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2019/08/06

大和本草卷之十三 魚之上 ワカサギ

 

【和品】

ワカサギ 又名アマサギ江河ノ中或海ニモ生スハエニ似タ

 リ又鰷ノ如シ長五六寸色白ク味美シ佳品ナリ冬

 至以後味劣ル江戶及ビ北土ニアリ若州三方ノ湖多シ

 西州ニハ未見之

○やぶちゃんの書き下し文

わかさぎ 又の名、「あまさぎ」。江河の中、或いは海にも生ず。「はえ」に似たり。又、鰷(はや)のごとし。長さ、五、六寸。色、白く、味、美〔(よ)〕し。佳品なり。冬至以後、味、劣る。江戶及び北土にあり。若州三方(みかた)の湖に多し。西州には未だ之れを見ず。

[やぶちゃん注:条鰭綱キュウリウオ目キュウリウオ科ワカサギ属ワカサギ Hypomesus nipponensisウィキの「ワカサギ」より引く。『日本の内湾や湖に生息する冷水性の硬骨魚で、食用魚でもある』。益軒が「海にも生ず」と記す点を疑問とする方もおられるかも知れぬが、本種の『生息域は内湾(沿岸海域)、汽水域、河川、湖などで』、『水質が悪い状況や低水温や塩分に対して広い適応力があり』、『成長期に降海する遡河回遊型(両側回遊型)』『と、生涯を淡水で生活する河川残留型(陸封型)が存在する』『なお、同一水域内でも降海型と残留型が存在することが網走湖、小川原湖で報告されている』。『遡河回遊型は孵化後に降海するが、一定期間を汽水域で過ごす。産卵の為に河川を遡上する際は淡水順応を行わず、一気に遡上し、産卵、降海までを』二『時間程度で行っているとする研究がある』のでこれは正しい。異名は「アマサギ」(山陰地方)「オオワカ」「コワカ」「サイカチ」「サギ」「シラサギ」「シロイオ」「メソグリ」などがある。『漢字で「公魚」と書くのは、かつての常陸国麻生藩が徳川』十一『代将軍徳川家斉に年貢として霞ヶ浦のワカサギを納め、公儀御用魚とされたことに由来する』ものであり、「公魚」は本来は中国由来の漢名ではない。但し、現在、現代中国ではワカサギ属を「公魚屬」とし、ワカサギには「西太公魚」の正式漢名を与えており、これは逆輸入の変形表記であろう。他に「鰙」「若鷺」とも書く。『天然分布域は、太平洋側は千葉県或いは茨城県(霞ヶ浦)以北、日本海側では島根県(宍道湖)以北の北日本、北海道で、日本以外ではロシア連邦ハバロフスクのウスリー川、オホーツク海に注ぐサハリンの河川、ベーリング海に注ぐアナジリ川』、『カリフォルニア州にも分布する』。『食用魚としての需要も高いことから、日本各地の湖やダムなどでも放流された個体が定着して』おり、明治末から大正中期の一九一〇年代に、『水産動物学者の雨宮育作』(あめみやいくさく)『が、霞ヶ浦のワカサギを山中湖、諏訪湖へ移植し、各地の湖沼に普及した経緯がある。今や、南西諸島と伊豆・小笠原諸島を除く全国に分布域を広げている。鹿児島が南限とされている』(従って、本来の棲息域としては益軒の「西州には未だ之れを見ず」というのは正しい)。『成魚の全長は』十五センチメートルほどで、『体は細長く』、それぞれの鰭は『小さい。背びれの後ろには小さなあぶらびれがある。また、背びれは腹びれより少しだけ後ろについていることで近縁種のチカ』(ワカサギ属チカ Hypomesus japonicus:(漢字は「魚」+「近」)但し、本種は内湾性の海水魚である)『と区別できる。あぶらびれの大きいイシカリワカサギ』(ワカサギ属イシカリワカサギ Hypomesus olidus:本邦では北海道の河川に連続する池沼又は河跡湖に分布する、純粋な淡水魚である)『という近縁種もいる』。『地域にもよるが』、『産卵期は冬から春にかけてで、この時期になると大群をなして河川を遡り、淡水中の水草や枯れ木などに付着性の卵を産みつける。卵の直径は』一ミリメートル『ほどで』、一『匹の産卵数は』一千から二万粒『にも達する。寿命は概ね』一『年で』、『産卵を終えた親魚は死んでしまうが、北海道、野尻湖、仁科三湖など寒冷な地域では』二年魚・三『年魚も見られる』。『食性は肉食性で、ケンミジンコやヨコエビなどの動物プランクトンや魚卵や稚魚などを捕食する。一方、魚食性の大型魚類(オオクチバス、コクチバス、ニジマス、ヒメマスなど)や水辺を生息域とするサギなど鳥類に捕食されている』。『富栄養化などの水質汚濁に対する適応力が高く、そのような湖沼でふつうに見られる。水質良好であることを表現する意図で「ワカサギが棲める○○湖(沼)」といった解説がなされることがあるが、むしろ「ワカサギしか棲めない」とみる方が妥当な場合もある』とある。

「はえ」「鰷(はや)」複数(現行では概ね六種)の魚を指す。先行する「大和本草卷之十三 魚之上 ※(「※」=「魚」+「夏」)(ハエ) (ハヤ)」を参照されたい。この叙述を見るに、益軒は「はえ」(益軒は「はゑ」とも表記する)と「はや」を区別しているわけだが、それぞれが現行のどの種を指しているかは、判らない。

「若州三方(みかた)の湖」「三方五湖(みかたごこ)」で、福井県三方郡美浜町と同県三方上中郡若狭町に跨って位置する五つの湖の総称(最奥の三方湖(淡水)から水月湖(すいげつこ:汽水)・菅湖(すがこ:汽水)、及び一部で若狭湾に繋がっている久々子湖(くぐしこ・汽水)と日向湖(ひるがこ:海水)。総て繋がっている)。ここ(グーグル・マップ・データ)。現在も棲息している。]

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