鳥羽小うた 伊良子清白
鳥羽小うた
伊勢でご參宮(さんぐ)二見をかけて
鳥羽の入江の島めぐり
鳥羽はよいとこよい港
いつもあかるい海の色
戀の港の土產の中に
磯のあわびの片おもひ
鳥羽はよいとこよい港
いつもあかるい海の色
お伊勢參りに鳥羽見てかんせ
海の鏡に月もさえ
宿の庭先港につゞく
町になでしこ咲いてまつ
志摩の磯邊に波かきわけて
海女の握る手波の花
一度見せたや殿方に
主(ぬし)と焚火(たきび)にゆるすはだ
[やぶちゃん注:底本で昭和六(一九三〇)年一月に推定された『鳥羽のうた』(詳細書誌不詳)に掲載。署名は「伊良子清白」。底本では総ルビであるが、五月蠅いので、私の判断で必要と感じた部分だけのパラルビとした。]
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