和漢三才図会巻第四十(末) 獸之用 蹄(ひづめ)
ひつめ 蹢【音的】
【詩小雅有豕白蹢】
蹄【音題】
【和名比豆米】
切韻云蹄者畜足圓也岐曰甲【和名豆米】爪也
*
ひづめ 蹢〔(てき)〕【音「的」。】
【「詩」[やぶちゃん注:「詩経」。]の
「小雅」〔に〕、
『豕〔(ぶた)〕に白蹢〔(はくてき)〕
有り』といへり。】
蹄【音「題」。】
【和名「比豆米」。】
「切韻」に云はく、『蹄は畜の足の圓〔(まどか)なる〕なり。岐〔(また)〕あるを「甲」【和名「豆米」。】曰ひ、「爪」なり』〔と〕。
[やぶちゃん注:『「詩」の「小雅」〔に〕、『豕〔(ぶた)〕に白蹢』と有り』「詩経」の「小雅」の「漸漸之石(ざんざんしせき)」の一節。以前にも紹介した個人ブログ「raccoon21jpのブログ」のこちらで全文・訓読・和訳が出るので、参照されたい。詩篇本文の詩句が「有豕白蹢」である。
「切韻」隋の韻書。全五巻。六〇一年成立。反切(はんせつ:ある漢字の字音を示すのに、別の漢字二字の音を以ってする方法。上の字の頭子音(声母)と下の字の頭子音を除いた部分(韻母)とを合わせて一音を構成するもの。例えば、「東」の子音は「徳紅切」で「徳」の声母[t]と「紅」の韻母[oŋ]とによって[toŋ]とする類)によって漢字の音を表わし、百九十三韻を「平声(ひょうしょう)」・「上声(じょうしょう)」・「去声(きょしょう)」。「入声(にっしょう)」の四声に分類した書。陸法言・劉臻(りゅうしん)・顔之推・盧思道・魏彦淵・李若・蕭該・辛徳源・薛道衡(せつどうこう)の九人が、古今各地の韻書について議論した結果を、陸法言が系統的に整理した。原本は早く失われたが、敦煌から一部が発見されている。唐代、他の韻書を圧倒して、詩の押韻の基準に用いられ、その後、王仁昫(おうじんく)の「刊謬補欠切韻」、孫愐(そんめん)の「唐韻」等により増補し、北宋の陳彭年の「広韻」によって集大成された。これらは〈切韻系韻書〉と呼ばれ、中上古の中国語の体系や音韻を推定するための貴重な資料とされる(以上は「ブリタニカ国際大百科事典」に拠った)。辞書としての役割も持っている。]
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