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2019/06/13

小詩三篇 伊良子清白

 

小詩三篇

 

 

  帆 影

 

朝に來て浮木をひろひ

夕に出て寄藻(よりも)を燒きぬ

海士の子のすまひにをれば

貝がらに臥するも同じ

 

沖の方城廓(じやうかく)湧きぬ

須臾(すゆ)にしてまた沈み行く

帆づたひに漂ふ海を

眺めつゝ今日も暮しぬ

 

 

  い ま は

 

くだ物落ちぬさと漏るゝ

水のきほひに流れつゝ

月の光はかげ射しぬ

うれはしげにもをののきて

 

野の深林(ふかばやし)濕やかに

かをる一つの香をかげば

あえかの人の面影も

最後(いまは)の腕に觸れずやは

 

 

  風雨の後

 

雷(いかづち)默(もだ)し風雨(あらし)休(や)みて

天の大野は光滿ちぬ

焰の窓より落つる流

雲の盤溫(うづま)に爛(ただ)れ入りぬ

 

背(そびら)の鋒杉風を帶びて

峰路の景色は未だ止まず

隼(はやぶさ)斜(ななめ)に羽を伸して

日の入る彼方に翔り飛びぬ

 

[やぶちゃん注:明治三九(一九〇六)年十二月三日発行の『金箭』(雑誌か。底本は当該初出ではなく、転載で、書誌データが附帯しない)に掲載。署名は「伊良子清白」。]

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