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2019/02/15

和漢三才圖會卷第三十七 畜類 黃羊(きひつじ) (モウコガゼル)

 

Kihituji

 

きひつし 璽耳羊

 

黃羊

バアン ヤン

 

本綱黃羊生西番諸處有四種狀與羊同但低小細肋腹

下帶黃色角似羖羊喜臥沙地生沙漠能走善臥獨居而

尾黑者名黑尾黃羊

生野草内或羣至數十者名曰黃羊

出南方者深褐色黒脊白斑與鹿相近也

甚大而尾似麞鹿者名洮羊其皮皆可爲衾褥【出於臨州洮州故名】

 

 

きひつじ 蠒耳羊〔(けんじよう)〕

 羊〔(はんよう)〕

黃羊

バアン ヤン

 

「本綱」、黃羊、西番〔(せいばん)の〕諸處に生ず。四種有り。狀、羊と同じ。但だ、低く小さく、細き肋〔(あばら)にて〕、腹の下に黃色を帶ぶ。角、羖羊〔(くろひつじ)〕に似たり。喜〔(この)〕んで沙地に臥し、沙漠に生ず。能く走り、善〔(よ)〕く臥し、獨居して、尾、黑き者を「黑尾黃羊」と曰ふ。

野草の内に生じ、或いは、羣〔(むれな)〕し、數十に至れる者を名づけて、「黃羊」と曰ふ。

南方に出づる者〔は〕、深褐色〔にして〕黒〔き〕脊、白〔き〕斑〔(まだら)なり〕。鹿と相ひ近きなり。

甚だ大にして、尾、麞鹿〔(のろじか)〕に似る者、「洮羊(てうよう)」と名づく。其の皮、皆、衾-褥〔(しとね)〕と爲すべし【臨州・洮州に出づ、故に名づく。】

[やぶちゃん注:これはヒツジの仲間ではなく、哺乳綱鯨偶蹄目鯨反芻亜目ウシ目ウシ亜目ウシ科 Bovidae の、ブラックバック亜科 Antilopinae ブラックバック族 Antilopini チベットガゼル属モウコガゼル Procapra gutturosa であろうと思われる。挿絵は角があるので同種のであるウィキの「ウコガゼルによれば、中国の内モンゴル自治区・モンゴル・ロシア(ネルチンスク周辺)に分布し、体長は一メートル十から一メートル四十八センチメートル、尾長は五~十二センチメートル、肩高六十二~七十六センチメートルで、体重は二十八~四十キログラム。『前肢の』、『人間でいう手首(手根)に』、『わずかながら』、『房状に体毛が伸長する』。『頭骨の長さ』は二十二・五センチメートル『以上に達』し、『耳介は中程度で先端が尖る』。『眼下部(眼下腺)や後肢内側基部(鼠蹊腺)に臭腺がある』。『オスにのみ』、『基部から上方に向かい』、『外側に湾曲し』、『先端が内側へ向かう細く短い角がある』。角長は三十二~三十九センチメートルで、『角の表面の節は』、『あまり発達しない』また、『繁殖期のオスは喉が膨らむ』。『夏季は短い体毛で被われ、毛衣は黄褐色』。『冬季は長い体毛で被われ、毛衣は灰褐色や淡黄褐色』。『砂漠や乾燥した草原、ステップに生息する』とある。

 

「西番」「西蕃」とも書く。明代から中華民国期にかけて、甘粛・四川・雲南地方の漢民族が、隣接するカム地方のチベット系民族を指して用いた蔑称。

「四種有り」現在、チベットガゼル亜族 Procaprina チベットガゼル属 Procapra には、モウコガゼルの他に、

プシバルスキーガゼル(Przewalski's gazelleProcapra przewalskii

チベットガゼル Procapra picticaudata

がいる。しかし、これでは三種なので、或いは別種の何かを数えているか、その三種の中の見た目の他個体群と異なって見えるグループを別種としているのかも知れない。

「尾、黑き者を「黑尾黃羊」と曰ふ」グーグル画像検索「Procapra gutturosa」を見ると、尾が黒く見える個体がいる。

「麞鹿〔(のろじか)〕」反芻亜目シカ科オジロジカ亜科ノロジカ属ノロジカ Capreolus capreolusウィキの「ノロジカより引く。『ヨーロッパから朝鮮半島にかけてのユーラシア大陸中高緯度に分布する。中国では子と呼ばれる』。体長約一~一・三メートル、尾長約五センチメートルの『小型のシカ。体毛は、夏毛は赤褐色で、冬毛は淡黄色である。吻に黒い帯状の斑があり、下顎端は白い。喉元には多彩な模様を持つのが』、『この種の特徴である。臀部に白い模様があるが、雌雄で形は異なる。角はオスのみが持ち、表面はざらついており、先端が三つに分岐している。生え変わる時期は冬』。『夜行性で、夕暮れや夜明けに活発に行動する。食性は植物食で、灌木や草、果実などを食べる』とある。

「洮羊(てうよう)」如何なる種を指しているか、不詳。上記のガゼル類画像を幾つか見たが、ノロジカと似ているというのは、正直、解せない。識者の御教授を乞う。

「衾-褥〔(しとね)〕」布団や敷物。

「臨州・洮州」孰れも現在の甘粛省南部の旧地方名。]

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