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2019/03/11

絕望 國木田獨步


  
   望

 

        (去年の夢)

 

さみだれさびし獨りして

ものを思へばはてもなし

あはれとて泣きしは夢の心地して

にくしとも恨むは今のうゝつなる

 

行末はいかにもとあれ

鬼よ去れ、望の鬼

燃えつゝ氷る心地する

今の我身をしばしだに

鬼よ去れ、望の鬼

 

こしかたの夢さめはてぬ

ゆくすえ光だもみず

木枯し吹くとこやみの空

星落ちてゆくえを知らず

あゝわが魂いづこに迷ふ

 

[やぶちゃん注:初出不明。「ゆくすえ」はママ。「去年」は「こぞ」と読みたい。実は底本には問題があり、第二連と第三連の間は改ページであるが、前後孰れのページも、一行余す、或いは、一行空ける仕儀を版組上で行っていない。しかし、これまでの詩篇やこの後の本詞華集の彼の詩篇で、第一連を四行でブレイクした後、第二連を十行連続とするのに近い詩篇構成を見出せないのである。黙読のリズムからも、朗読上からの観点からも、「行末はいかにもとあれ」/「鬼よ去れ、望の鬼」/「燃えつゝ氷る心地する」/「今の我身をしばしだに」/「鬼よ去れ、望の鬼」の後に有意にブレイクが入って、以下、第三連へと続くのが自然であると私は思う。詞華集「青葉集」原本を確認出来ないが、私は、暫く上記の通りとする。実は、「抒情詩」の中にも、一篇、同じ疑問を抱いた箇所があったが、これは二本の原典画像で視認し、行空けがあることが確認出来たので、特に注さなかったのである。そういう〈前科〉が底本にはあるので、今回は特にかく注を附してそのような仕儀を行った。大方の御叱正を俟つものではある。

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