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2019/05/22

和漢三才図会巻第三十九 鼠類 隱鼠(ぶたねずみ) (幻獣)

Butanezumi

 

ぶたねすみ 鼹鼠 偃鼠 鼠母 鼳【音菊】

隱鼠

 

本綱隱鼠在山林中而獸類非鼠之儔大如水牛形似猪

灰赤色脚類象而驢蹄口鋭胸前尾上白色有力而鈍性

畏狗見則主水災【梁書云倭國有山鼠如牛又有大蛇能吞之蓋日本未聞有如此者其何物耶】

 

 

ぶたねずみ 鼹鼠〔(えんそ)〕 偃鼠〔(えんそ)〕

      鼠母 鼰〔(けき〕【音「菊」。】

隱鼠

[やぶちゃん注:「〔(けき〕」の音には「ケキ」の他には「ギヤク」「キヤク」しかなく、音を「菊」とするのは不審である。「本草綱目」では反切で「古役」とする。「広韻」の反切は「古聞」であるから、これはこの「聞」を「菊」と良安が誤った可能性が考えられるか。

 

「本綱」、隱鼠、山林の中に在りて、獸の類ひにして、鼠の儔(ともがら)[やぶちゃん注:仲間。]に非ず。大いさ、水牛のごとし。形、猪に似る。灰赤色。脚、象に類して、驢〔(ろば)〕の蹄〔(ひづめ)〕。口、鋭く、胸の前・尾の上、白色。力、有りて、而〔れども〕鈍し。性、狗を畏る。〔この姿を〕見るときは、則ち水〔の〕災〔ひ〕を主〔(つかさど)〕る[やぶちゃん注:この動物が姿を表わすと甚大な水害が齎される。]【「梁書」に云はく、『倭國、山鼠有り、牛のごとし。又、大蛇、有り、能く之れを吞む』〔と〕。蓋し、日本に、未だ、此くのごとき者有るを聞かず。其れ、何物(〔も〕)〔なる〕や。】。

[やぶちゃん注:前「鼢(うころもち)」でフライングした通り、こっちについては幻獣(そもそもがだ! 時珍自身が「鼠の類じゃない」と言っているのだ!)としか言いようがないのだが、しかし、最後でなんと! 日本にこれに類した「山鼠」というのがいるっ言(つ)うじゃないの!?! ここまでくれば、取り敢えず、拘って調べるしかあるまい、と、「隱鼠」で画像検索を掛けると、一見、毛のない(実はある。後述)、上顎前歯二本がイヤミのように出歯った、なんとも「キモ可愛い」と言うしかない小さなネズミがワンサカ出てくるので、さらにこれを中文サイトで調べてみたところ、まさに「裸鼴鼠」とし、学名を「Heterocephalus glaber」としてあった。これは齧歯(ネズミ)目 Hystricomorpha 亜目ヤマアラシ顎下目デバネズミ科ハダカデバネズミ属ハダカデバネズミ Heterocephalus glaber と判明した(一属一種)ウィキの「ハダカデバネズミ」によれば(太字は私が附した)、分布はエチオピア・ケニア・ジブチ・ソマリアで、体長は十・三~十三・六センチメートル、尾長は三・二~四・七センチメートル、体重は九~六十九グラムで、『体表には接触に対して感度の高い細かい体毛しか生えていない』。『属名Heterocephalusは「変わった頭部、変な頭部」の意』で、『種小名glaberは「無毛の、毛のない」の意で』、『和名や英名(naked=裸の)とほぼ同義。口唇が襞状で』、『門歯の後ろで閉じるようになっており、穴を掘るときに土が口内に侵入するのを防いでいる』。『体毛が無いことや』、『環境の変動が少ない地中で生活するためか、体温を調節する機能がなく』、『体温も低い』。『完全地中棲』で、十匹以上二百九十匹以下(平均七十五~八十匹)もの、『大規模な群れ(コロニー』(colony)『)を形成し』て生活している。『後述するように』、『本種は哺乳類では数少ない真社会性の社会構造を持つ(哺乳類で真社会性を持つものは他に』同じデバネズミ科 Bathyergidae の『Cryptomys damarensis』(デバネズミ科 Fukomys 属ダマラランドデバネズミ Fukomys damarensis)『が知られる』『)。群れの中で』一『つのペアのみが繁殖を行い、群れの多くを占める非繁殖個体のうち』、『小型個体は穴掘りや食料の調達を、大型個体は巣の防衛を行う』。『門歯で穴を掘り、後肢を使い掘った土を後ろへ掻き出す』。『地表へ土を排出する際も、後肢を使い勢いよく』、『土を蹴り出す』。『複数の個体により』、『穴掘り・トンネル内の土の運搬・地表への土の排出を分担して行う』。六十 ~七十匹のコロニーでは、実に長さ約三キロメートルに『達する巣穴も確認されている』。『地中は温度の変動が少ないが』、『体温が低くなると』、『密集したり、逆に体温が高くなると』、『トンネルの奥へ避難する』。『植物食で、地下植物や植物の根を食べる』。『幼獣は成獣の排泄物も食べる』。『捕食者はヘビ類が挙げられ、掻き出した土の匂いを頼りに巣穴に侵入したり』、『土を掻き出している最中の個体を捕食する』。『群れの中でもっとも優位にある』一『頭の雌(繁殖メス)と』、一『頭または数頭の雄のみが繁殖に参加する。妊娠期間は』六十六~七十四日で、『飼育下では』八十『日の間隔を空けて』、『幼獣を産み』、一『回に最大』二十七『頭の幼獣を産んだ例がある』『野生下・飼育下でも年に』四~五『回に分けて』五十『匹以上の幼獣を産む』。『繁殖メスが死んだ場合は』、『巣内が平和であれば』、『複数のメスの性的活性が活発化するものの、そのうち』、一『匹のメスのみが急に成長し』、『争いも起こらず』、二~三『週間ほどで繁殖を行い』、『新しい繁殖メスになる』。『そのため』、『繁殖メスによる化学物質(フェロモン)が群れ全体に作用し』、『他の個体の繁殖が抑制されていると考えられ、集団で排泄を行う便所での尿や』、『巣内での集合場所で密着することで』、『フェロモンを発散している可能性が示唆されている』。『授乳は繁殖メスのみが行うが、幼獣の世話は群れの他個体も参加して行われる』。『飼育下の寿命は』十五『年以上で、繁殖メスでは最長で』二十八年二ヶ月の『生存記録もある』(これは齧歯類では特異的に驚異的長命と言える)。『巣の中で産まれた個体は同じ巣に留まってワーカーや繁殖個体になることが多いので、巣内で近親交配が繰り返されることになる。そのため』、『巣内の個体間の血縁度が非常に高くなる』。『これが本種の真社会性の進化を促したとする説がある(血縁選択による血縁利他主義の進化)一方で』、『親による操作説のほうが上手く説明できる証拠も示されており(女王による監視など)、議論が続いている』。『老化に対して』は『耐性があり、健康な血管機能を維持できる』。『その長寿の理由は議論されているところではあるが、生活環境が厳しい時に代謝を低下させる能力があり、それが酸化による損傷を防いでいると考えられる』。『その驚異的な長寿ゆえ、ハダカデバネズミのゲノム解析に努力が払われている』。『ハダカデバネズミは』癌『に対して高い耐性を示し、ハダカデバネズミに』癌『が発見されたことはなかった。このメカニズムは、一定のサイズに達した細胞群に新たな細胞を増殖させない「過密」遺伝子として知られているp16という遺伝子が』、癌『を防いでいるものである。ハダカデバネズミも含めたほとんどの哺乳類は、p16が活動するよりもかなり遅れた時期に活動する細胞の再生を阻害するp27と呼ばれる遺伝子を持っている。ハダカデバネズミにおいては、p16p27の共同作用が』、癌『細胞の形成の阻害としての二重防壁を形成している』。『ハダカデバネズミの産生するヒアルロン酸ががんに対する耐性の一因であるという報告もある。ハダカデバネズミのヒアルロン酸はヒトやマウスなどの他の哺乳類に比べ』、五『倍以上高分子で』、『さらに密度が高く、High-Molecular-Mass Hyaluronan (HMM-HA) と名付けられた。このHMM-HAのノックアウト、もしくはヒアルロン酸分解酵素の過剰発現により』、癌『感受性になることから、HMM-HAのがん耐性に対する関与が報告されている』。『現在では飼育個体においてハダカデバネズミの』癌『の症例が発見されている。ただし、この事はハダカデバネズミの高い』癌『耐性を否定するものではない』。さらに、二〇一七年四月に『科学誌『サイエンス』電子版に発表された研究結果によると、ハダカデバネズミは酸素がない環境で』十八『分も耐え、大きなダメージも残らなかったという』。『無酸素状態になった際、通常の酸素呼吸とは別の仕組みでエネルギーを生み出したとみられ』、『研究チームは「心臓病などで、無酸素状態になった際に起こる損傷を防ぐ治療につながる可能性がある」としている。チームはマウスとハダカデバネズミを使い、それぞれ酸素濃度が』五%と〇%(無酸素)の『状態において』、『様子を観察した。その結果、マウスはいずれの条件下でも間もなく死んだのに対し、ハダカデバネズミは酸素濃度』五%は五時間、無酸素下でも十八分間、『耐えることができた』。無酸素下では『心拍数は大きく低下し』、一『分間に』五十『回程度になったとい』い、また、『無酸素状態では、ハダカデバネズミの体内で糖類の一種の果糖が増えていることが確認できた。通常時のエネルギー源であるブドウ糖の代わりに』、『果糖を使って、脳や心臓といった生存に関わる組織にエネルギーを供給していると考えられる』とある(彼ら、侮れん!!!)。と言っても、サイズ、小さ! 本種のモデルになるには小さ過ぎるし、だいたいからして中国におらんて!……因みに、とある御仁はこれをかの「トトロ」の実在証拠とされておられたことを言い添えておく。但し、残念乍ら、私の尊敬する手塚治虫先生の追悼すべき記事に於いて、アニメーションをだめにしたとする批判(しかし概ねその理屈は正しいのだが)のみを語って平気の平左であった忌まわしい宮崎駿を私は永久に認めない人間である。悪しからず

「梁書」南朝梁の正史。盛唐の姚思廉撰。全五十六巻。六三六年頃の成立。記述は公平で、引用文以外は叙事に適した古文を用いている。梁代の研究に最も重要な書物とされる。当該箇所は「巻第五十四」の「列傳第四十八 諸夷海南諸國 東夷 西北諸戎」の一節。太字は私が附した。

   *

倭者、自云太伯之後、俗皆文身。去帶方萬二千餘里、大抵在會稽之東、相去絕遠。從帶方至倭、循海水行。歷韓國、乍東乍南、七千餘里始度一海。海闊千餘里、名瀚海、至一支國。又度一海千餘里、名未盧國。又東南陸行五百里、至伊都國。又東南行百里、至奴國。又東行百里、至不彌國。又南水行二十日、至投馬國。又南水行十日、陸行一月日、至祁馬臺國。卽倭王所居。其官有伊支馬、次曰彌馬獲支、次曰奴往鞮。民種禾稻籥麻、蠶桑織績。有姜・桂・橘・椒・蘇、出黑雉・眞珠・靑玉。有獸如牛、名山鼠。又有大蛇吞此獸。蛇皮堅不可斫、其上有孔、乍開乍閉、時或有光、射之中、蛇則死矣。物產略與儋耳、朱崖同。地溫暖、風俗不淫。男女皆露紒。富貴者以錦繡雜采爲帽、似中國胡公頭。食飮用籩豆。其死、有棺無槨、封土作塚。人性皆嗜酒。俗不知正歲、多壽考、多至八九十、或至百歲。其俗女多男少、貴者至四五妻、賤者猶兩三妻。婦人無淫妒。無盜竊、少諍訟。若犯法、輕者沒其妻子重則滅其宗族。

   *]

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