雜吟『戀こそ夢なれ』 國木田獨步
雜吟『戀こそ夢なれ』
懸こそ夢なれ。
夢こそ世なれ。
行末を、
たゞよふ雲にまかさばや。
利根の川岸、花さかん。
阿蘇の山もと、三日月の、
影をあはれと泣く人に、
己が旅衣ぬはさばや。
[やぶちゃん注:標題は底本編者によるもので、総標題に一行目を添えたもので、本篇は無題。初出は明治三〇(一八九七)年十二月十日発行の『國民之友』。]
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