ブログ・アクセス1190000突破記念 和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 鳥の用(3)「翼」から「養小鳥」/同書鳥類の部全完遂!
[やぶちゃん注:本日、正午過ぎ、2006年5月18日のニフティのブログ・アクセス解析開始以来、本ブログが百十九万アクセスを超えた。それに合わせて、以下の「和漢三才図会」鳥部の掉尾の電子化注を公開する。]
つばさ 翅【音癡】
【和名都波佐】
翮
【和名八稱】
翼【音亦】
翈【音匣】
【和名加佐木里】
翼者翅也 翮者羽本卽羽根也 翈者翮上短羽也
𦐃【音南】翮下弱羽【俗云牟久介】
飛擧曰翥【波市流】〕 直上飛曰翀【冲同訓比伊留】 飛而上曰頡【𦐄同】
飛而下曰頏【𦐄同】 回飛曰翔【音詳訓布留末布】 飛羽之聲曰※
【音霄訓波乎止】
[やぶちゃん字注:「※」=「傟」の「公」を「夂」に代えた字体。]
*
つばさ 翅【音、「癡〔(シ)〕」。】
【和名、「都波佐」。】
翮〔(かく)〕
【和名、「八稱」。】
翼【音亦】
翈【音、「匣〔(コウ)〕」。】
【和名、「加佐木里〔(かざきり)〕」。】
[やぶちゃん注:「八稱」は、恐らくは「はね」で、「稱」は「祢」(禰)の誤記ではないかと推定する。或いは「翮」を良安は「はがひ」(「羽交い」。左右の羽を畳んだ際に重なる部分)の意味で以前に使っているから、「はがひ」とも考えたが、良安は和名を表わす際、漢字一音に一つの平仮名を対応させて表記してきているので、これは二文字しかなく、「はがひ」とは読めない。]
翼(つばさ)は翅〔(はね)〕なり[やぶちゃん注:鳥の羽全体或いは主たる両の翼(つばさ)の意。]。
翮〔(かく)〕は羽なる本〔(もと)〕、卽ち、羽根(はね)なり[やぶちゃん注:羽の根元の部分である。]。
翈〔(こう)〕は翮の上の短き羽なり。𦐃【音、「南」。】は翮の下の弱〔き〕羽【俗に云ふ、「牟久介〔(むくげ)〕」。】〔なり〕。
飛び擧(あが)るを「翥(はふる)」【「波市流〔はしる〕」[やぶちゃん注:前のルビと異なるのが不審である。東洋文庫版ではこの「市」を「布」の誤字とする。さすれば、確かに「はふる」で辻褄が合う。]。】と曰ふ。
直ちに上〔(のぼ)〕り飛ぶを「翀(ひいる)」【「冲」〔と〕同〔じく〕「比伊留」と訓ず。】と曰ふ。 飛んで上るを「頡(とびあが)る」【「𦐄」〔と〕同じ。】と曰ふ。
飛びて下〔(くだ)〕るを「頏(とびあが)る」【「𦐄」〔と〕同じ。】曰ふ。
回(めぐ)り飛ぶを「翔(ふるま)ふ」【音、「詳」。「布留末布」と訓ず。】と曰ふ。
飛ぶ羽の聲を「※」【音、「霄〔(セウ)〕」。「波乎止〔(はをと)〕」と訓ず。】と曰ふ。[やぶちゃん字注:「※」=「傟」の「公」を「夂」に代えた字体。]
[やぶちゃん注:良安が意識的に一字空けをしているのを、読み易さを考えて、改行した。それ以外に、言い添えたいことはない。]
を
尾 翹【音喬】
【和名乎】
尾【音肥】
臎【音翠】
【和名止之利
俗云阿布良之利】
△按尾鳥獸尻長毛總名也鳥之尾曰翹大抵有十二枚
鳥尾肉曰臎
足引の山鳥の尾のしたりをの長々し夜を独りかもねん
*
を
尾 翹〔(げう)〕【音、「喬〔(ケウ)〕」。】
【和名、「乎」。】
尾【音、「肥〔(ヒ)〕」。】
臎〔(スイ)〕【音、「翠」。】
【和名、「止之利〔(としり)〕」。
俗に云ふ、「阿布良之利〔(あぶらしり)〕」。】
△按ずるに、尾は、鳥獸の尻の長き毛の總名なり。鳥の尾を「翹」と曰ふ。大抵、十二枚有り。鳥〔の〕尾の肉、「臎」と曰ふ。
足引〔(あしひ)〕きの山鳥の尾のしだりをの長々し夜を独りかもねん
[やぶちゃん注:言わずもがな、最後の歌は「万葉集」巻第十一に載る、作者不詳の一首(二八〇二番)、
思へども思ひもかねつあしひきの山鳥の尾の長きこの夜を
の後書きに、「或る本の歌に曰はく」として載り、「小倉百人一首」で柿本人麻呂の作とされて人口に膾炙してしまい、国語の授業では序詞の典型として必ず引かれる。俺も御多分に漏れず、古文の授業でやった。厭々、やった。正直、言おう。私が和歌が大いに嫌いになった一つが、この歌を元凶とするのである。序詞だか何だか知らねえが、三十一文字の十七音をも迂遠なロマン主義者が事大主義的に使って表現したこれを、中学時代に百人一首で教わって、「こいつは馬鹿か?」と思ったもんだ。私はその時既に、尾崎放哉にトチ狂っていて、遙かに「せきをしてもひとり」の方に心の臓を突かれていたのだ。今でもこの歌を素直に読めない。当時の国語教師が、万葉の里の高岡の伏木中学校の授業で、冬の石炭ストーブで煙っている冬の教室で、如何にも名作の如く、序詞を滔々と説明して悦に入っていたのを、ニヤリと笑っていた自分自身が今も私の中に大いに、いや、遙かに健在だからである。せめても「あしひきの」と清音で読んでくんな。万葉人は濁音は嫌いなんだよ!]
みづかき 【和名美豆加木】
蹼【音卜】
蹼爾雅集注云鳬鷹足指間有幕相連著者也
△按水禽皆有蹼以能游水上也
[やぶちゃん注:「幕」はママ。]
*
みづかき 【和名、「美豆加木」。】
蹼【音、「卜〔(ボク)〕」。】
蹼は「爾雅集注〔(じがしつちゆう)〕」に云はく、『鳬〔(かも)〕・鷹の足の指の間に幕〔(まく)〕有りて、相ひ連り、著〔(つ)〕く者なり』〔と〕。
△按ずるに、水禽には皆、蹼、有りて、以つて能く水上を游(およ)ぐ。
[やぶちゃん注:「鷹」というのは何? 彼らに蹼はないと思いますが?
「水禽には皆、蹼、有り」実際には総てでは、ない。例えば、知られた水鳥の一種である、ツル目クイナ科 Gallinula
属バン(鷭)Gallinula chloropus は蹼を持たない。
「爾雅集注」「爾雅沈旋(しんせん)集注」。一巻。梁の給事黄門侍郎で、宋・斉・梁の三朝に仕えた優れた文人政治家沈約(しんやく 四四一年~五一三年)の子沈旋が「爾雅」(著者不詳。紀元前二〇〇年頃に成立した、現存する中国最古の類語辞典・語釈辞典)を注したもの。「隋書」の「経籍伝」では「集注爾雅」として十巻とある。]
あこゑ
けつめ 【和名阿古江
俗云介豆女】
距【音巨】
距者雞雉之脛有岐也
△按凡刀鋒倒刺皆曰距而鳥脚脛之後畧勾尖指爪亦
曰距俗呼曰蹶爪
――――――――――――――――――――――
膍胵 ※胵【同和名鳥乃和太】鳥之腸胃也
[やぶちゃん注:「※」=「月」+「比」。]
肫【音春】 肫【和名無無木】鳥之臟也
[やぶちゃん字注:以上の二項は底本では上下二段組。「距」とは無縁であるが、短いし、以下は更に附録の感が強いので、ここでは「距」に続けて電子化しておく。]
*
あこゑ
けづめ 【和名、「阿古江」。
俗に云ふ、「介豆女」。】
距【音、「巨」。】
距は雞〔(にはとり)〕・雉の脛(はぎ)にして、岐(また)有る〔もの〕なり。
△按ずるに、凡〔(すべ)〕て、刀-鋒(きつさき)の倒-刺〔(さかば)〕[やぶちゃん注:逆刃。主たる刃(やいば)から見ると、飛び出る形で別に突き出る「返し」の刃或いは鋭利な障害部具のこと。]、皆、「距」と曰ふ。而して、鳥の脚・脛の後〔(うしろ)〕に、畧(ち)と勾〔(まが)〕ち尖〔(とが)り〕たる指・爪を〔も〕亦、「距」と曰ふ。俗に呼んで「蹶爪(けづめ)」と曰ふ。
*
膍胵(とりのわた) ※胵【同じ。和名、「鳥乃和太」。】。鳥の腸胃なり。
[やぶちゃん注:「※」=「月」+「比」。]
肫(むゝき)【音、「春〔(シユン)〕」。】 肫【和名、「無無木」。】鳥の臟〔(はらわた)〕なり。
[やぶちゃん注:前の「膍胵」が腸と胃の消化器官であるから、それ以外の、所謂、「五臓」である肺・心・脾(ひ)・肝・腎と採っておく。]
諸鳥有毒物
本綱云鳥自死目閉自死足不伸白鳥玄首玄鳥白首三
足四距六指四翼異形異色者皆有毒恐不可食之也
*
諸鳥〔の〕毒有る物
「本綱」に云はく、『鳥、自死して、目、閉ぢ〔たるもの〕、自死して、足、伸びざる〔もの〕、白き鳥にして玄〔(くろ)〕き首〔のもの〕、玄き鳥にして白き首〔のもの〕、三足〔のもの〕、四〔つの〕距〔(けづめ)のもの〕、六指〔のもの〕、四〔(よつ)〕つ〔の〕翼〔のもの〕、異形・異色の者、皆、毒、有り。恐〔(おそら)〕くは、之れを食ふべからず』〔と〕。
[やぶちゃん注:「本草綱目」の巻四十九の「禽之三」(林禽類十七種・附二種)の掉尾に、
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諸鳥有毒【「拾遺」】
凡鳥自死目閉 自死足不伸 白鳥玄首 玄鳥 白首 三足 四距 六指 四翼 異形異色 並不可食食之殺人
*
とあるのに基づく。]
養小鳥
凡小鳥𣫠未能啄餌者先取小蟲哺之孑孑及黑小蜘蛛
最佳而後用研餌如畫眉鳥四十雀等用粟稗育者不及
研餌其硏餌造法【忌鼠尿及鹽誤入用則死】
糗【九兩】朱舂米【一兩炒但忌精】小鯽【炙研三兩※鰌亦佳】謂之魚餌
[やぶちゃん字注:「※」=「魚」+「輩」。]
各細末和調蕪菜或芹葉入研合令色淡青水煉用
如鶯駒鳥鷦鷯者用𩵋餌六兩亦佳最隨時宜
晴天令鳥浴水可以避羽蟲浴後中於日暑則三日一度
寒則十日一度
四五月有鳥膨脹【謂豆和留】急用蕃椒浸水令吞之如無効取
常山木蟲餌之螻蛄亦佳
有鳥脛脚生小瘡【謂阿之介】徐刮去㿔瘡令吞蕃椒水則治緩
則舉家鳥皆傳染至死若糞閉者吞蕃椒水可也
病鸎不食餌者安于厠中則乍愈鳩飛不還者燒奇楠於
樊中則遠慕香氣歸來其所喜浄不浄不可得曉
七八月之際諸鳥羽毛漸脫易謂之毻【音妥訓介加由流】毛落更
生整理曰毨【音先】
鳥無所以而有卒死急拔頸毛二三條【如人之身柱之穴処】跡灸一
壯則活
*
小鳥を養〔(か)〕ふ
凡そ、小鳥の𣫠(ひな)、未だ餌を啄ばむこと能はざる者、先づ、小さき蟲を取りて、之れを哺(くゝ)む。孑孓[やぶちゃん注:ママ。](ぼうふりむし)及び黑き小蜘蛛〔(こぐも)〕、最も佳なり。而して後、研餌(すりゑ)を用〔(もつ)〕てす。畫眉鳥(ほじろ[やぶちゃん注:ママ。])・四十雀(〔しじふ〕から)等のごときは、粟〔(あは)〕・稗(ひゑ)を用〔(もつ)〕て育(そだ)つ者は、研餌に及ばず。其の硏餌(するゑ)〔を〕造る法【忌鼠〔の〕尿〔(いばり)〕及び鹽〔(しほ)〕を忌む。誤りて入〔れ〕用〔(もち)ふ〕れば、則ち、死す。】。
糗(はつたい)【九兩。】・朱-舂-米(くろごめ)【一兩を炒る。但し、精[やぶちゃん注:精米したもの。]を忌む。】・小鯽〔(こぶな)〕【炙り研る。三兩。※〔はえ〕・鰌(どじやう)も亦、佳なり。】、之れを「魚餌(なまゑ)」と謂ふ。[やぶちゃん字注:「※」=「魚」+「輩」。]
各々、細末して和し、調〔じ〕[やぶちゃん注:混ぜ合わせて(和(あ)えて)、調合し。]、蕪菜(かぶらな)或いは芹葉(せりの〔は〕)を入れ、研(す)り合はせて、色、淡青〔(あはあを)〕からしめ、水にて煉〔(ね)〕り、用ふ。
鶯・駒鳥・鷦鷯(さゞい)のごとき者は、𩵋餌(なまゑ)六兩を用ひて〔も〕亦、佳なり。最も時宜に隨ふ[やぶちゃん注:育てる鳥の種類や健康状態に合わせて、適宜、対処すればよい。]。
晴天、鳥をして水を浴(あ)びせ、以つて羽蟲(はむし)を避〔(のぞ)〕き、浴(みづあ)びせて後、日に中(あ)つべし。暑きときは、則ち、三日に一度、寒きときは、則ち、十日に一度。
四、五月、鳥、膨-脹(ふく)るゝこと、有り【「豆和留〔(つわる)〕」と謂ふ。】急〔(すみやか)〕に蕃椒(たうがらし)を用ひて、水に浸して、之れに吞ましむ。如〔(も)〕し、効、無くんば、常山木(くさぎの〔き〕)の蟲を取り、之れに餌〔(あた)〕ふ。螻蛄(けら)も亦、佳なり。
鳥の脛・脚、小〔さき〕瘡〔(かさ〕生〔ず〕ること、有り【「阿之介〔(あしけ〕」と謂ふ。】。徐(そろそろ)〔と〕㿔瘡〔(るいさう)〕を刮(こそ)げ去りて蕃椒(とうがらし[やぶちゃん注:ママ。])〔の〕水を吞ませしめば、則ち、治す。〔瘡の〕緩〔(ゆる)める〕ときは[やぶちゃん注:化膿して破れることを指すと思われる。]、則ち、舉-家(いえうち[やぶちゃん注:ママ]。)の鳥、皆、傳-染(うつ)りて、死に至る。若〔(も)〕し、糞閉〔せる〕者は[やぶちゃん注:糞詰りを起こしたものは。]、蕃椒水を吞ませて可なり。
病〔んだ〕鸎〔(うぐひす)の〕餌を食はざる者〔は〕、厠(かはや)の中に安(お)けば、則ち、乍〔(たちま)〕ち、愈ゆ。鳩、飛びて還らざる者〔は〕、奇楠(きやら)を樊(かご)の中に燒(た)けば、則ち、遠く香氣を慕ひて、歸り來たる。其の喜〔(たのし)〕む所、浄・不浄、得曉(〔え〕さと)すべからず[やぶちゃん注:「理解することは到底出来ないが、事実、以上の通りなのである」というのである。]。
七、八月の際(あいだ[やぶちゃん注:ママ。])、諸鳥、羽毛、漸(そろそろ)、脫〔(ぬ)〕け易(かは)る。之れを「毻(けかゆ)る」と謂ふ【音、「妥〔(ダ)〕」。「介加由流」と訓ず。】。毛、落ちて、更に、生じて整-理(とゝな)ふを「毨」【音。「先」。】と曰ふ。
鳥、所以(ゆへ[やぶちゃんちゃん注:ママ]。)無くして卒〔(にはか)〕に死すること有り。急〔(すみやか)〕に頸(くびすぢ)の毛、二、三條【人の身柱(ちりけ)の穴のごとくなる処。】を拔きて、跡に、灸〔(きう)〕、一壯〔(そう)〕すれば、則ち、活(い)く。
[やぶちゃん注:「哺(くゝ)む」人が餌を口に入れてやる。
「孑孓(ぼうふりむし)」通常は「孑孑」。言わずもがな、双翅(ハエ)目長角(糸角/カ)亜目カ下目カ上科カ科 Culicidae に属する蚊類(亜科はオオカ亜科 Toxorhynchitinae・ナミカ亜科 Culicinae・ハマダラカ亜科 Anophelinae に分かれる)の水棲幼虫である「ボウフラ」。「和漢三才圖會卷第五十三 蟲部 孑孓(ぼうふりむし)」を参照されたい。
「畫眉鳥(ほじろ)」スズメ目スズメ亜目ホオジロ科ホオジロ属ホオジロ亜種ホオジロ Emberiza cioides ciopsis。但し、良安の「ほおじろ」認識には、やや誤認とブレがあるように思われる。「和漢三才圖會第四十三 林禽類 畫眉鳥(ホウジロ) (ホウジロ・ガビチョウ・ミヤマホオジロ・ホオアカ)」の私の注を参照されたい。
「四十雀(〔しじふ〕から)」スズメ目スズメ亜目シジュウカラ科シジュウカラ属シジュウカラ Parus minor。「和漢三才圖會第四十三 林禽類 四十雀(しじふから) (シジュウカラ・附ゴジュウカラ)」を参照されたい。
「糗(はつたい)」はったい粉。大麦(単子葉植物綱イネ目イネ科オオムギ属オオムギ Hordeum vulgare)を煎って焦がし、挽いて粉にしたもの。麦こがし。香煎 (こうせん)。
「九兩」薬種の量目単位。一両は四匁で、現在の十五グラムであるから、百三十五グラム。以下はご自分で換算されたい。
「朱-舂-米(くろごめ)」「黑米」。イネ(イネ目イネ科イネ亜科イネ属イネ Oryza sativa)の栽培品種のうちで、玄米の種皮又は果皮の少なくとも一方(主に果皮)にアントシアニン(anthocyanin)系の紫黒色素を含む品種。
「小鯽〔(こぶな)〕」条鰭綱骨鰾上目コイ目コイ科コイ亜科フナ属
Carassius の小型固体或いは小型種。「コブナ」という種はいない。日本全域に分布するギンブナ
Carassius langsdorfii (全長三十センチメートルほどで、ほぼ全てが♀であり、無性生殖の一種である雌性発生でクローン増殖することが知られている)か、キンブナ Carassius buergeri subsp. 2(関東地方・東北地方に分布し、全長は十五センチメートルほどで、日本のフナの中では最も小型。名のとおり体が黄色っぽく、ギンブナよりも体高が低い)。
「※〔はえ〕」(「※」=「魚」+「輩」)。現行の「ハヤ」類であるが、本邦では複数の異なった種を十把一絡げにして「ハヤ」と呼ぶ悪しき習慣がある(「ハヤ」という標準和名の種はいない)。これはさんざん、色々な電子化で注してきた。これは書き始めると、エンドレスになってしまうので、特に最近の仕儀で、かなりコンパクトに纏めた、「大和本草卷之十三 魚之上 ※(「※」=「魚」+「夏」)(ハエ) (ハヤ)」の私の注を参照されたい。
「蕪菜(かぶらな)」「な」(原典はカタカナ)はちょっと判別に迷うが、東洋文庫に従った。アブラナ目アブラナ科アブラナ属ラパ変種カブ(アジア系)Brassica
rapa var. glabra。但し、ここで用いるのは、あくまで「葉」である。
「芹葉(せりの〔は〕)」セリ目セリ科セリ属セリ Oenanthe javanica。
「駒鳥」スズメ目ツグミ科コマドリ属コマドリ Erithacus akahige akahige。「和漢三才圖會第四十三 林禽類 駒鳥(こまどり) (コマドリ・タネコマドリ)」を参照されたい。
「鷦鷯(さゞい)」これはスズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属ミソサザイ Troglodytes troglodytes。「「和漢三才圖會第四十二 原禽類 巧婦鳥(みそさざい)(ミソサザイ)」を参照されたい。
「避〔(のぞ)〕き」訓に自信なし。しかし、明らかに送り仮名は「キ」。
「四、五月、鳥、膨-脹(ふく)るゝこと、有り【「豆和留〔(つわる)〕」と謂ふ。】」多くの小鳥はいろいろな疾患に於いて、しばしば体が膨らむ。川口の小鳥の病院「小鳥のセンター病院」の公式サイトのこちらを見ると、上部気道疾患・バンブルフット(Bumblefoot:趾瘤症(しりゅうしょう)。立った時又は歩いている時に体重がかかる足の裏や、座った時に体重のかかる膝に瘤(こぶ)が発生し、内部へ炎症が進行していく病気)・内分泌疾患・甲状腺機能低下症・代謝性疾患・甲状腺機能低下症・変形性関節症・輸卵管疾患や、重度の感染症で見られる現象であることが判る。……小学校四年の時、飼っていたジュウシマツが、すっかり膨らんでいた……鍵っ子だった私は、為すすべなく、近くの小鳥に詳しいお爺さんのところへ掌に載せて走って連れて行こうとした、でも、その途中、私の手の中で、その子は、息を引き取った……その震える小さな体の感触と、閉じてしまって……最早……永久に開かない眼を……私は……忘れられない…………
「蕃椒(たうがらし)」ナス目ナス科トウガラシ属トウガラシ Capsicum annuum。多くの品種がある。
「常山木(くさぎの〔き〕)の蟲」シソ目シソ科クサギ属クサギ(臭木)Clerodendrum
trichotomum。和名は葉に独特の悪臭がすることに由来(あれは私も嫌い。しかし食用になる)。それにつく虫は、特に「臭木の虫」として知られ、コウモリガ(鱗翅(チョウ)目コウモリガ上科コウモリガ科 Endoclita 属コウモリガ Endoclita excrescens)・カミキリムシ(鞘翅(コウチュウ)目多食(カブトムシ)亜目ハムシ上科カミキリムシ科 Cerambycidae)などの幼虫らしい。クサギの枝や幹に穴を開け、木質を食べて成長する。嘗ては、子供の疳の薬に盛んに用いられ、「常山虫(じょうざんちゅう)とも称し、夏の季語でさえある。
「螻蛄(けら)」本邦産種は直翅(バッタ)目剣弁(キリギリス)亜目コオロギ上科ケラ科グリルロタルパ(ケラ)属ケラ Gryllotalpa orientalis。「和漢三才圖會卷第五十三 蟲部 螻蛄(ケラ)」を参照されたい。
「鳥の脛・脚、小〔さき〕瘡〔(かさ〕生ること、有り【「阿之介〔(あしけ〕」と謂ふ。】」腫瘤疾患らしいが、後の良安の謂いからは、強い感染性疾患(病原はウイルス性・細菌性・真菌性・原虫性・寄生虫性など多様である)が考えられる。
「㿔瘡〔(るいさう)〕」「㿔」は皮膚に発生した小さな疣(いぼ)状のものを指す。「瘡」は腫れ物。
「病〔んだ〕鸎〔(うぐひす)の〕餌を食はざる者〔は〕、厠(かはや)の中に安(お)けば、則ち、乍〔(たちま)〕ち、愈ゆ」この呪的関係には聊か興味がある。何か判ったら追記したい。
「奇楠(きやら)」沈香(じんこう)。ついこの間の、「和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 比翼鳥(ひよくのとり) (雌雄で一体の幻鳥・捏造剥製はフウチョウを使用)」の「丹沉」の注で示したので、そちらを参照されたい。
「身柱(ちりけ)」「天柱」とも書き、「ちりげ」とも呼ぶ。灸穴(きゅうけつ)の一つで、項(うなじ)の下,第三椎(つい)の下に当たる。小児の驚風(幼児のひきつけを起こす病気を指す。現在は脳膜炎の類が比定されている)や疳(正式な漢方医学では「脾疳(ひかん)」で、乳児の腹部膨満や異常食欲などを称したが、ここはもっと広い小児性神経症疾患を指すと考えた方がよかろう)などに効果があるとされた。
「灸〔(きう)〕、一壯」灸を一回据えることを「一壮」と呼ぶ。
以上を以って「和漢三才圖會」の「鳥類」パートの全電子化注を完遂した。開始が二〇一七年十月三十日であったから、一年三ヶ月かかった。苦手な鳥類だっただけに、少し時間がかかった。さても、残すは「卷三十七 畜類」「卷三十八 獸類」「卷三十九 鼠類」のみとなった。こいつは今年中に必ず鳧をつける。それで総ての動物パートを終えられる。二〇〇七年四月二十八日に「卷第四十七 介貝部」に手をつけているから、今年で十二年目、これだけは、今年中に完遂する覚悟である。]
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