梅
風塵の中に成長(ひととな)り、
梅のはずえのやうに
野放圖に伸びて、
點々と蕾を着けてをる處女(をとめ)。
[やぶちゃん注:昭和一二(一九三七)年六月十五日発行の雑誌『媽祖』(第十四冊)に、「題詞(尺より)」(「鼻」の注で電子化した)の添えと、旧作の「五月野」・「コロンブス」(前の「海上雲遠」の改題作。本雑誌『媽祖』についてはその私の注を参照されたい)・「鼻」・「梅」(本篇)・「南嶋小曲」の一題詞と五篇で掲載された(これは伊良子清白特集号であった模様である)。署名は「伊良子清白」。「はずえ」はママ。]
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