ソヴィエト映画グレゴーリー・チュフライ監督作品「誓いの休暇」論 或いは 待つ母というオマージュ 8 エピソード2 シューラ(Ⅱ) 危機一髪 或いは ガヴリルキンの悲哀
□76 汽車正面(左手前方から)
左にカーブしたところを激しい音をたてて進んでくるが、最後に小さな警笛音が入る。これはどうもそこで何かがあって進行を緩めていることが意識される。[やぶちゃん注:これと次のシークエンスでの警笛のSE及び二人の外部への警戒の仕草が、この後のちょっとした変事(とそれが齎す危機)への伏線(不吉な呼び水)となっている。]
□77 貨車内
遠い警笛が響いてくる。汽車が何かあって止まるか? 気になる二人、扉の方(画面左手前)に同時に顔を向ける。
シューラ、如何にも心配そうにアリョーシャを見る。
アリョーシャ、彼女の顏を見て、直き、「何でもないよ!」といった感じで、右手を「ぱっ」と振って微笑んで、雑嚢を片付けている。
シューラ、満面に安心した笑顔を浮かべて、そのアリョーシャの姿を見詰めている。また、遠く警笛音。
シューラ、ちょっと顔を振って外を気にしたあと、
シューラ(以下、二人の「82」までの総ての会話は囁き声で行われる)「怒らないでね!」[やぶちゃん注:彼らがそうするのは、同時に、この時点で明らかに列車が完全に停止したことを観客に教えている。]
アリョーシャ「何を?」
シューラ「頰をひっぱったいてしまって、ごめん!」
アリョーシャ「お蔭で、仲良くなれたじゃないか。」
アリョーシャ、笑う。しかし、そのアリョーシャ台詞の最後に掛かって、
中尉(未だ登場してはいない。オフで)「ステパノフ! 防水用キャンバスは?!」
二人、扉の方に無言で顔を向け、笑顔が消える。
□78 貨車の扉(内側から)
外での軍用列車の担当軍人らの声。
兵士某(オフで)「はっ! ガヴリルキンの担当であります!」
中尉(オフで)「判った。彼に命じろ。」
兵士某(オフで)「ガヴリルキン! キャンバスを持ってこい!」
□79 貨車内
アリョーシャは、外の声や動きに明らかに不安なものを感じている様子で、扉を見つめているが、シューラはまるで外のざわめきを気にせず、さっきのアリョーシャへの謝罪を笑顔でさらに述べる。
シューラ「ほんと、ごめんね。私、おばかさんだった。」
アリョーシャ、ここでやっと不安顔をシューラに戻し、優しく、
アリョーシャ「僕も謝る。君を脅かした。」
シューラ、思わず、吹き出して笑う。アリョーシャ、もくすくす笑い。
――そこに貨車の外を走る跫音がする
二人は一瞬、「はっ!」とするものの、安易に事態を全く楽観していることが判る。(その辺りが二人の若気の至りであること、二人の純真な幼さを残している内面をよく演出している)
シューラ「ねえ?! 自己紹介しましょう!」
アリョーシャ「いいとも!」
二人、立ち上る。(途中でカット)
□80 立ち上った二人
向かい合った二人(ともに腰から上)左にシューラ、右にアリョーシャ(兵隊らしく後ろで、優にシューラの頭一つ分強、アリョーシャの方が背が高い。
アリョーシャ「僕の名はアレクセイ。」
アリョーシャ、右手を出し、シューラが握って握手する。
シューラ「同じく私はシューラ。」
アリョーシャ「どうぞ、よろしく。」
シューラ「こちらこそ、よろしく。」
□81 貨車扉の内側
隙間に明らかな人の影が過ぎり、走る跫音がする。
□82 貨車内(「80」に同じ)
二人、「はっ!」と扉の方に不安な表情を振る。表情が硬い。
[やぶちゃん注:流石に、外の事態が異様なものとして気になるのか? いや、ただそれではなく、ここで二人は、初めて如何にも改めた感じで互いの名を名乗り合ったことによって、逆に、さっきまでの気軽な感じの二人の親密感が、ちょっとばかりかしこまってしまった感じになった硬さなのでもある。こうした二人の若い純真さがかえって愛おしいシーンであり、二人の演戯もわざとらしさが全くなく、極めて上質と言える。]
シューラ「あなたの行き先は?」
アリョーシャ「休暇を貰って帰郷する途中なんだ。君は?」
シューラ「私は、」と話しかけたところで、以下によって断ち切られる。
――と!
中尉(オフで。かなり苛立った感じで)「早くしろ! ガヴリルキン!」
ガヴリルキン(オフで)「もう少しであります! ちょっとだけ手間取っておりまして。……」
アリョーシャ、事態の急迫を感じ取り、シューラの左手を摑んで引っ張りつつ、
アリョーシャ「こっちへ! 隠れるんだ!」
アリョーシャはシューラを右手奥の干し草の間に、両手を使ってかなり強い力で引き込もうとするため、びっくりしたシューラは反射的に抗ってしまう。それが数度、奥の暗がりで繰り返されつつ、徐々に二人は隠れる。
□83 二人のいる貨車の扉の外(ややあおり)
ガヴリルキン(後姿)、扉のストッパーを外して扉を開く。
□84 貨車内
干し草の山の後ろに隠れた二人。アリョーシャはシューラ右胸のところで抱えて押し隠しており、二人の。カメラ、右上にティルト・アップして、貨車に上った入口のガヴリルキンを捉え(二人は左にアウト)、
ガヴリルキン「見つけました! 同志中尉殿!」
入口の干し草に立てかけてあるそれを持ち上げようとするガヴリルキン。ところが、右奥(カメラ位置)に何かを見つけ、一瞬、動きが止まって、口をあんぐり開けて目を剝く。カメラがゆっくりティルト・ダウンすると、積もった干し草の中から飛び出ているハイヒールを履いた女性の脚先が見えてくる。
中尉(オフで)「一体、お前は何をしてるんだッツ?! 早くせんかッツ!」
ガヴリルキン(おどついて)「た、只今!」
[やぶちゃん注:無論、中尉の勘気、プラス、今見たあり得ないはずのものに、おどついたのである。]
ガヴリルキン、キャンバスを落とし、貨車を降りるが、扉に手を掛けながら、一瞬、シューラの脚先を茫然と見て後、扉を閉じる(途中まででカット)
□85 干し草の蔭
右奥で、しっかりしまる扉。
[やぶちゃん注:「84」と完全に時系列同期したリアリズム編集がなされている。実は、現行の編集では普通こうした場合のカット繋ぎは、完全に同期させると、観客から見た場合に思いの外に流れが立ち切れた感が強くなり、却って違和感を生じさせるとされてダブらせる手法(例えばこの場合だと「84」カットは〈ガヴリルキンが扉を閉じ切る〉画像で終わり、改めてこの「85」カットの頭に〈扉が閉まって後部がガシャンと揺れる〉画像を重ねるのである)が正統とされる。]
アリョーシャとシューラ、ほっとする表情で二人とも目を閉じる。
□86 二人のアップ
二人とも目を瞑ったまま。
アリョーシャ、思わず、右手で抱きかかえているシューラの頰に頰すりをする。
[やぶちゃん注:彼のこの動きは、エピソード1(ワーシャの物語)の「18 走る列車の車内(夜)」でアリョーシャが寝ながらワーシャにするそれと相似的で、一種のアリョーシャの中の純朴な幼児の、母にする「すりすり」を連想させるもので、決して性愛的なニュアンスを帯びて感じられない。ここで二人が眼を閉じているのも(しかも既に述べた通り、中はひどく暗いのだ。ここでも射し込む外光を真似た二人の頰辺りに斜めに走らせたライティングが二人だけの秘密の空間を美しく飾っている)、むしろ二人とも夢見の中にあるような印象を与え(特にシューラ)、やはり性的なニュアンスを排除し得ている。]
シューラも、それに抵抗することもなく、頰ずりを受けており、あたかも夢を見ているような感じである。しかし、そこでシューラは、
――はっ!
と目を見開き、右手でアリョーシャの胸を押しのける。
□87 干し草の蔭の中景
二人、上半身を起き直し、少し距離をおく。
二人、ちょっと気まずい感じで俯いている。
□87 疾走する列車から見た森と川
終わりの方で鉄橋を渡るので画面もちらつき度が高くなり、軌道の立てる音も激しくなる。
[やぶちゃん注:二人のちょっとした今のドキドキ感の、これも「比喩のモンタージュ」である。]
□88 干し草の蔭の中景
アリョーシャとシューラ、黙って見つめ合い、二人、ここでやっと一緒に安堵の微笑みを交わす。
アリョーシャ「彼は僕たちに気づかなかった。」
シューラ「ええ。」
アリョーシャ、少し、シューラに上半身を近づけ、
アリョーシャ「怖かった? シューラ?」
シューラ(笑顔で)「いいえ。」
アリョーシャ「君は、けっこう、怖がりだね。」
シューラ「いいえ。」
アリョーシャ、さらに寄って、左手をのばして、シューラの背後の干し草に支えとする。
アリョーシャ「シューラ、君の行き先は?」
シューラ「え、ええ、……クピンスクへ行くの。……私の婚約者のところへ……。」
ここはモスクワの東方二千四百八十五キロメートルも離れた位置にあり、遠過ぎる。ずっと後の「ウズロヴァヤ」のシーンで、この「クピンスク」が近いと言うアリョーシャの台詞が出るので違う。識者の御教授を乞うものである。なお、後に掲げる「文学シナリオ」も参照されたい。]
アリョーシャはさらに迫る感じなので、シューラは身をよじって、下がろうとする。
シューラ「……彼はパイロットなの。……彼は今、病院に入ってるの。……重体なのよ。……」
シューラ、アリョーシャを押しのけて(カメラ、引く)、扉の所まで走り去る。アリョーシャ、ちょっと淋しげ。
シューラ、そこで振り返って、
シューラ「私、もう降りた方がいいんだわ。……」
アリョーシャ、振り返って、
アリョーシャ「どうしたの? 怒ったの?」
アリョーシャ、体をこちらに戻して、
アリョーシャ(如何にも淋しげに)「どうしたんだい?」
シューラ「別に……何でもないわ……」
□89 走る汽車と貨車
左からのあおりで、車体にかなり近い。最後に大きな汽笛。
□90 貨車内(扉方向から)
左手前に立つシューラ、右奥に干し草に腰かけたアリョーシャ。(標題音楽の変奏がかかる)
二人とも、気まずい感じ。手持無沙汰だが、無言。シューラは、右手で左の積んだ干し草を引き抜いて弄っている。
□91 停車する貨車
やはりカーブした場所。
□92 貨車内(前と同じアングル)
アリョーシャ、ちょっとむっとした感じで立ち、シューラを見、前の襟をちゃんと締め直して、飯盒を取り上げ、シューラの背後で立ち止まって見つめ、茫然とした伏し目になって、
アリョーシャ「水を汲んでくるよ。」
と言って、画面右にアウトする。シューラは両手で干し草をいじったまま、彼の背を何か寂しそうに見るが、無言。
□93 駅らしき構内(1ショット)
軍用列車の途中の連結部の右レール外から。右手少し奥には横の線路に貨車が停車しているので駅と判る。
そこにガヴリルキンが立哨している。
向うの貨車の扉が開き、アリョーシャが上半身を見せ、奥の方を偵察する。
それに気づいたガヴリルキンは、即座に連結部の陰に後退して身を隠す。
寸秒の間合いで、アリョーシャはガヴリルキンに気づくことが出来ず、こちらに車間を走り、右手の貨車の最後尾を回りこんで、右にアウトする。
ガヴリルキン、二度ほど、そっと覗き、アリョーシャが行ってしまったことを慎重に確認する。
□94 駅
駅舎らしきものの一部が中央奥にあり、その背後からアリョーシャが走ってくる。
画面左手前、駅舎の脇には白十字のマークを附けた救護用トラックが停まっており、白衣を附けた衛生兵二人が、担架に載った頭に包帯を巻いた若い兵士(上半身を起こしていので明確に判る)をトラックに乗せようとしている。
その車のさらに手前には兵士(こちら向きで煙草を吸っている)が民間人の男と向き合っているが、大きな水溜りを小石を踏んで越えてきたアリョーシャは、その兵士に、左手に持った煙草の火を借りる(ワーシャと別れたボリソフ駅以来のひさびさの一服である)。
借りながら、
アリョーシャ「戦況は開いていますか?」
と尋ねる。
兵士「前線はノヴォロシスクまで押し返したよ。」
アリョーシャは礼を言うと、その右手の(カメラ、パンする)水道の蛇口から飯盒に水を入れる。その左背後には同じく水を求めにきた若い女性兵士が順番を待っている。
[やぶちゃん注:「ノヴォロシスク」Новороссийск(グーグル・マップ・データ)。クラスノダール地方の黒海中部東岸の港湾都市。ウィキの「ノヴォロシースク」によれば、『黒海艦隊の基地として』一八三八『年に建設され』一七二二年以降は、『その地を支配し』た『トルコの要塞』『に取って代わった』一九一八年以降は『白軍の重要拠点となったが』一九二〇年に『白軍はクリミアへ撤収した』。この「大祖国戦争」(所謂「頭部戦線」「独ソ戦」のこと。一九四一年六月二十二日から一九四五年五月九日まで)中の一九四二年には、『この町はドイツ軍によって占領された』ものの、翌一九四三年九月十六日の赤軍による解放まで、『ソビエト水兵の小部隊が』実に二百二十五日に亙って、『町の一部を死守した。のちに海軍総司令官となるセルゲイ・ゴルシコフの指揮の下、ソビエト水兵が英雄的な防衛を行い、市の湾入部を保持し続けた』のであった。これにより、『ドイツ軍は、補給のために』ノヴォロシスクの『港を使用することができなかった』とある。]
□95 貨車の中(中から開いた扉方向で人物はバスト・ショット)
アリョーシャ(左)を一方的に指弾しているガヴリルキン(右)。
ガヴリルキン「お前を軍事法廷に突き出してやる! 機密軍用列車に潜り込んだんだからな!」
ガヴリルキン、手前からシューラの背を摑もうとして回り込んで、銃剣附き小銃を右手に立てて立ち(ここでフレームが後退して中景。[やぶちゃん注:因みに、この時、向う側に停車している貨車の一つが映り、それは無蓋車で軍用トラックらしきものが載っており、そのトラックの荷台部分にはシートが掛けられてある。その左手のさらに奥にも何かは判らないものにシートが掛けられてある。こういったものが前に出た防水用の「キャンバス」であることが判る。但し、彼らの載っている軍用車両には今までの映像から無蓋車は一台もないので、老朽化した貨車に雨漏りが発生し、そこに急遽、キャンバスが必要となったとでも考えるべきと思う。つまらないことが気になるのではない。私は説明がつかない部分を論理的に補填し得ずに誤魔化して通ることが生理的に厭な性質(たち)だからである。])、シューラはガヴリルキンの伸ばした手を逃れ、奥を反対に回り込み、今度は右側に立つ(左体半分で背は切れる)。ガヴリルキン、右手に一歩動き、シューラの前に立ち塞がり、
ガヴリルキン「お前を連行する!」
シューラ「アァッ!」
――と
そこに貨車下を左手からアリョーシャがイン、
アリョーシャ「おい! 何してんだ!!」
とガヴリルキンに誰何(すいか)し、貨車に上がる(左手に水を入れた飯盒を持っている)。ガヴリルキン、振り返って、アリョーシャに対峙し、
ガヴリルキン「おや? まあ! お前さんかい! こりゃあ、一体、どいうことだ?!(ここで、アリョーシャ、飯盒を右足元に置く) 俺たちは誠実な協定を結んだんだぜ。だのに、お前は民間人をこっそり連れ込んだんだ!」
アリョーシャ「それが、どんな問題があるって言うんだよ?!」
ガヴリルキン「大問題だッツ!」
ガヴリルキン、振り返って、シューラに、
ガヴリルキン「来い! 娘!」
と言い、左手でシューラを摑もうとする。
アリョーシャ、手前から廻り込んで割って入って、ガヴリルキンに立ち塞がり、
アリョーシャ「彼女はどこにも行かせない! お前こそここから出てけ!」
ガヴリルキン「何だと? お前! 何様のつもりだ! 俺さまに命令するのか?!……自分だけ、女といい思いしやがってよ!」
アリョーシャ「黙れ!」
ガヴリルキン「俺は、ちゃんと、見たぞ!」
★ここでカットして、アリョーシャの顔のアップ。(以下、本作では珍しく激しいカット・バックが行われている。「★」印で1ショット1カットを示した)
アリョーシャ「何を見たって?」
右背後に目をまんまるく開いたシューラの蒼白の顔。
★シューラの少し右手前位置から(あおり)。
右手にシューラの横顔、中景に立ち塞がるアリョーシャ、その左真ん前にガヴリルキンの配置。
ガヴリルキン(如何にもいやらしい笑みを浮かべて)「二人で、何んだな……干し草の中でよ、しっぽりヤッてたんだろ。ヘヘッツ!」
★中景に戻る。
アリョーシャ、遂に切れ、ガヴリルキンを右手で
――ガツン!
と殴りつける。
★倒れたガヴリルキンの両脚と間にひっくり返る飯盒のアップ。
★干し草に仰向けに倒れるガヴリルキン。
★前のアリョーシャ+シューラのアップ画面。
★倒れたガヴリルキンの両脚とひっくり返った飯盒のアップ。飯盒から流れ出る水の音が入る。
[やぶちゃん注:この時、擬闘のプロ(この映画には確かに他のシーンではいらないからね)の指導者がいなかったものらしく、素人目で見ても上手くない。アリョーシャは明らかに左手を先に有意に伸ばし、ガヴリルキンを押し倒しつつ(人を殴るのにこんな動作はどう考えてもあり得ない)、そこに右のパンチを力なく突き出すふりをしているからである。せめてもガヴリルキンをスタッフが後ろから見えないように引っ張りつつ、アリョーシャに思いっきり右パンチを繰り出させるべきであった。]
★干し草の山の間に仰向けに倒れたガヴリルキンのほぼ全身像(やや足が切れる)を上から撮る。
ガヴリルキン、大きく溜息をつき、
ガヴリルキン「上等じゃねえか。歩哨兵に暴行したらどうなるか、よぅく、わかってるよ、な?」
★シューラの背後上方から俯瞰で三人。
アリョーシャ「そいつはその糞野郎の見方次第さ。」
ガヴリルキン、立ち上ってコートの藁屑を払いつつ、
ガヴリルキン「お前さんから見るなら、俺は『糞野郎』かも知れん。だがな、俺はな、何より俺が大事なんだ。」
と言いつつ、左手でポケットから何かを取り出し、右手に持ち返る。
★開いた扉側からガヴリルキンのバスト・ショット。
銃剣を持った右の掌に挟んで持たせたのは小さな鏡である。ガヴリルキンはそれを覗いて、髪の乱れを気にし、而して左頰を押さえてみる。たいしたことはないようだ。ガヴリルキン君、実は見かけによらず、結構、お洒落なのである。
★前の俯瞰ショット。
ガヴリルキン「お前ら! 二人とも列車から降りろ! でなければ、射殺する! それが俺の任務だからな!」
と言いつつ、小銃を自分の腹部に横ざまに構える。
★アリョーシャとシューラの頭胸部を左右に並べたショット。[やぶちゃん注:位置的にはこれだと外が映るはずだが、背後は干し草の山である。ハレーションを気にしてずらしたものかと思われる。]
アリョーシャ「撃ってみろよ。お前に出来るのか?」
★前の俯瞰ショット。
ガヴリルキン「よし! 中尉殿にご登場願おうじゃねえか! それまで、そうやって意気がってっるがいいぜ!」
★内側から開いた扉に向かって。三人。
ガヴリルキン、空に向けて小銃を打とうとする。アリョーシャ、シューラと無言で一瞬だけ顔を合わせ、銃本体の先の方を摑んで、静かに降ろさせ、
アリョーシャ「お互いに熱くなり過ぎた。話し合おう。」
ガヴリルキン「問答無用! 二人とも直ぐに降りろ! これから二発、警告射撃をする。それから……」
そう言いながら、後ろ(貨車中央内側)へ下がった途端、
★アリョーシャの雑嚢に躓き、それを蹴り上げるガヴリルキンの足。大きな缶詰が、一缶、「ごろり」と転がり出る。
★貨車内側から外。シューラは映らない。
ガヴリルキン「……何だ! これは! たらふく食いやがって!」
アリョーシャ「肉の缶詰二缶――で、どうだね?」
ガヴリルキン、アリョーシャを一瞬見て、また顔をそむけてこちらにもどし、
ガヴリルキン「これだけ侮辱されたんだ! 腹がおさまらないね!」
アリョーシャ(きつい調子で)「謝れって言うのか?」
ガヴリルキン、アリョーシャの顔と下ある(見えない)缶詰をちらちらと見ながら、
ガヴリルキン「判った。手を打とう。」
ガヴリルキン、厳しい顔つきをしながら、画面を向いて伏し目がち。
アリョーシャ、雑嚢から缶詰を出し、ガヴリルキンに向ける。ガヴリルキン、無言で後ろ手に受け取り、コートの胸の部分に押し込む。
二缶めも同じく無言で受け取る。アリョーシャ、微苦笑する(ガヴリルキンには見えない)。
ガヴリルキンがその二缶めをコートの左ポケットに押し込もうとしたとき(アリョーシャは右にアウトする)、その腕の間を通して、観客には中尉が貨車の扉の左下方に姿を現わすのが見える。
中尉、ガヴリルキンに気づき、見上げて、
中尉「一体、どうしたんだ。」
と誰何する。
ガヴリルキン、反射的に左手を戻してしまい、中尉に向き直ると、缶詰を左の腰の後ろに回して隠す。
中尉、貨車に登る。
ガヴリルキン「不当潜入者二人を逮捕しました。中尉殿! 適切な処置をとろうとしたところであります。」
右からシューラが画面手前にインし(背中を向けている)、中尉、中に進む。カメラ、少し右にパンすると、右からアリョーシャがインして、中尉の前に立ち、
アリョーシャ「スクヴォルッオフ通信兵であります。通行許可証を持っております。」
中尉「どこまで行くのだ?」
アリョーシャ「ゲオルギエフスクであります。これが通行許可証であります。」
中尉、シューラを怪しげに見たのち、通行許可証を開いて目を通す。
アリョーシャ「休暇は四十八時間のみに限られており、しかも、通行に遅れが出ておるのであります。」
[やぶちゃん注:確認すると、アリョーシャは将軍からは「郷里行きに二日」+「前線へ戻」「るのに二日」+「屋根の修理に」「二日」で六日与えられている(ここ)。既にワーシャとの一件で、今日で往路二日分を消費してしまうことになるのを「遅れ」と言っているのである。]
中尉、アリョーシャの通行許可証の記載に頷き、
中尉「若き英雄だな、君は。」
アリョーシャに通行許可証を返し、
中尉「このお嬢さんは君の連れか?」
と聴く。
カメラ、切り返して右にシューラ、左にアリョーシャ(頭胸部)。
アリョーシャ「はい。」
即座に、
シューラ「いいえ。」
アリョーシャとシューラ、顔を見合す。
カメラ、切り返して、二人の背を挟んで笑っている中尉を撮る。
アリョーシャ「お願します、中尉殿。彼女はお金も食料もなくしてしまって、それで……」
中尉、小さく声を立てて笑うと、
中尉「まあまあ……言い訳せんでもいい。」
と言って踵を返す(この間、扉の端に銃剣が淋しく光ってガヴリルキンがいるのが判る)。
ガヴリルキン、扉の端で直立して待っている。
中尉「火だけは気をつけてな。」
とやさしく二人に声がけする。
アリョーシャ「分りました。」
しかし、中尉は今度はガヴリルキンを見、後ろの回している何かを咎め、
中尉「それは、何だ。」
と指摘される。ガヴリルキン、仕方なく左手を挙げて、缶詰をしみじみ見つめると、
ガヴリルキン「……これは、ですね、……中尉殿……コンビーフというもののようであります。……」
中尉「徴発したな! 彼らから!!」
ガヴリルキン「いえ。……その……彼が自発的に自分にくれたものであります。……」
中尉「お前が、強請(ゆす)ったんだな! 営倉五日を命ずる!!」
ガヴリルキン「……なんで……自分が……」
中尉「復唱しろ!!」
ガヴリルキン「……五日間の営倉に服します。……」
中尉「恥晒しめが!」
中尉、貨車を降りて右へ去る。
ガヴリルキン、意気消沈して、右手のアリョーシャに向かい、
ガヴリルキン「……だから言ったろ……鬼中尉だって……な……」(F・O)
■やぶちゃんの評釈
「文学シナリオ」の相当箇所を示す。前のシークエンスからダブらせる。
《引用開始》
――食べてみようかしら。ほんのちょっぴりですよ。試食するだけですから。
そして、二人は乾草の上に向き合って座り、食事している。娘の手には巨大なベーコンとパンが握られている。
彼女はそれを口一杯にほお張っている。明らかに非常に空腹であることが分かる。
アレクセイも旨そうに食っている。
――おいしいですか。
彼は質問する。
――ううん……。
娘は、口一杯ほお張りながらうなずく。
――乾燥携帯食糧です。
――ううん……。
娘は、慌てて食べ物を飲み込み、咳き込んで付け加える。
――私はワッフルがとても好きですわ! こんな風な筒の……。戦争前は売っていましたが、覚えていますか。
――私は戦争が始まるまで、村に住んでいました。
――私は街ですわ。戦争前も今も。
二人は暫く沈黙した。
――私に腹を立ててるの?
突然、娘は聞いた。
――どうしてです?
――どうしてって。
――理由がないじゃないですか。
――でも、私があなたをぶったんですもの。
――どうしてですか……。よくあることです。知り合いになるには、むしろいいことです。
――馬鹿なことをして、申し訳ありません。
――私にも責任があります。あなたを怖がらせた。
二人は暫く沈黙した。
――ねえ。お友達になって下さらない?
突然、娘が提案した。
――そうしましょう!
彼は立ち上がり、手を差し伸べた。
――私はアレクセイと言います。
――私はシューラです。
――全く楽しいです。
――全く楽しいわ!
ブレーキが金切り声を上げた。
シューラとアレクセイは、一緒に乾草の上に倒れた。汽車が急に速力を落とした。
二人は笑いながら立ち上がった。汽車は停車した。
貨物の扉の外で声が聞こえた。
――ここにバケツがあるか。[やぶちゃん注:ママ。英語の「バケツ」(bucket)には「水受け」の意味があり、防水用のキャンバスやシートとの相同性があるから、強ちおかしくない。ただの「バケツ」なら、わざわざ列車を停めてまで捜す理由はないように思われる。]
――少尉殿、なさそうです。
――まあいい。開けてみろ。
アレクセイとシューラは、再び急いで乾草の中に潜った。
――ガヴリルキン、開けてみろよ! 何をぐずぐずしているんだ。
誰かが食ってかかった。
――少尉殿、今開けます。ふうん、こういうことは一度に出来ないのです。何か引っ掛かっています。少尉殿!……。
兵士は明らかに時を稼いでいた。やがて扉が開けられた。
――そこにあるのは何だ。
――異常ありません。ここに、あれが。
太った兵士は乾草の方を横目で見ながら、隅の方からバケツを取った。そして、ふと乾草の中からはみ出している。女物の短靴に気が付いた。彼は思いがけないことに立ち止まってしまった。
――早くしろ、ガヴリルキン。すぐに発車する。
――はい、行きます。少尉殿!……。
ガヴリルキンは、怪訝そうな顔をして地上に飛び下りた。彼はバケツを渡すと扉を閉めた。そうしてもう一度頭をかしげ、貨車から去って行った。
汽車は、既に駅から離れていた。アレクセイの手の下から這い出したシューラは、急いで起き上がり、座った。彼女の顔には狼狽の色がうかがえた。
――危ないところで助かった。驚きましたか? シューラさん。
アレクセイは乾草を払いながら、話しかけ、娘を眺める。
――彼女は頭を横に振る。
――あなたは臆病なはずでしょう。
――いいえ……。
彼女は非常に静かに答え、乾草の束のところへ移る。
――シューラ……。
彼は乾草の束に手を置き、彼女を囲むようにする。そして彼女をじっと見つめている。
――よい名前だ。シューラ! 気に入った。
娘は頭を横に振る。
――シューラ! 誰のところヘ行くのですか。
彼はずっと彼女に近づく。彼女は彼の目を見つめ、そこに何かを見つけ出して、おびえる。
――私ですか。私はクビンスクヘ行くのですわ。いいなずけのところへ。彼は病院に入っているの。[やぶちゃん注:「モスクワ郊外のクビンスク」不詳。しかし、モスクワ郊外では、ともかくも先に挙げた「クピンスキー・ライオン」では二百%あり得ない。「キノ・ポーベスチ」の原文を見れば、判ると思うが、残念である。]
――何ですって。
意味を理解しかねて、彼は聞き返した。
――重傷なのです。……彼は飛行士ですの、本当ですの!……。
娘は語り続ける。
アレクセイの力のぬけた手を振り払って、娘は貨車の向うの隅に行く。
数分間、二人はお互の心臓の鼓動に耳を傾けて立ち続ける。
やがて二人の視線がぶっつかる。
――私が今出て行く方がいいわ。
娘は話す。
――何故ですか。
――でも。
――どうかしましたか。怒ったのですか。
――いいえ。
――では何ですか。
――ただ、その……。
――私が、あなたをいいなずけのところにやらないとでも考えてるのですか。
――決して、そんなことは考えてはいません。私は出て行きます。
――〈出て行く〉〈出て行く〉! ……そんなら、出て行くがいい。
アレクセイは腹を立てる。
――考えても見なさい……。私が何をしたというのです。私はあなたを人間として扱った。だがあなたは、私を何かと感ちがいしている。
――そうです。人間が時にはどういうものであるか、知ってるでしょう。
シューラは激しく反駁した。彼女の眼には涙が光っていた。
――私の母が死んだ時、私は一人ぼっちになった。
娘は突然、口ごもり、頭をたれた。
アレクセイは、すまない気持と同情心で彼女を眺めた。
彼は何が言いたかった。しかし言葉が見つからなかった。
しばらく沈黙が続いた。
[やぶちゃん注:以上の部分はシューラというヒロインのキャラクターの造形上、私は絶対に不可欠である。これを省いた監督は「アリョーシャの物語」として収斂させたいという痛撃の一斬が必要だったのかも知れない。しかし、純粋なシューラを純粋なアリョーシャと対等に観客に提示するために、ここは残すべきものであったと考えている。監督が飽くまでアリョーシャの物語として全篇の通底性を大切なものとした意識は重々承知だが、しかしアリョーシャに対峙する本作の重大なヒロインたるシューラの造形をないがしろにしてしまった監督には、私はこの一点に置いて非常な寂しさを感ずる。シューラの生活史もスポイルして描くのは、男の側の退屈な悲愴主義論理にほかならないからである。本作の中で唯一の遺恨であると私は表明するものである。]
やがてシューラは彼を見つめ、涙の中で微笑みながら突然に話しかけた。
――水が飲みたくないですか。本当に。
――そうですね。
アレクセイは答えた。そして、彼も微笑んだ。
停車。アレクセイは、手にやかんを持って貨車から飛び下りる。付近を見回しながら、駅にかけて行く。アレクセイを目で見送ってから、太った兵士は彼の貨車に向かって来る。
……病院列車のかたわらを水道に向って駆けて行く。カランからちょろちょろと水が流れ出ている間、アレクセイは用心深く四方を眺めている。
病院列車のところでは、数人の患者が日向ぼっこをしている。そこから大きな笑い声が聞えてくる。
列車からほおの赤い太った看護婦が、幾つもバケツを下げて水道に走ってくる。アレクセイはカランからやかんを取る。
――ねえ、お婿さん、水を飲ませて下さい。
彼女は大きい不揃いの歯をのぞかせて微笑する。
――私は飲みたくないのですが、友達のためにこんなに。
――それではまた。先生。
アレクセイは朗らかに答えると、水がこぼれないように努めながら、自分の列車戻って行く。
貨車の隅に、おののいているシューラが立っている。彼女の前には太った兵士がいる。
――お前を軍事裁判に突き出しでやる。秘密列車にもぐり込むことがどんなこと知らせてやる。ついて来い……。
シューラは動かない。
アレクセイがやかんをも持って扉のところに現れる。
――俺について来い。
太った兵士は繰り返す。
――行きません。
シューラは突っぱねる。
――ついて来い、と言ってるんだ。
兵士はシューラの肩をつかむ。
アレクセイは貨車のなかに飛び込む。
――やめろ!
――何! 奴さん出て来たな。これは一体どうしたことなんだ。お前と固く約束した。それなのにお前は一般人をここに隠して運ぼうとしている。
太った兵士は、意地悪そうに言った。
――一人と二人で、どういう違いがあるんです。
――つまり、違いがあるんだ、一般人の女なんだ!
番兵はシューラの肩をつかんだ。
アレクセイは近寄って、番兵の手を振りほどき、彼とシューラの間に立った。
――彼女はどこにも行かない! 分かったかい。あっちへ行け!
――何だって。
兵士は驚いた。
――誰が一体ここで上官なんだ。ふん、全くうまくしたもんだ。乾草と娘っ子と……
――黙れ!
アレクセイは瞬時であったが正確な打撃を、足で兵士に与えた。やかんがひっくり返った。シューラが叫び声を上げた。
床に尻をついて、兵士はぼんやりと目をしばたたいた。彼は次第に気を取り戻すと、突然静かに、そして意地悪く言った。
――よろしい! 勤務中に番兵に攻撃を加えたな。どういうことになるか、分かっているな。
彼は起き上がり、制服を正す。
――何てクズだ!
アレクセイは見下げたように言う。
――どこを見てそんなことを言うんだ。お前はクズかも知れんが、俺は大変な値打ちがある!
太った兵士は、なおも服装を直しながら、平然と言う。
そして突然怒り出し、叫び声を上げる。
――おい、貨車から降りろ! 二人とも! 言う通りにしないと射殺するぞ! 慌てさせてやる……。俺には完全な権利があるんだ。
――撃ってみろ! 何てひどい奴だ!
――お前はまだ少尉殿を見ていない。だからそんな強がりを言っている。だが、今俺が始末をつけてやる!
そして兵士は、遊底を閉めて銃を構える。
――よし分かった! お互いに腹を立て過ぎた。よく話し合おう……。
アレクセイは和解するように言って、兵士の手を取り、やわらくではあるがしっかりと小銃を下ろさせた。
――お前と話し合うことなんかない。女を連れて車から出て行け……。
――何だって!
アレクセイはいきなり立ち、拳を固めた。
兵士は急いで退いた。
――上に向かって二発撃つ……その後だ!
彼はアレクセイのバッグにつまずく。缶詰が虚ろな音を立てた。
――ここに広げて、肉の缶詰を食っているのか!
アレクセイは微笑した。
――わたしはあなたにもう一缶差し上げたいのだが。
兵士は黙って横を向いた。
――では二つ……。
――個人を侮辱をして、缶詰で埋め合わせ出来ると思っているのか。
――怒らないで下さい。私流のやり方ですが、お詫びしたいのです。
兵士は返答を渋った。
――よろしい……肉の缶詰をよこせよ。
アレクセイは二缶取り出し、それを兵士に差し出した。兵士は面白くなさそうな顔付きでそれを受け取ると、ポケットにしまい込もうとした。事件は解決したかのように見えた。
この時、扉のところに少尉が現れた。
――一体、どうしたことだ!
彼は厚い眼鏡の奥から目を細めてみながら、高い声で言った。
――少尉殿、勝手に貨車に入った者がいます。断固たる処置を取ります!……。
兵士は一息に報告する。
――誰だ。どこへ行くんだ。
少尉は質問した。
――ゲオルギエフスクです。少尉殿。これが証明書です。
――おお!……。
彼は叫び声を上げ、興味あり気にアレクセイを見た。
――娘と一緒か?
アレクセイとシューラは、同時に答えた。だが、娘は〈いいえ〉と答えたが、彼は〈はい〉と答えた。
少尉は微笑した。
――少尉殿、お願いします。彼女の物を全部、金も何もかもなくしてしまったのです。それで、こういうことになったのです……。
――よしよし!……嘘を言わんでいい。お前たちは、火の気に気を付けさえしていればいい。
少尉は彼の言葉を遮って言った。
――わたしは煙草を喫いません。
少尉はガブリールキン[やぶちゃん注:ママ。]に向き直って、彼がポケットにしまい込もうとしていた肉の缶詰に目を付けた。
――これは何だ。
彼は鋭く質問した。
――あの、少尉殿、これは……。
ガブリールキンは、缶詰を初めて見たかのように眺めながら言った。
――缶詰のようです。
――どこで手に入れたんだ。彼らのか。今すぐに返せ!
――あの二人が、少尉殿……それを……自分からくれたのです!
――うるさい!
突然、少尉は甲高い声で怒鳴った。
――規律を守れ! またゆすりをしている! 二日間の営倉入りだ。
少尉の眼鏡が意地悪そうに光った。
――何故ですか……。
――弁明の余地がない! 命令を復唱して見ろ!
――はい、二日間の……。
太った兵士は、がっかりした声で復唱した。
――恥さらしめ!
――少尉は言いながら眼鏡を動かし、地面に飛び下りて、去って行った。
太った兵士は両手を広げて振った。一方の手には缶詰があった。
――ほら……俺が言ったろう、凶悪な奴だって!
彼は言った。
《引用終了》]
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