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2019/05/08

綠の牧場 伊良子清白 (ハイネ訳詩/附・生田春月訳)

 

綠の牧場

 

綠のまきば森のうへ

夏の夕べぞたそがるる

黃金(こがね)の月は大空(おほぞら)に

薰り放ちててらすなり

 

なくや蟋蟀(こほろぎ)水近く

水のおもてぞゆらぐなる

水打つ音とその呼吸と

靜けき夜を破りつつ

 

小川の岸にただ一人

はしき少女ぞ浴みする

腕(ただむき)頸(うなじ)白々と

月の光に輝きて

 

[やぶちゃん注:明治三六(一九〇三)年十一月発行の『文庫』初出(署名「清白」)であるが、総標題「夕づゝ(四)(Heine より)」の下に、本「綠の牧場」・「車に乘りて」・「われの言葉を」・「心を痛み」・「春」の五篇からなる。本篇はPDサイト「PD図書室」のこちらの昭和一〇(一九三五)年二十四版新潮文庫刊生田春月(明治二五(一八九二)年~昭和五(一九三〇)年)譯「ハイネ詩集」の訳によるなら、一八二六年初版一八三〇年再版の詩集“Reisebilder”(「帰郷」)の第九十七歌であるが、ドイツ語が解らない私の力では原詩は捜し得なかった。

 生田春月の訳を同上ページの「帰郷」パートから示す(但し、漢字の一部を正字化した。)。

   *

 

  九十七

 

夏の夕は落ちて來た

森と綠の牧場の上に

靑い空からは黃金の月が

匂はしい光を投げてゐる

 

河のほとりには蟋蟀(こほろぎ)が鳴き

水はさらさら音立てる

旅人はそのせゝらぎに聞き惚れてゐる

靜かななかに一つの呼吸(いき)の音

 

その河邊にはただひとり

美しい妖精(エルフ)が水に浸つてゐる

白いかはいゝ腕(かひな)と頸(くび)を

月の光にてらさせて

 

   *]

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