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2019/03/15

古人 國木田獨步

 

  古  人

 

わが室荒野のうちに在り。

さよ更けて、

燈火かすかにたゞ獨り

瞑目して古今を思へば

恍としてわれ又古人の如し。

鳴呼古人何處にある。

窓打つ雨の淋しき音、

これ自然の聲に非ずや。

軒を亙る彼の風の音

これ宇宙の聲なるかも。

恍としてわれ不朽を思ふ。

 

鳴呼古人何處にかある。

計らず楣間を仰げば

われを見下ろすもの

テニソンあり、カライルあり。

吾をして思ず君等と叫ばしむ。

バイブルをとりて讀めば、

基督イエスの聲、生けるが如し。

之れ自然の聲に非ずや。

之れ不朽の聲に非ずや。

鳴呼古人、古人、吾も逝かん。

吾亦た遂にゆきて、

永久に君等と共に在らん。

吾今ま生く、君等また生く。

君等の窮若し無死なりせば、

よし吾をして亦た君等と共に、

死の無窮の國にゆかしめよ。

 

[やぶちゃん注:明治二八(一八九五)年八月八日附『國民新聞』に掲載。署名は「てつぷ」。傍線はママ。「今ま」(いま)はママ。「君等の窮若」(も)「し無死」(むし)「なりせば、」の「窮」はコーダの「無窮」を考えれば、「窮(きゆう(きゅう))か。無論、「きはみ」と訓じてもよいとは思うが、詩語としての緊迫感を欠くように私には思われる。

恍として」ぼんやりと。

「楣間」は「びかん」と読み、長押(なげし)や欄間(らんま)の間の意。

「テニソン」ヴィクトリア朝時代のイギリスの詩人アルフレッド・テニスン(Alfred Tennyson 一八〇九年~一八九二年)。國木田獨步が愛読したことは獨步吟」の「序」に出た。

「カライル」イギリスの歴史家・評論家トーマス・カーライル(Thomas Carlyle 一七九五年~一八八一年)。やはり獨步が愛読した作家である。]

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