閑居松風・閑居雀 伊良子暉造(伊良子清白) / (伊良子清白十六の夏の今様二首)
閑居松風
心しつかに暮さんと、のかれてすめる柴の戶に、
峯の松風おとつれて、またもうき世となりにけり。
閑居雀
世のうきふしはたえてなき、竹の庵のむらすゞめ、
千代とさへつる聲々も、いと樂しけにきこゆなり。
[やぶちゃん注:以上は、二〇〇三年岩波書店刊「伊良子清白全集」第一巻の俳句パート(伊良子清白の俳句は同書を底本にサイトで「伊良子清白句集」として全電子化済み)の末尾に『【今樣】』(この二首のみ)として載るもの。明治二七(一八九四)年八月十五日発行の『少年文庫』(第十二巻第一号)に載った。署名は本名「伊良子暉造」。清白、満十六歳の夏の詠である。]
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