君の眼を見るごとに 伊良子清白
君の眼を見るごとに
君の眼を見るごとに
君のことばを聽くごとに
君の柔手(やはで)をとるごとに
君の唱歌をきくごとに
我てふもののいつとなく
君のこころに流れ入り
瀧(たぎ)つ早瀨のさらさらと
光りを帶びて見ゆるかな
[やぶちゃん注:初出は明治三八(一九〇五)年九月発行の『文庫』であるが、初出では総標題「小詩二篇」のもとに、先の「北のはて」とともに本篇を「無題」として収め、署名も単に「清白」である。初出では題名以外に最終行が「月を帶びても見ゆるかな」となっている点が有意な相違点である。]