新しき美(は)しき恋人
六十二歳にもなって――新しい超弩級に美しい恋人が出来た! それも教え子夫婦の子だ!! これはヤバシヴィッチのヤブノヴィッチだ!!! これは政治的道義的大問題だ!!!! でも――凝と見詰め合って笑い合ったのだっツ!!!!! しかし――絶対の詩神(ミューズ)よ!!!!!! こればかりは!!!!!!! どうか許してくだされいぃっツ!!!!!!!!
[やぶちゃん注:今日、私の最も今に近しい教え子夫婦(ただちょっと教えただけなのだけれど。でも、私には確かな忘れ難い「教え子」である)と横浜で会食した。十ヶ月の彼らの娘に逢った――それはそれは……名立たる詩人たちに詩を作らせずんばならざる可愛い娘であった。それを語らずには、私は生きている価値がないほどに美(は)しき娘であったのだ!…………]
[やぶちゃん追記:思えば僕は生まれて、このかた、ほんとうの赤子抱いたことが――なかった……だから……彼女は――真に――ミューズ――であったのである…………しかし、よく見ると、私の眉間には皺が寄っている……でも……それは彼女が、ものを食べる時(僕は、今日、ただ一度だけれど、御夫婦に勧められて、彼女に匙で離乳食をも食べさせたのでもあったのであった)寄せる眉間の皺と全く同じではなかったか!?! それを見た時、私は宮澤賢治よろしく、『「この子」やそれに繋がる子らの「幸い」を私たちは確かに担って行かねばならぬのは――この私ら――ではないのか?』と、遅ればせながら、思うたのであった…… ]