ひばり 伊良子清白 (ウーラント訳詩)
ひばり
羽音をたてて翔り行く
鳥よ雲雀よ渡り鳥
或は牧場を橫ぎりつつ
或は木立を掠(かす)めつつ
鬨(とき)をつくりて大方は
空の彼方にとび去りぬ
一羽ぞ歌もほがらかに
ここに羽ばたく胸の内
[やぶちゃん注:本篇は明治三六(一九〇三)年九月発行の『文庫』初出(署名「清白」)であるが、総標題「夕づゝ(二)(UHLAND より)」の下に、標題無しの一篇(新潮社版「伊良子清白集で」先の「森を穿ちて」に改題)と本「ひばり」・「狩人のうた」の三篇から成る。これらはドイツ後期ロマン主義のシュワーベン詩派の代表的詩人であるヨハン・ルートビヒ・ウーラント(Johann Ludwig Uhland 一七八七年~一八六二年)の訳詩。私はドイツ語が解せないが、幸いにして「ひばり」のドイツ語でフレーズ検索することで、原詩“Die Lerchen”(一八四三年作)を見出だせた。こちらである。初出は「一羽ぞ歌も面白く」が有意な異同。]
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