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2019/06/13

夏の夜 伊良子清白

 

夏 の 夜

 

林洩る菓物の

濃きかをり今しばし

高まりぬ時すぎし

花の香も殘るかに

くゆるめりめざめたる

家をめぐりひたひたと

波よせぬそは大き

夜の息この時に

われ思ふ外の方を

霰降り月光は

地に箔すまた磯は

家も低くいくみ竹

波に乘る浩々と

白き夜は海に居り

眠られずいとけなき

子心にかへりつゝ

われなきぬ

 

[やぶちゃん注:明治四〇(一九〇七)年一月十五日発行の『文庫』(第三十三巻第四号)に掲載。署名は「伊良子清白」。底本全集年譜によれば、この年、六月前後、『文庫』編集部内で、伊良子清白が投稿した評論「鏡塵錄」と翻案詩「七騎落」について、早稲田派のグループが採用掲載の可否について問題提起をして紛争が起こり(結果的には七月十五日発行の『文庫』(第三十四巻第五号)に二篇とも掲載された)、伊良子清白の『文庫』からの訣別が決定的になった。なお、この六月には島根県検疫医も兼任している。

「いくみ竹」「組竹」。葉が組み合って繁茂している竹の意。「古事記」に出る古語。]

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