蒲原有明 有明集(初版・正規表現版) 偶感
偶 感
寄(よ)せては返(かへ)す浪(なみ)もなく、ただ平(たひ)らかに
和(なご)みたる海(うみ)にも潮(しほ)の滿干(みちひ)あり、
げにその如(ごと)く騷(さは)だたぬ常(つね)の心(こゝろ)を
朝夕(あさゆふ)に思(おもひ)は溢(あふ)れ、また沈(しづ)む。
[やぶちゃん注:本篇は先の「豹の血(小曲八篇)」が終わったことを示すように、十八ページ(右ページ)一ページ分を白紙(ノンブルは有る)として、左ページに印刷されている。思うに、有明は出来上がった詩集のページ組みにも非常に気を使っているおとが窺われる。意想外の方もおられるであろうが、近代詩集初版で、完成品のそうした細かな部分(例えば、連の切れ目が改頁となるのは私は極力避けるべきと思うが、そうしたことを意識している詩人は実は殆んどいない)まで気配りしている詩人は、私の管見する限り、挿絵を多く入れた北原白秋が浮かぶ程度で、そう多くはないのである。]
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