂之小者爲鵂鶹

△按木兎【日本紀用此二字】大如兄鷂而全體褐黑色有白彪似

 豆者臆胸亦同色橫有白彪相亂似蛇腹文頭目如猫

 眼外作白圈眼中黃赤而能旋轉毛角有小彪似胡

 麻其下有耳穴怒則毛角竪起一寸許脚黃赤脛短有

 毛謂之傳毛似矮雞之脛爪勾利其啄下短上長勾黑

 不能遠飛夜出摯小鳥聲似梟而短連聲如曰甫伊

 甫伊其尾短十二枚表文幽微裏文鮮明畜之爲囮縫

 閉目繫架頭側設羅擌則諸鳥來集噪噪猶笑木兔盲

 形而罹羅擌者不知數以不勞捕鳥人賞之

 周伯溫曰鴟雚頭上角曰觜【字從角】俗用作鳥喙之

 也

みゝづく  雚【音、「丸〔グハン〕」。】

      恠鴟〔(かいし)〕

      呼鷹〔(こかよう)〕

      角鴟〔(かくし)〕

      夜食鷹〔(やしよくよう)〕

      鉤鵅〔(こうかく)〕

      轂轆鷹〔(こくろくよう)〕

      老兔〔(らうと)〕

 鵋䳢〔(きき)〕

鴟鵂

ツウヒユウ 【俗に云ふ、「美美豆久」。】

「本綱」、鴟鵂、大いさ、鴟〔(とび)〕・鷹のごとく、黃黑〔の〕斑〔(まだら)〕色、頭・目、猫のごとく、又、老〔ひたる〕兔〔(うさぎ)〕のごとし。毛の角〔の〕兩耳、有り【故に「雚」と名づくなり。「雚」の字、象形。】。晝(ひる)、伏し、夜、出づる。鳴くときは、則ち、雌雄、相ひ喚〔(よ)〕ぶ。其の聲、老人のごとし。初めは呼ぶがごとく、後は笑ふがごとし。至る所、不祥、多し。夜(〔よ〕る)、能く蚤(のみ)・虱(しらみ)を拾(ひろ)ふ【或いは云ひて、「人の手の爪を拾ふ」といふは妄なり。「蚤・虱」の「蚤」の字を、以-爲〔(おもへら)〕く、爪-甲(つめ)の「蚤」と誤りて〔のことならん〕。】鴟鵂の小さき者、「鵂鶹〔いひとよ〕」と爲す。

△按ずるに、木兎(みゝづく)【「日本紀」此の二字を用ふ。】、大いさ、兄鷂(このり)のごとく、全體、褐黑色、豆〔(まめ)〕に似たる白き彪、有る者〔なり〕。臆-胸〔むね)〕も亦、同色、橫に白き彪〔(とらふ)〕、有り。相ひ亂れて、蛇腹の文に似たり。頭・目、猫のごとく、眼の外に白き圈を作〔(な)〕す。眼中、黃赤にして、能く旋轉(くるくる)とす。毛の角に小さき〔の〕彪〔(とらふ)〕有り、胡麻〔(ごま)〕に似たり。其の下に耳の穴、有り。怒るときは、則ち、毛角、竪〔(た)〕つに、起こりこと、一寸許り。脚、黃赤、脛、短く、毛、有り〔て〕、之れを「傳毛(つたいげ[やぶちゃん注:ママ。])」と謂ひ、矮雞(ちやぼ)の脛に似たり。爪、勾(まが)りて利〔(と)〕く、其の啄(くちばし)、下は短く、上は長く、勾(とが)りて黑し。遠く飛ぶこと能はず、夜、出でて、小鳥を摯〔(と)〕る。(〔よる〕な)く聲、梟(ふくろふ)に似て、短く、連聲〔して〕「甫伊甫伊〔(ほいほい)〕」と曰ふがごとし。其の尾、短く、十二枚、表の文、幽-微(かすか)に〔して〕、裏の文は鮮明なり。之れを畜〔(か)〕ひて、囮(をとり)と爲し、目を縫〔ひ〕閉〔じ〕、架の頭に繫(つな)ぎ、側〔(かたはら)〕に羅-擌(あみばこ)を設〔(まう)〕く。則ち、諸鳥、來〔り〕集〔(つど)ひ〕、噪噪〔(さは)ぎ〕、猶を[やぶちゃん注:ママ。]、木兔(みゝづく)の盲(めくら)の形を笑ふがごとく〔しつつ〕、羅-擌〔(あみばこ)〕に罹(かゝ)る者、數を知らず、以つて勞せずして、鳥を捕るを、人、之れを賞す。

 周伯溫が曰はく、『鴟雚(みゝづく)が頭の上の角を「觜」と曰ふ【字、「角」に從ふ。】俗、用ひて鳥の喙(くちばし)の「」〔に〕作〔(な)〕す〔は〕、非なり。

[やぶちゃん注:フクロウ目フクロウ科 Strigidae の中で、羽角(うかく:所謂、通称で「耳」と読んでいる突出した羽毛のこと。俗に哺乳類のそれのように「耳」と呼ばれているが、鳥類には耳介はない)を有する種の総称俗称で、古名は「ツク」で「ヅク(ズク)」とも呼ぶ。俗称に於いては、フクロウ類に含める場合と、含めずに区別して独立した群のように用いる場合があるが、鳥類学的には単一の分類群ではなく、幾つかの属に分かれて含まれており、しかもそれらはフクロウ科の中で、特に近縁なのではなく、系統も成していない非分類学的呼称である(但し、古典的な外形上の形態学的差異による分類としては腑に落ちる)ウィキの「ミミズク」によれば、『ミミズクの種の和名は「〜ズク」で終わるが、「〜ズク」で終わっていても』、アオバズク属 Ninox(代表種アオバズク Ninox scutulata には『羽角はな』いから、俗総称の絶対的属性からは、『ミミズクとは』言えないし、『また、シマフクロウ』(島梟:シマフクロウ属シマフクロウ Ketupa blakistoni)『のように「ミミズク」と呼ばれなくとも羽角があるフクロウもいる』ので、如何にいい加減な和名命名であるかは理解しておく必要がある(太字やぶちゃん)。なお、英語には「ミミズク」に相当する語は存在せず、羽角の有無に拘わらず、フクロウ類は「owlである。但し、中国では良安の抜粋する「本草綱目」で判る通り、本邦と同じく形態分類に基づく区分をしている(「角鴟〔(かくし)〕」(頭に角(つの)のあるトビ)。また、後の私の「雚」も参照されたい)。『ミミズクの語源には諸説あり、以下のようなものがある』。

・『「耳付く」もしくは「耳突く」の意味。ツクはミミヅク(ミミズク)の略で、実際はより新しい表現』。

・『ツクは「角毛」の意味。原義が忘れられた後、さらに「ミミ」をつけて呼ぶようになった』。

・「ツクは「鳴く」の意味で本来フクロウ・ミミズク類の総称(現にアオバズクに羽角はない)。耳のあるツクがミミヅク(ミミズク)』。

といったものである。『漢名木菟・木兎(ぼくと)は、樹上性のウサギの意味(菟は兎に同じ)で、羽角をウサギの長い耳になぞらえたもの。鵩(ふく)・鶹(りゅう)・鵂(きゅう)は』一『文字でミミズクを表す。角鴟(かくし)・鴟鵂(しきゅう)の鴟はトビ』(タカ目タカ科トビ亜科トビ属トビ亜種トビ Milvus migrans lineatus)『・フクロウ類の総称』(フクロウは嘗ては猛禽類に分類されていたし、捕食行動も猛禽類と同じいから、この二種を合わせた漢字が存在することは少しもおかしくない。フクロウの一部が印象的に可愛いと認識されて、「フクロウ・カフェ」などで弄ばれたり(私はあれは立派な動物虐待であると思う)するが、肉食性鳥類であるという認識がない、昨今のペット感覚の輩の方が遙かに非分類学的・非生物学的なのであり、「本草綱目」でもちゃんと『鴟〔(とび)〕・鷹のごとく』と言っている)『耳木菟・耳木兎は漢名ではなく、ミミヅク(ミミズク)のミミとツクにそれぞれ漢字を当てたもの』。『羽角がある以外はフクロウ科に同じ』で、『羽角は、長く伸びたものから、コミミズク』(トラフズク属コミミズク Asio flammeus)『のようにほとんど判別できないものまであり、形もさまざまである』。世界的な主な「~ズク」系の和名種は、コノハズク属 Otus・コミミズク属 Asio・ジャマイカズク属 Pseudoscops・ワシミミズク属 Bubo・シマフクロウ属Ketupa(ウオミミズク Ketupa flavipes・マレーウオミミズク Ketupa ketupu がいる)に属する種の中に含まれる。

 しかし、ここでの良安の評言部は、明らかに特定の種を「みみづく」と呼んで記載していると捉えなければならない。複数の、それもミミズクに含まれないフクロウ類を混同している可能性が濃厚(特に鳴き声の「甫伊甫伊〔(ほいほい)〕」は明らかにミミズク類ではないフクロウ類の「ホウホウ」である)であるものの、一つ、羽角の特徴、「其の下に耳の穴、有り。怒るときは、則ち、毛角、竪〔(た)〕つに、起こりこと、一寸許り」という、実は羽角が普段は全然目立たないという辺りからは、これは、本邦に冬鳥として飛来する、

フクロウ科トラフズク属コミミズク Asio flammeus

ではないか(但し、鳴き声は「ギャーウー」)とも踏んでいる。但し、挿絵の方は、同じ仲間で羽角がよく発達した本邦の留鳥である、

トラフズク属トラフズク Asio otus

(鳴き声は「ウーウー」であるから、音写的には近似はする)か、

Otus 属オオコノハズク Otus lempiji

(繁殖期には「ウォッウォ」「ポ ポ ポ」と連続して鳴く点で「連聲〔して〕「甫伊甫伊〔(ほいほい)〕」と曰ふがごとし」と極めて一致する)のように思われる(しかし、これでは脚と尾羽を隠したら全く以って猫でげすなぁ)。(なお、蛇足であるが、和名には「ミミズク」「コミミズク」という標準和名の、セミ類に近いヨコバイ科 Cicadellidaeの昆虫がいる。一種は節足動物門昆虫綱半翅(カメムシ)目同翅亜目ヨコバイ科ミミズク亜科 Ledra 属ミミズク Ledra auditura であるが、漢字表記は「耳蝉」で異なる。本種は体長(翅端まで)が一・四センチメートル、で一・八センチメートル内外で、全体は暗褐色乃至赤褐色で、樹皮によく似る(擬態と思われる)。頭部は扁平で幅広く、前方に突出する。複眼は後側方にあり、小さいが、突出する。前胸背は大きく、その後部に一対の耳状突起があり、では小さく、上方に突出するが,では大きく、前上方に向くことがある。クヌギやナラなどにつくが、その数は多くない。本州・四国・九州・琉球列島・朝鮮・台湾・中国に分布する。同亜科 Ledropsis 属コミミズク(小耳蟬)Ledropsis discolor は小型で細長く、前胸背上に耳状突起はない)。フクロウ類については次項「鴞」の注で、また、詳述する。

「鴟鵂」音「テイキフ(テイキュウ)」。

『「雚」の字、象形』「雚」はコウノトリ(コウノトリ目コウノトリ科コウノトリ属 Ciconia のコウノトリ類或いは同属コウノトリ Ciconia boyciana)の意で、頭部の白い毛とそこに目立つ両眼を象形した漢字である。コウノトリには左右に立つような冠毛のようなものはないが、要は頭部の眼球が白い羽毛によって目立つことから、それを耳に擬えて、この字が当てられたものと私は推定する。

「至る所、不祥、多し」西洋では、専ら、ローマ神話の女神の手にとまる「ミネルヴァのフクロウ」で知恵の象徴とされ、「森の哲人」などとも呼ばれるが(私の妻は大のフクロウ好きで世界から集めたフクロウの飾りがそこら中にある)、中国ではフクロウ類は、夜行性であること、その鳴き声の不気味さに加え、次項の「鴞(ふるろふ)(フクロウ)」の「本草綱目」の引用部にも記されてある通り、成長すると母鳥を喰らうという俗説があり、それがために古代に於いては夏至になるとその非道残虐を罰し知らしめるために、フクロウを磔(はりつけ)にしたものであり、「梟」の字が「鳥」が「木」の上に磔にされている様子を表しているのはそのためである、等と書かれているように、凶鳥・悪鳥とされてきた。そうした綜合的ネガティヴ・イメージに、さらに鳥の癖に、人や哺乳類と同じような「耳」を持つミミズクが擬人的で薄気味悪くも感じられたのではないかと思われ、そこから「この鳥が出没するところでは不祥事・凶事が多い」という謂いとなったものであろう。

「夜(〔よ〕る)、能く蚤(のみ)・虱(しらみ)を拾(ひろ)ふ」これ自体が妄説でしょう! 鼠・兎の誤りでしょう! 夜中にちまちまとノミやシラミを食っておられまへんて!

『「蚤・虱」の「蚤」の字を、以-爲〔(おもへら)〕く爪-甲(つめ)の「蚤」と誤りて〔のことならん〕』「蚤」(音「サウ(ソウ)」)という漢字には別に「礼記」以来の、「手足の爪」の意がちゃんとあり、この「蚤」の字の中の「」の部分は「爪」の古字なのである。大修館書店「廣漢和辭典」の次の「鵂鶹」を調べていたところ、「鵂」の使用例に「一切経音義」唐初(七世紀中頃)に玄応が記した音義書。全二十五巻。四百五十部余の経典についてその音義を示したもの)。本来の題は「大唐衆経音義」)十八巻に「鵂鶹、纂文云、夜卽拾人爪也」とあった

「鵂鶹〔いひとよ〕」(音「キウリユウ(キョウリュウ)」)小学館「日本国語大辞典」に「いいとよ」(歴史的仮名遣「いひとよ」)の項を設け、この「鵂鶹」の漢字を当て、『「いいどよ」とも』(こちらの濁音形が古形)とした上で『「ふくろう(梟)」の古名』とし、「日本書紀」の皇極天皇三(六四四)年三月の条を引き、「岩崎本」訓読で『休留(イヒトヨ)<休留は茅鴟なり>子を豊浦大臣の大津の宅の倉に産めり』と出すのに従ってルビを振った。但し、「本草綱目」はこれを、「ミミズクの小型種」の名としていると読めるが、前注で出した大修館書店「廣漢和辭典」の「鵂」の使用例を見ても、「鶹」の字を単独で調べてみても、孰れもミミズクのことを指すだけで、特別な小型の限定種を指しているようには思われない。

『木兎(みゝづく)【「日本紀」此の二字を用ふ。】』「日本書紀」には「平群木莵宿禰(へぐりのつくのすくね)」という人名の中に用いられて複数箇所に出現する。彼は武内宿禰の子で、平群氏及びその同族の伝説上の祖とされる。ウィキの「平群木菟」によれば、「日本書紀」仁徳天皇元(三一三)年正月三日の即位の条の附文によれば、『大鷦鷯尊(仁徳天皇)と木菟宿禰とは同日に生まれたという。その際、応神の子の産殿には木菟(つく:ミミズク)が、武内宿禰の子の産屋には鷦鷯(さざき:ミソサザイ』(スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属ミソサザイ Troglodytes troglodytes)『)がそれぞれ飛び込んだので、その鳥の名を交換して各々の子に名付けたという』(原文「初天皇生日。木菟入于産殿。明旦、譽田天皇喚大臣武内宿禰。語之曰。是何瑞也。大臣對言。吉祥也。復當昨日、臣妻産時。鷦鷯入于産屋。是亦異焉。爰天皇曰。今朕之子与大臣之子、同日共産。並有瑞。是天之表焉。以爲、取其鳥名。各相易名子。爲後葉之契也。則取鷦鷯名。以名太子。曰大鷦鷯皇子。取木菟名號大臣之子。曰木菟宿禰。是平群臣之始祖也。是年也。太歳癸酉」)とある。

「兄鷂(このり)」既出タカ目タカ科ハイタカ属ハイタカ Accipiter nisus の、よりも小型で、体色も異なるの呼称(一説に「小鳥に乘り懸くる」で「小乗(このり)」とも)。

「怒るときは、則ち、毛角、竪〔(た)〕つに、起こりこと、一寸許り」冒頭注の終りを参照。「怒る」は注意・緊張・昂奮と読み換える。

「傳毛(つたいげ[やぶちゃん注:ママ。])」この呼称は現在、確認出来ない。フクロウ類は鳥類の中では実は脚が有意に長い

「矮雞(ちやぼ)」ニワトリの品種チャボ(矮鶏)。独立項で既出

「連聲」連続して啼き続けること。

「其の尾、短く、十二枚」フクロウ類の本邦の代表種であるフクロウ科フクロウ属フクロウ Strix uralensis の尾羽は十二枚で、これはフクロウ類の基本のようで、良安の言うように一様に尾羽は短い。夜間の低空滑走では長い尾は不要というのは、何となく腑に落ちる気がする。

「之れを畜〔(か)〕ひて、囮(をとり)と爲し、目を縫〔ひ〕閉〔じ〕、架の頭に繫(つな)ぎ、側〔(かたはら)〕に羅-擌(あみばこ)を設〔(まう)〕く。則ち、諸鳥、來〔り〕集〔(つど)ひ〕、噪噪〔(さは)ぎ〕、猶を[やぶちゃん注:ママ。]、木兔(みゝづく)の盲(めくら)の形を笑ふがごとく〔しつつ〕、羅-擌〔(あみばこ)〕に罹(かゝ)る者、數を知らず、以つて勞せずして、鳥を捕る」「木菟(づく)びき」という。個人と思われるフクロウの総合サイト内の「古典」(よく渉猟されており、本書も東洋文庫版現代語訳が「みみずく」「ふくろう」ともに載る)の「木菟びき(ずくびき)」に以下のようにある(行空けを詰めた)。

   《引用開始》

 木菟びき(ずくびき)は、ミミズクを囮にして、小鳥を捕る猟法です。

 武器を持たない小鳥たちは、天敵である鷲や鷹やフクロウの仲間を見付けると、集団で囃し立てる習性があります。「わー怖い怖い、ここにこんな奴がいるぞー」とばかり何十羽もの群で抗議行動をするのです。

 これをモビング[やぶちゃん注:mobbing。小鳥が捕食者であるフクロウやタカなどに対して集団で行う行動。喧しく鳴き立て、突撃するような仕草で飛び回ることを指す。「擬攻」「擬攻撃」等とも訳す。]と呼びます。バードウォッチングでは、「モビングしたら鷲鷹疑え」という格言があるほどです。

 フクロウに限らず、鷲や鷹にも、いつもカラスが付いています。

 こうして囮のミミズクを見付けた小鳥たちが騒ぎ立て寄ってくる木の枝にトリモチを置いておくのですから、そこにとまった小鳥はトリモチにくっついてしまうというわけです。

 木菟びきは江戸時代からやっている猟法で、記録があるのが上記の本(本朝食鑑)[やぶちゃん注:リンク先参照。本電子化でも複数回既出既注。]で、これの出版が元禄十年[やぶちゃん注:一六九七年。]ですから綱吉の時代です。といえば云わずと知れた生類憐れみ令です。元禄九年には大坂の与力、同心十一人が鳥を捕らえて町人に売ったかどで切腹になっていますし、旗本の息子が吹き矢でツバメを撃ったというので斬罪になっています。

 ですから元禄時代に、命がけで木菟びきをやっていたかどうかは判りませんが、当然猟法そのものはもっと以前からあったと考えられます。

 近代になると、昭和十七年[やぶちゃん注:一九四二年。]発行の「日本鳥類狩猟法」に、この頃、大坂の弁護士で木菟牽びきの名人がいて、一度に200羽の小鳥を集めていたとありますし、著者は木菟牽に同行しています。

 木菟びきは、戦後もしばらくやる人がいましたが、もちろん今はいません。今は、木菟牽よりも綱吉が必要な時代です。

 アメリカでは現在もモビングの習性を利用したクローシューティング(カラス猟)があります。デコイのフクロウとカラスを使い、カラス笛を吹いて集まってくるカラスを撃つ猟法です。

 実物はコレクションでご覧下さい[やぶちゃん注:引用元通りにリンクを張った。]

 参考までに「狩猟図説」という本から江戸時代の木菟びきの詳しい方法を紹介します。

 木菟牽(ずくびき)は、籤黐(ひごもち-竹ひごにとりもちをつけたもの)を多く作り、大なる竹筒に入れ、宿木(とまりぎ)になすべき樹枝とコノハズクとを携えて山に至れり、樹木茂りて小鳥多く集まるところを選んで設くべし。但しコノハズクを最良とすれどもオヅク(オオコノハズク)[やぶちゃん注:コノハズク属コノハズク Otus scops。後の狩猟対象の鳥の学名は略す。総て本電子化で既出。]にても可なり。その法山麓その他樹木の生茂したる地を撰み、宿木を建て、これにオヅクを繋ぎ、足皮に細き絲を附け、籤黐をその近傍の樹枝に配置し、而して数十歩を隔てて身を叢間に潜匿し、雀笛(ことり笛)を吹けば、たちどころに小鳥は群をなし、ヒヨドリ、カシドリ、シジュウカラ、ホオジロ、ヒタキ、アカハラ、アトリ、メジロ、ウグイスの類皆来たりてオヅクを取り囲み、喃喃[やぶちゃん注:「なんなん」で「口数が多く、喋り続けるさま。]喧叫す。その状夜間の恨みを報いんとするものの如し。この時猟者は絲を牽き適宜に緩急をなすときはオヅクは宿木の揺動に驚き、羽翼を張り目を開き、頗る恐怖の態をなす。是に於いて諸鳥は愈(いよいよ)之を侮り狂へる如く酔へるが如く、オヅクの傍に飛翔して終には黐にかかるものなり。之を捕へ又処を転じて前法の如くして捕ふ可[やぶちゃん注:べし。]。但し竹宿木[やぶちゃん注:「たけやどりぎ」か。竹作りの仮小屋であろう。]を造り、篠、小枝等を以てオヅクの周辺を囲い、絲を宿木に結びつけ之を牽けばオヅクその篠中に隠れ、之を緩めれば、オヅク篠上に顕出するよう装置し、猟者そのところを離れ絲を以てオヅクを篠中より出没せしむれば諸鳥はオヅクを侮翫[やぶちゃん注:「ぶがん」。侮(あなど)り馬鹿にすること。この場合の「翫」も「あなどる」の意。]する殊に甚だしくして多く黐にかかるものなり。

   《引用終了》

「人、之れを賞す」この謂い方は気に食わぬ。眼を縫われた哀れなミミヅクを褒めるとなら、お門違い、そうした卑劣で残酷な「木菟(づく)びき」をする鳥師を称賛などするのも、遙かにおぞましい。

「周伯溫」東洋文庫の注に『周伯琦(はくき)。元の人。官は参知政事。博学で文章をよくした。著に『説文(せつもん)字源』『六書正譌(せいぎ)』などがある』とある。

「觜」「廣漢和辭典」には確かに大きな一番目の最初に『けづの。みみづくの頭上にあるけづの』として、「説文」を引き、『觜、鴟舊[やぶちゃん注:二字で「鴟鵂」に同じく「ミミズク」のこと。]頭上角觜也』とある。大きな二番目で『くちばし。くちさき』とし、「廣韻」から、『觜、喙也』と引く。

「喙(くちばし)」「廣漢和辭典」では、の㋐で『口。くちさき』、㋑で『獣の口』、㋒でやっと『鳥のくちばし』する(「喙」(音「クワイ(カイ)」)の字は「猪の口」の意を意味するものである)。但し、実は良安は本書で「くちばし」とルビしたり、その意味で引用したり、使用したりする場合に、有意に「啄」の字に誤記しているのを何度も経験しているので注意されたい。

」「廣漢和辭典」に不載中文サイトに最初から番号が振られた順に「識」・「藏」・「口;鳥嘴」・「石針」と意義が記されてあり、三番目に「鳥のくちばし」の意が示されてある。]

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