亡友を懷ひて 國木田獨步
亡友を懷ひて
君とわれと
幽明、境をへだつれども
われ君を懷ふいやふかし
われ君を懷ひ
君世に在(いま)さず
高にのぼりてたゝずめば
天(あま)のはるぐばる雲きえて
悠々たり蒼空の色
夕照遠近にみちぬ
君を懷ふて感に堪へず
徘徊俯仰願望する時
時の羽風(はかぜ)耳邊をかすめて飛び
永遠の俤(おもかげ)眼底に動きぬ
[やぶちゃん注:初出は『國民之友』明治三〇(一八九七)年六月。「耳邊」は「じへん」。]
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亡友を懷ひて
君とわれと
幽明、境をへだつれども
われ君を懷ふいやふかし
われ君を懷ひ
君世に在(いま)さず
高にのぼりてたゝずめば
天(あま)のはるぐばる雲きえて
悠々たり蒼空の色
夕照遠近にみちぬ
君を懷ふて感に堪へず
徘徊俯仰願望する時
時の羽風(はかぜ)耳邊をかすめて飛び
永遠の俤(おもかげ)眼底に動きぬ
[やぶちゃん注:初出は『國民之友』明治三〇(一八九七)年六月。「耳邊」は「じへん」。]