ここは雲の路 伊良子清白
ここは雲の路
ここは雲の路
神の路
人は通らぬ
巖のみち
けんけん小雉子が
雲で啼く
雉子は白雉子
神の鳥
山々越えて
火を鑽(き)りに
[やぶちゃん注:昭和五(一九三〇)年六月九日発行のアンソロジー「一九三〇年詩集」(詩人協会編アルス刊)に以下の「新涼三景」「近代女性の顏」とともに掲載。署名は「伊良子清白」。本篇は伊勢神宮などの「鑽火神事(きりびのしんじ)」などの具体なそれと結びつけて読む必要は全くないと思われる。民俗社会の古代宗教幻想と読む方が遙かに胸に落ちる。]