萩原朔太郎 氷島 初版本原拠版 附・初出形 地下鐵道(さぶうえい)にて
地下鐵道(さぶうえい)にて
ひとり來りて地下鐵道(さぶうえい)の
靑き步廊(ほうむ)をさまよひつ
君待ちかねて悲しめど
君が夢には無きものを
なに幻影(まぼろし)の後尾燈
空洞(うつろ)に暗きトンネルの
壁に映りて消え行けり。
壁に映りて過ぎ行けり。
「なに幻影(まぼろし)の後尾燈」
「なに幻影(まぼろし)の戀人を」
に通ず。掛ケ詞。
[やぶちゃん注:初出は本詩集。この詩は好きだが、その諧謔は「臭い」。]
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