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2020/04/07

石川啄木 詩集「あこがれ」(初版準拠版) 月と鐘

 

[やぶちゃん注:本篇の表題は(底本の「早稲田大学図書館古典籍総合データベース」のHTML画像リンク)初版では表題が「月と」で脱字している。特異的に訂した。序でに言っておくと、御覧の通り、「と」はゴシック太字で「月」の字体と異なっている。これも特異的に従わなかった。添え辞は最下部まで行って改行しているが、ブラウザの不具合を考えて、早く改行してある。しかも詩篇本文も今までのそれと異なり、有意にポイントが小さい。これは或いは啄木の確信犯のように見えるが、単に編集者が一頁に収まるようにするためにしたレベルの仕儀ととれないことはない。]

 

   月 と 鐘

      (とある風琴の曲に合はせむとて
      友のために作れる小歌)

 

あまぢはるかに故里の

樂(がく)の名殘をつぐるとて、

さくらの苑におぼろなる

夢の色ひく月の影。

 

花は眠れど、人の子の

夢なりがたき旅ごころ、

とはの眠りに入れよとて

月に泣くらむ夜半の鐘。

 

   *

 

   月 と 鐘

      (とある風琴の曲に合はせむとて
      友のために作れる小歌)

 

あまぢはるかに故里の

樂の名殘をつぐるとて、

さくらの苑におぼろなる

夢の色ひく月の影。

 

花は眠れど、人の子の

夢なりがたき旅ごころ、

とはの眠りに入れよとて

月に泣くらむ夜半の鐘。

[やぶちゃん注:末尾にクレジットがないのも特異点の一篇である。初出は明治三七(一九〇四)年七月号『時代思潮』で総表題「低唱」三篇で、「壁の影」(後に出る「壁なる影」はその改題)と「ひとつ家」(後に出る)の後「月と鐘」として配されてある。但し、初出では添え辞が、

   *

 (に調四拍子『須磨明石』と云ふ曲に合はせむとて友のために作れる歌)

   *

となっている。「に調四拍子」はニ長調四拍子であろう。

「風琴」はオルガン或いはアコーディオンであるが、前者であろう。]

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