自由と獨立と己れとに充ちた現代
「かつては其人の膝の前に跪づいたといふ記憶が、今度は其人の頭の上に足を載せさせやうとするのです。私は未來の侮辱を受けないために、今の尊敬を斥ぞけたいと思ふのです。私は今より一層淋しい未來の私を我慢する代りに、淋しい今の私を我慢したいのです。自由と獨立と己(おの)れとに充ちた現代に生れた我々は、其犧牲としてみんな此(この)淋(さび)しみを味はわなくてはならないでせう」
夏目漱石「こゝろ」より「先生」の台詞(私の初出版より)
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