裸 伊良子清白
裸
裸の女は裸を大きくし
凉しい濱をむさぼつてあるく
裸のをとこは風の中
裸を吹きとばしてゐる
裸のをんなははだかのままで
はだかの冷えるまで凉み
夜更けの幮(かや)の底でも
裸丸出しで寢てゐる
裸の女を抱いてねる
はだかのをとこは勝ち誇つてゐる
裸に罪があるか――
罪は人がつくり、裸は神が造る
[やぶちゃん注:こんな一篇をあの「孔雀船」の伊良子清白がものしているのはすこぶる面白い。
「幮(かや)」「蚊帳(かや)」に同じい。]
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