涅 槃
死にぬ
愛慾のため
埋められて
君の腕(ただむき)
目ざめぬまた
其接吻(くちづけ)より
仰ぐは御空
なつかしき眼(まみ)
[やぶちゃん注:初出は明治三九(一九〇六)年四月発行の『文庫』であるが、総標題「きらゝ雲」として、先の「休ひの谷」を筆頭に「かへし」・「ちごのをはり」(後に先の「稚児の終焉」に改題)・「運命」・「鹿」・「よきねがひ」・「秋」・「君の園生に」・本「涅槃」・「さいはひ」(表記はママ)の十篇から成っている(署名「清白」)。初出は最終行が、『懷しき眼(まなこ)』となっている以外に異同はない。]
« 君の園生に 伊良子清白 |
トップページ
| さいはひ 伊良子清白 »